本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印中小企業


独自製法で沖縄の海から「命の塩」をつくる [ぬちまーす]

元気のひみつ
  • 従来とは異なる製塩法の開発
  • 製品の機能性による差別化
  • 地域や理念を生かしたブランディング

 ぬちまーすは沖縄県にある塩メーカーだ。太平洋からくみあげた海水だけを原料に、添加物を一切使わず製塩している。独自に開発した製塩法「常温瞬間空中結晶法」は、ミネラル分を豊富に含んだ塩を生産できる。海の成分をそのまま凝縮したという塩について、高安正勝社長は「塩に対する意識を変えていきたい」と力を込める。

海水だけが原料の塩辛くない塩

 那覇空港から車を走らせること約70分。ぬちまーすの本社工場は沖縄本島東側に伸びる海中道路を抜けた先の宮城島にある。サトウキビ畑をくぐり、青く澄んだ太平洋を臨む高台で、眼下に広がる海から海水をくみあげて塩を製造している。
 「ぬちまーす」とは沖縄の言葉で「命の塩」を意味し、製品名をそのまま社名にした。粉砂糖のように軽く、きめ細かくサラサラ。原料は同社裏の海からとった海水だけ。「海をそのまま塩にした」と高安社長は説明する。海水は透明度が高い上に外洋からくむため、仮に本島側から汚染があったとしても影響も受けにくい。
 同社の塩の味は一般的な塩とは違い、いわゆる「塩辛さ」が少ない。それは豊富なミネラル分が関係している。塩辛さはナトリウムによるものだが、旧専売塩よりも塩分は25%低く、日常生活で不足しがちなマグネシウムは同200倍、カリウムは同10倍多い。ミネラルは21種類含まれており、ナトリウムを中心にした塩分と、にがりなどミネラル分が分離せずに塩になっている。
 独特なのはその製法だ。独自に開発した製法である常温瞬間空中結晶法を用いる。濃縮、濾過した海水を噴霧して温風で瞬時に水分を飛ばして結晶化する。水の粒が微細なため約50度Cで蒸発。高温で蒸発させる従来製法より温度が低く、ミネラル分が抜けにくい。
 結晶化の工程を行う部屋は雪が積もったように、一面が塩で真っ白。ガラス越しに内部をのぞくことができるようになっており、沖縄に出現した雪景色のような光景に工場見学に訪れた人は驚く。塩は乾燥後、はけを使いながら目視で丁寧に全量を検品し、包装される。

苦労重ねて技術開発

 高安社長が製塩に取り組みはじめたのは、塩販売の自由化がきっかけ。1997年1月に新聞を見て一念発起し、製塩法の開発に着手した。当時行っていたラン栽培で使うために考案した装置を応用したものだった。コーヒー缶と分解した扇風機で試行錯誤を繰り返したという。
 同年3月に塩製造に向けて会社を設立したが、順調には進まなかった。各機関に支援を依頼するが、塩がつくれるはずがないと言われて断られ続けた。「発明はいかに常識から抜けられるかにかかっている。塩は釜でつくるという常識にみんなとらわれていた」と高安社長は当時を振り返る。
 しかし苦労を重ねながら装置の開発に成功すると、徐々に成果が認められ始めた。00年にはミネラルの種類が豊富な塩として「ギネスブック」に認定。同年の九州・沖縄サミットの首脳晩餐会(ばんさんかい)に同社の塩が使われた。08年には中小企業庁の「元気なモノづくり中小企業300社」に選ばれたほか、09年には経済産業省「ものづくり日本大賞優秀賞」を受賞した。
 当初は苦労した資金繰りも、製品の良さを信じて出資する人が出てきた。なかには直接出資することで高安社長の出資比率が下がることを避けるため、融資のかたちで間接的に多額を出資した企業もあるという。
 現在「ぬちまーす」は調理用のほか、菓子をはじめ多くの食品や化粧品メーカーなどとコラボレーションしている。またスポーツ時のミネラル補給用としても販売し、有名プロゴルファーやアスリートも愛用しているという。今後は製造の効率化を進めて増産を視野に入れる。
 同時に消費者の塩に対する意識を変えることを目指す。それは「命の塩」という名前につながる部分だ。海は生命の原点であり、母親の羊水の成分は海水に近いとされる。その海を凝縮した塩は現代に必要なものだと高安社長は自信を持つ。「私自身が塩について説明する場所を設けながら製品の魅力を広めていきたい」と力を込める。


製塩工程、塩が雪のように積もる

製塩工程、塩が雪のように積もる


Onepoint

バランス保ち規模拡大

 ぬちまーすは機能性を生かす独自のモノづくり技術、沖縄の海という地域資源の活用、そして経営者の哲学によるブランディングの3要素がうまく一体化している。高安社長が苦労の上に実績を積み重ねてきた成果だ。食品は安心安全に対するソフト・ハード両面の確立が重要だ。同社は今後、生産規模の拡大を目指す。企業として拡大を目指すことは当然だが、大きくなることでバランスを崩すケースも多い。バランスを保ったまま規模拡大を実現できるかが今後の課題になりそうだ。

関連リンク
  • 支援情報ヘッドライン
    ビジネスに役立つ無料セミナーなど公的機関による支援施策情報が毎日更新されます。
  • ビジネスQ&A
    経営者からのよくある質問に専門家が回答した事例集。

企業データ

高安正勝社長

高安正勝社長

会社名 (株)ぬちまーす
代表者 高安正勝社長
業種 製塩業
所在地 沖縄県うるま市与那城宮城2768
電話 098-983-1111

掲載日:2012年10月25日

沖縄県製造業食品

最近の記事


このページの先頭へ