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元気印中小企業


職人の誇りと遊び心が生んだ「パンの缶詰」 [パン・アキモト]

元気のひみつ
  • 柔軟な発想と軽いフットワーク
  • スペースシャトルにも搭載された信頼性
  • ソーシャルビジネスの一翼を担う誇り

 パン・アキモトが製造、販売しているパンの缶詰が東日本大震災を契機に注目を集めている。柔らかさや香りを維持したまま、最大3年間保存できるのが特徴だ。
 非常時向けの備蓄食などとして引き合いが増えており、レギュラー商品としてオレンジ、イチゴジャムやチョコレートクリームなどを練り込んだ商品を生産している。缶のラベルは自由にデザインできるため、企業のノベルティなどにも活用されている。

阪神大震災の苦い経験

 パン・アキモトは1947年(昭和22年)に創業した地場のベーカリーだ。秋元義彦社長がパンの缶詰を開発したきっかけは、阪神大震災の苦い経験だった。震災直後、秋元社長は支援物資として2000個以上のパンを被災地に送った。しかしパンは長持ちしない。結局3分の2が廃棄されてしまった。
 「大勢の人に食べてもらえる製品を作りたい」。通常業務の終了後に長期保存が可能なパンの研究が始まった。保存食として一般的な乾パンは、水分を取り除くことでカビや腐敗を防ぐ。しっとりと柔らかくて甘いパンの風味を残したまま保存食にするのは、乾パンの発想とは全く逆だ。冷凍ではなくあくまで常温で保存でき、歯が悪い人などでもおいしく食べられる製品を、お金をかけずに作る方法はないものか。
 ある日、秋元社長は散歩で地元にあるタケノコの水炊き工場を訪れる。タケノコを缶詰に詰める様子を見て「パンにも応用できる」と感じた。「私はプロの研究者ではない。酒を飲み、遊び歩きながら開発を進めていたのが良かった」と振り返る。

“紙様”との出会い

 長期保存するためにはパン、缶ともに無菌状態にする必要がある。まず缶の中に焼いたパンを入れ、缶を熱殺菌してみた。しかしパンを2度加熱すると風味が落ちてしまう。そこで缶にパンの生地を入れた直後に加熱し、殺菌とパンの焼成を同時にこなすことにした。
 ここで次の課題が浮上する。パン生地は水分を含んでいるため、缶ごと加熱すると缶の中が結露したりパンが缶に付着したりしてしまう。そこで思いついたのが吸水性と耐熱性に優れた特殊な紙で生地をくるみ、缶に入れる方法だ。まさに「“紙(かみ)様”との出会いだった」と秋元社長は笑う。
 この包み紙の生産は最初、国内の大手メーカーに依頼した。しかし「小ロットの注文には対応できない」と断られ、海外から仕入れることにした。秋元社長は「面倒なことにお金と時間を掛けない大企業の発想と当社とは違う」と実感したという。阪神大震災から約1年半後、缶詰の販売にこぎつけた。
 パンの缶詰の売り上げはいまや同社売上高の約8割を占る。秋元社長は「当社は『“カン”アキモト』になりつつある」とジョークを飛ばす。すでに日本、米国、中国、台湾の4カ国・地域で特許を取得。2009年には米航空宇宙局(NASA)がスペースシャトルに搭載した。「次は開けた瞬間に膨らむパンを作ってみたい。パンと缶と“面白さ”をぶつけたら実現できるかも」と発想は尽きない。

下取りパンで飢餓地域や被災地を救え

 「自分の焼いたパンを食べてもらえないのは悔しい」。長期保存が可能な缶詰であっても、3年間の期限が過ぎれば廃棄されてしまう。2年間を経過した缶詰を、飢餓に苦しむ人々への義援物資として供給する「救缶鳥プロジェクト」が生まれたのは、秋元社長のパン職人としての憤りがきっかけだった。非常時に備えてパンの缶詰を購入した自治体から「新しい商品と入れ替えるので、賞味期限の近い缶詰を引き取って処分してほしい」と依頼されたのだ。
 「われわれはゴミを作っているのではない」(秋元社長)と知恵を絞り、スマトラ沖大地震などを契機に、販売から時間がたった製品を買い取って義援物資にする仕組みを09年に考案。下取り方式にすることで、継続的な購入も狙えるようにした。東日本大震災後には、寄贈者が缶詰に励ましのメッセージを書き、それを被災地に送る取り組みも始めた。
 秋元社長自身、被災地に何度も足を運んでいる。「ソーシャルビジネスの一翼を担うことができているのではないか」と秋元社長は手応えを感じている。


缶詰パンの有効利用と飢餓解消を目的に「救缶鳥」プロジェクトを手がける

缶詰パンの有効利用と飢餓解消を目的に
「救缶鳥」プロジェクトを手がける


Onepoint

社長はなんでも係「目立たなければ意味がない」

 12年7月には初の海外拠点として、米ロサンゼルスに「パン・アキモトUSA」を設立した。ボランティアや寄付に対する意識が高い米国で「救缶鳥プロジェクト」の広がりが見込めると判断したからだ。那須高原の本社近くに用地を取得して太陽光パネルを設置し、売電事業にも乗り出している。
 秋元社長は「代表取締役なんでも係」を自認する。「いいモノを持っていても、目立たなければ意味がない」。柔軟な発想とフットワークの軽さを強みに、着々と事業領域を広げている。

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企業データ

秋元義彦社長

秋元義彦社長

会社名 (株)パン・アキモト
代表者 秋元義彦社長
業種 パン、菓子の製造販売業
所在地 栃木県那須塩原市東小屋295-4
電話 0287-65-3351

掲載日:2012年11月12日

栃木県食品

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