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元気印中小企業


人こそ宝、地域とともに復興に全力 [高政]

元気のひみつ
  • 地元住民を積極雇用し従業員は震災前の5割増に
  • オール電化の新工場を完成し生産量4倍に
  • 地元の水産業若手団体の復興支援を後押し

 老舗かまぼこ店・高政がある宮城県女川町は、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた。高台にある同社は津波被害を免れたが、高さ20メートルの津波で漁港に面した町の中心部の建物はほとんど流失した。町の経済は崩壊に直面し、今も危機的な状況だ。地域経済の再起に向けて同社の挑戦が続く。
 同社の主力は笹(ささ)かまぼこ、揚げかまぼこ、おでん種などに使う練り物だ。商品のコンセプトは「三陸」、「女川」、「高政」。三陸で水揚げされた魚介類の良さを引き出し、丁寧に作り込んだ商品が自慢だ。この味にほれ込んだひいきは地元だけでなく、全国にも多い。高橋正典社長は「地域性を生かして、地方から消費地に地道に発信し続けてきた」ことが全国に高政ファンを育てた。
 その町が震災で瀕死の状態に陥った。魚の町、女川の地域経済を支えていたのは言うまでもなく水産関連業だ。日本有数のサンマの水揚げ量を誇る女川港、さらに湾内で獲れる新鮮な魚介類。これらを扱う四十数社の水産関連企業のほとんどが流失した。
 震災直後、高政は町内の各避難所に出荷前のかまぼこや温かい食事を配った。同時に町の経済再生のために地元住民を積極雇用に動きだす。被災企業が復活し、地元で雇用が生まれて、住民の生活を取り戻すことが復興に向けた第一歩だと考えたからだ。

「親の誕生日」を聞く採用面接

 高橋正典社長は「雇用は企業の社会的責務だ。簡単に従業員を削減する企業が増えているのがとても残念だ」と話す。その上で「食品を扱うメーカーが人を粗末に扱えば、その姿勢はそのまま商品に表れる。ひたむきに素材に向かおうという当社の理念には相容れない」と言い切る。
 震災時の従業員数は113人だったが、2012年8月末は5割増の175人となった。派遣社員も含めると200人で、1年間で87人も増加した。派遣社員から正社員への登用も積極的に行っている。
 その採用面接もユニークだ。高橋正寿専務は「最終面接で両親の誕生日を必ず聞く」という。それは「企業にとって最も大切なのは相手を思いやる心だからだ。両親とともに食卓を囲み育った人には思いやりが自然に備わっている」と話す。
 一方、従業員の増加に合わせた業容の拡大にも抜かりはない。震災前から進めてきた「万石工場(宮城県女川町)」が11年9月に完成した。最大の特徴は業界初となるオール電化設備を導入した点だ。揚げかまぼこを生産するIHフライヤー3ライン、笹かまぼこを焼く電熱線ラインを2ラインを導入し、生産能力を4倍にした。1ライン当たりの生産能力は毎時5000-6000枚だ。扱う商品数は季節ごとに5増5減で35アイテムに厳選している。「これまで培った吉次、イシモチ、エビなど素材そのものが商品」(高橋専務)というこだわりを堅持するためだ。
 オール電化にしたことで、従業員の作業環境の向上し、さらに92%ほどだった製品歩留まりが97-98%に改善した。1カ月の電気料金は油の劣化も抑えられ、その結果、生産量は4倍になった。1カ月当たりの消費量は従来と同じだ。

ローカルにこだわり徹底して地域に根ざす

 「高政」は全国ブランドだが、企業としてはあくまでもローカルにこだわり続ける方針だ。高橋専務は「練り物を扱う企業として徹底的に地域に根ざしていきたい。かまぼこは保存商品ではなく、鮮度が命。ここを守るにはどうしてもローカルメーカーで行くしかない」と話す。
 老朽化した旧工場と、300トンの冷凍冷蔵庫は町内の水産業の若手団体「女川水産加工研究会」に無償貸与した。工場に併設した直売店「万石の里」の一角には地元商品のアピール、拡販も行う「女川産品販売コーナー」を設けた。高橋専務は「女川の復興は若い力がけん引するべきだ。そのための労力は惜しまない」と話す。
 さらに放射性物質測定器も数百万円で購入し、自社以外のものにも無料検査に応じている。復興支援に取り組みながらも、2013年3月期売上高を前期比9億円増の30億円を目指す。
 「大好きな町が塗炭の苦しみを味わっている今だからこそ、生き残った人たちが復興に向けて力を合わせて新しい町を作っていきたい」。震災から1年半、その記憶は早くも風化してきた。復興はまだまだ先だ。高橋社長は地域に生きる企業として改めて心に誓う。


地域に根ざした経営を続ける高政

地域に根ざした経営を続ける高政


Onepoint

人が財産

 東日本大震災の被災地では社屋が全壊し、やむなく社員を解雇する企業も相次いだ。震災から1年半経った今も被災地にはさまざまな課題が山積で、地域経済の再生は緒に就いたばかり。
 高政は宮城県女川町で津波を免れた数少ない企業だ。震災直後からさまざまな形で、町の再生に向けた活動を続けてきた。被災者の生活再建には企業の復活、そして地域で生きる人たちの雇用拡大が欠かせない。
 「地域とともにある企業にとって最大の使命は雇用の維持・拡大だ」と高橋社長はさらりと話す。人員削減が企業再建の常とう手段となった昨今、高橋社長の言葉の意味をもう一度深く考えるべきだ。

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企業データ

高橋正典社長

高橋正典社長

会社名 (株)高政
代表者 高橋正典社長
業種 練製品、魚卵、魚加工品などの加工販売業
所在地 宮城県牡鹿郡女川町浦宿浜字浦宿81-36
電話 0225-53-2854

掲載日:2012年10月15日

地域資源宮城県製造業

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