本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印中小企業


射出成形技術で医療に参入 [安井]

元気のひみつ
  • 旭化成で鍛えた医療用射出成形の技術力
  • 医療機器製造業許可を取得し医療機器メーカーめざす
  • 東九州メディカルバレー構想を後押し

 「医療機器メーカーを目指す」。安井の松田哲社長は力をこめる。同社は2012年3月に宮崎県から医療機器製造業の許可を取得した。医療機器産業の拠点づくりを大分、宮崎両県で推進する東九州メディカルバレー構想の追い風を受け、勢いに乗っている。将来は医療機器製造販売業の許可も取得し「成長が期待される医療分野でさらに存在感を高めたい」と意欲を燃やしている。

人工腎臓容器を供給

 安井は1930年の設立で、2012年に創業82年目を迎えた。医療、食品用の各種印刷・ラベル、建築資材向け発泡スチロール成形、医療機器向け樹脂部品の射出成形、の3事業を主に手がける。12年3月期の売上高は約45億円。
 同社が立地する宮崎県門川町は旭化成発祥の地である延岡市に隣接し、旭化成グループの拠点工場やモノづくりの優れた技術力を持つ地場企業群が延岡市周辺地域に集積する。安井の創業者も旭化成関連会社を退社して独立。旭化成の事業拡大に応じて製品供給を行い、事業拡大してきた。
 とくに射出成形部門は独自の技術力が光る。旭化成が再生繊維の中空糸を利用した血液・血管関連分野の人工腎臓で医療機器産業に参入した過程で、安井も旭化成とともに樹脂製の人工腎臓容器の原料調達から開発に参加してきた。
 製品製造は医薬品などの品質管理に関する国際基準「GMP」や品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」に準じる管理体制を徹底。「ホコリや浮遊菌、付着菌を環境基準以下で排除するクリーンルームで、射出成形、製品検査を行う生産体制を構築した」と松田社長は胸を張る。
 現在は技術力、品質にこだわった生産体制が評価され、旭化成メディカル(東京都千代田区)や川澄化学工業が延岡市や大分県に構える拠点工場向けに人工腎臓容器などの射出成形部品を供給。売り上げベースで半分を射出成形部門が担っている。ただ松田社長は、部品メーカーにとどまる現状に満足していない。
 これまで医療機器の部品供給で蓄積してきたノウハウを生かして「付加価値の高いオリジナル製品を手がける医療機器メーカーなることこそ、成長のカギ」と社内に訴える。
 しかし地場中小企業が医療機器産業に参入するのは、薬事法のさまざま規制への対応や医療現場にある開発案件の掌握が必要。さらに新開発した機器の承認は臨床試験に数年かかるといった多くの課題があり、企業の強い意欲とリスクに耐える体力がなければ参入は難しい。

高度な医療機器開発も

 そこで当初は医療機器の受託製造から始め、徐々に高度な機器開発ができる体制を築いていく方針だ。13年度は県外の医療機器メーカー向けに吸引用カテーテル(吸引し管)の製造に乗り出す考えで、宮崎県から医療機器製造業許可を取得した。
 この製造業許可は生物を用いる機器や滅菌機器以外の「管理医療機器」の製造を許可するもの。製品は外科手術などで血液や体液を吸引し、体外へ排出するのに利用できる。
 同社本社工場で素材のポリプロピレンを射出成形して組み立てる。初年度は月産約1万本、第二弾の製品開発も進めているという。
 今後、医療機器の受託製造を事業の柱に育成、この事業で14年3月期売上高は約2億円を見込んでいる。また同機器メーカーに要求される品質マネジメントシステム規格「ISO13485」の認証取得も目指すほか、射出成形以外の印刷・ラベル、発泡スチロール成形部門でも医療向けラベルや資材製造を視野に入れる。
 全部門を医療分野に照準を合わせ、総合力を発揮する方針で「会社全体で15年3月期は約53億円の売り上げを目指す」という。
 だが製品は直接命にかかわるものだけに高い品質管理はもちろんのこと、製造を担う社員の意識を高めることが欠かせない。「外部講師を招いた社員教育の充実や即戦力となる技術者の採用、何より社員の技術力を高めていく」と語気を強める。
 大分・宮崎両県が産学官で推進する東九州メディカルバレー構想は、11年度に国の「地域活性化総合特区」指定を受け弾みがついた。こうした地域の取り組みを足がかりに、医療機器メーカーへの挑戦に期待が高まっている。


人工腎臓容器検査工程

人工腎臓容器検査工程


Onepoint

時代を読む経営感覚

 円高などの影響で景気回復の足取りがなかなか見えない中、いち早く新事業のタネを見つけ、自社成長戦略を打ち出すことこそ地場中小企業がライバルに差をつける強みとなるはずだ。松田社長は「時代を読み、将来を先取りする経営感覚の大切さ」を常に説く。医療分野は将来の成長産業と期待されるだけに、安井の総合力を発揮できる分野だ。大分、宮崎両県で推進する東九州メディカルバレー構想実現に向けて、医療機器産業に参入を目指す地場中小企業のけん引役となれるのか、周囲の期待も高い。

関連リンク
  • 支援情報ヘッドライン
    ビジネスに役立つ無料セミナーなど公的機関による支援施策情報が毎日更新されます。
  • ビジネスQ&A
    経営者からのよくある質問に専門家が回答した事例集。

企業データ

松田哲社長

松田哲社長

会社名 安井(株)
代表者 松田哲社長
業種 印刷、発泡スチロール成形、射出成形業
所在地 宮崎県門川町大字加草2725
電話 0982-63-7111

掲載日:2012年10月12日

医療・バイオ宮崎県製造業

最近の記事


このページの先頭へ