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元気印中小企業


次世代を見越して“医療シフト”を鮮明に [山科精器]

元気のひみつ
  • 船舶用ディーゼルエンジンのシリンダー注油器のシェア国内90%
  • 自動車、農機具部品の専用工作機械製造に強み
  • 医療機器で新規事業部門を立ち上げ、成長分野に積極進出

 「現状に対する危機感だ」-。山科精器の大日常男社長は「新しいドア」を開けた経緯について、こう力を込める。同社は、創業以来の主力としてきたのが工機、熱交、油機の3事業。船舶用エンジンのバルブ研磨機の製造、組み立ては子会社のヤセック高知(高知県土佐町)でも取り組み、高知に機械関連の生産を移管した。ヤセック高知は約1億2500万円を投じて設備増強し、3月から新工場を本格稼働させている。コア事業のモノづくりの拠点は分散化し、リスクマネジメントを強化している。
 会社の柱にも「設計の独創性」、「生産性の増加」、「操作性の利便」を掲げるだけに、こだわり抜いたモノづくりと顧客の信頼と満足度を高めるための努力は惜しまない。「ギアボックスのケーシング、エンジンからプロペラシャフト加工などでは評価を頂いている」と大日社長は胸を張る。
 その一方で、冒頭の談話だ。最近はカテーテルや疑似血液、細胞分離装置などを手がけるメディカル事業部が軌道に乗ってきた。大日社長は「次世代を見据えて、会社が元気になれる成長分野と判断した」と、従来の機械部門からすると“異業種”の色が濃く映る医療部門についての進出理由を説明する。
 ただ、堅調な時期には業績を十分に下支えする分野でも、2008年のリーマン・ショック以降は、あらゆるリスクに備える対応策が求められている。中小企業なら、なおさらといえるだろう。工作機械、熱交換器、注油器…。1939年(昭14)の創業以来の機械メーカーとして実績を積んできたが、思い切った新規参入に踏み込んだ。

産学官連携を軸にした医療分野への進出

 医療分野への進出きっかけは産学連携を始めた04年。その5年後の09年に、満を持してメディカル事業部を立ち上げている。ただ、20年ほど前から、立命館大学のインキュベータでMEMS(微小電気機械素子創製技術)関連の学会に参加し、研究会などに社員を送り込んでいたことが契機になっている。滋賀県内にある他の大学や教授らともつながりを深めている。
 新規分野参入だけに、医療部門は機械製造で培ったモノづくりを生かしつつ、産学連携で道筋をつける手堅い手法をとる。大日社長が振り返る「若い頃、結核を患い、闘病生活を経験した」ことも、堅実なスタートの一因かも知れない。
 中小企業にとって医療は新規参入が難しい分野といえるが、12年1月に医療機器の品質保証標準規格「ISO13485」を取得。本社工場にメディカル専用の事務所棟やクリーンルームを設置。事業拡大に向けた準備も着々と進めている。メディカル事業部の人員も3-5年後をめどに、現在の15人から30人規模に倍増する。メディカル部門での足場はしっかりと固まりつつある。
 産学官連携も幅広い。滋賀県の「医工連携ものづくりクラスター」を筆頭に、大阪商工会議所が、関西イノベーション国際戦略総合特区の医療機器関連事業に挙げる「課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業」での実証事業の委託開発案件の採択先にも決まっている。「我が国の内視鏡治療の世界標準化へ向けた統合型次世代医療機器の開発・改良」として、開発チームに名を連ねる。

もうけよりも命の大切さを訴える

 山科精器の12年3月期の売上高は前期比横ばいの30億円。売上高の主な構成比は工作機械35%、オイルクーラーなど30%、注油機20%。まだ医療が占める割合は少ないが、これから社の“元気の柱”を担う存在になることは間違いない。
 社外活動も積極的だ。大日社長は「社名の通り、創業は京都(京都市山科区)だが、今は滋賀県の企業」と断言する。自身も滋賀県中小企業家同友会の役員を務めるなど、積極的な対外活動の基盤も滋賀がベースだ。  「もうかるからやる、というのは経営者の本音だが、それだけでは事業が続かない。医療については、『日本の技術を世界の命のために』ということだ」。大日社長は力説する。有言実行するためにも、先端医療機器を扱う企業、研究機関で構成する「日本の技術をいのちのために委員会」に加盟する。産業として医療を活性化させ、医療工学水準を向上させることが委員会の使命でもある。医療のモノづくりを通じた貢献で、命を救う。これからも着実にその歩を進めていく。


本社工場に設置した医療用のクリーンルーム

本社工場に設置した医療用のクリーンルーム


Onepoint

しだれ桜と紅葉

 所在地がある栗東市は日本中央競馬会(JRA)の栗東トレーニングセンターがあることで有名だ。広大で自然豊かな敷地で競走馬が体躯を鍛える。同社の本社工場に入ると、大きなしだれ桜が目を引く。「満開になると近隣の人も思わず足を止めている」と大日社長は目を細める。秋には紅葉も色づきを見せる。季節の移ろいが社内ではっきり感じ取れる。機械から医療へと正念場を迎えるが、その刹那に目に入る桜や紅葉が事業展開のアイデアを与えているのかも知れない。

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企業データ

大日常男社長

大日常男社長

会社名 山科精器(株)
代表者 大日常男社長
業種 産業用機械、医療機器などの製造業
所在地 滋賀県栗東市東坂525
電話 077-558-2311

掲載日:2012年10月25日

滋賀県製造業

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