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元気印中小企業


常に最先端を走る [紀州技研工業]

元気のひみつ
  • 段ボール用情報プリンターの国内アシェア55%
  • 時代の先を読み、思い切った投資で柔軟に対応
  • 得意技術を太陽光パネルに応用

 消費者はパッケージに印された情報を頼りに品を選び、購入する。賞味期限や消費期限、製造年月日、紀州技研工業はこうした情報を印字する産業用インクジェットプリンターを手がけている。段ボールからペットボトルのキャップ、さらには卵にまで、用途に応じた製品ラインアップは幅広い。特に段ボール用のオンデマンド式プリンターで、同社は国内シェアの55%を抑えてトップメーカーの地位を築いている。

常に時代の先を読む

 高度成長期の真っ只中、釜中甫干(かまなか・としゆき)社長は大手化成品メーカーで包装機械設備を扱っていた。その生産ラインで目にしたのは、生産管理のために社員が段ボールにロット番号や製造日などをゴム印で手押ししている姿だ。大量生産へと移行する時代、印字の自動化は重要になる。しかしここで相談した出入りの印刷機メーカーは「うちの仕事ではない」と、にべもなかった。「ならば自分で作ろうと考えた」(同)。
 1968年、釜中社長は独立し、紀州技研工業を設立した。自ら図面を引き、ローラータイプのゴム印式自動押印機を開発した。「将来の市場を考えると急いで形にしなければならなかった」(同)。開発後はすぐに売り込みに奔走した。当時は営業も社長一人。夜行列車に乗って全国を回った。これまで市場になかった製品のインパクトは大きく、顧客は順調に増えた。事業は2年目で黒字化。以降、赤字を出したことはこれまで一度もない。
 同社の事業は1987年のインクジェットプリンター開発を受けて急拡大した。「他品種少量生産になり、印字内容をすぐに変えたいというニーズが出てきた」(同)。当時の機械メーカーは電気制御を外注に出すところが多かったが、釜中社長は社内への技術の蓄積を図った。

インクも内製、太陽光パネルにも

 バブル期で採用しにくい時期だった。しかし配偶者のための車も用意するほどの特別待遇で、電子分野の技術者を集めた。ちょうどローラー機が売れ始めた時期。「資金に余裕があったからできた」と釜中社長は振り返る。紀州技研は“機械屋”から“電気屋”になった。インクジェット機が上り調子になると、ローラー機の需要は減った。釜中社長は重心を移すタイミングを逃さなかった。
 10年前にインク開発部を設け、インクも内製化した。「機械は競争が激しくなる」と判断したからだ。消耗品を手がければ安定した収益が得られる。装置に最も適したインクを市場に送り出すことで他社製インクによる装置トラブルも防げる。「可食性インク」や「発泡スチロール用インク」など高付加価値製品も次々投入した。消耗品の売上高は今や全売上高の約50%。化学分野は同社の収益を支える柱になった。
 一方、10年前は急成長で膨らんだ開発投資を回収するため、より多くの機械を売らなければならなくなっていた時期でもあった。しかし「成熟した国内装置市場が飽和するのは時間の問題」(同)。そこで02年、中国に子会社を設けて販路を広げた。現在は東南アジア、欧州にも市場を広げている。
 文字を書く技術をほかに展開できないか―。昨夏から同社は新たな一歩を踏み出した。ターゲットは太陽光パネル。太陽光パネルの配線はシルクスクリーン印刷が主流だが、インクジェットにすれば、太さ30マイクロ-50マイクロメートルで線が書ける。これは従来の半分以下の太さで、集光効率の向上を実現できるという。すでに銀ナノ粒子の開発は進み、今年、インクの販売から手がけていく方針だ。

他社がやらないことをやる

 「人がやることはやらない」と、釜中社長は話す。起業前、大手化成品メーカーに勤めていた釜中社長は、ほかの社員が持っていない資格を取ろうと奮闘した時期があったという。皆、いろんな資格を持っていた。ここで狙いを定めたのが周囲にいなかった計量管理士。ところが勉強を始めた矢先、資格取得者が入社してきた。「これで計量管理士はあきらめ、ほかを探した」と苦笑する。
 紀州技研工業には社長のこうした精神が根付く。社員の3分の1を開発にあて、他社がやらない製品の開発に力を注ぐ。たとえばインクの場合、開発から市場投入まで1年かかる。先行すればアドバンテージは大きい。「開発中心の企業は最先端を走らなければならない。利益がある時に次の製品を生み出すことが大事だ」と釜中社長は言い切る。


インクジェットプリンター

インクジェットプリンター


Onepoint

機械屋から電気屋、化学屋そして物理屋へ

 スタートこそ機械のみの開発・製造だったが、電気技術者を集め、化学技術者を増やし、企業の成長に合わせて違う強みを積み上げてきた。現在は全170人の社員のうち60人が7部門に分かれて研究開発に取り組んでいる。本社隣接の開発室には最新の分析・試験機器が並ぶ。この開発力が最先端をキープし、市場を守る原動力だ。「今は“物理屋”になってきている」と釜中社長。具体的な目標は定まっていないと言うが、近いうちに紀州技研工業の新たな姿が見られそうだ。

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企業データ

釜中甫干社長

釜中甫干社長

会社名 紀州技研工業(株)
代表者 釜中甫干社長
業種 産業用インクジェットプリンターなどの製造販売業
所在地 和歌山県和歌山市布引466
電話 073-445-6610

掲載日:2012年10月22日

和歌山県製造業

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