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元気印中小企業


生活密着の視点で開発した三輪車やリヤカー [中村輪業]

元気のひみつ
  • 大手企業から次々受注する商品企画力
  • 震災による発注減を震災対応商品の開発で商機に
  • 大手に頼らない世の中のためになる企業に成長

 街なかを走る大手運送業者の、電動アシスト付き三輪車を見かける人も多いだろう。この車両を開発、製造しているのが中村輪業だ。ヤマト運輸向けの製品開発をきっかけに業務用三輪自転車「軽car(カルカー)」を製品化した。2012年には緊急時に人を運ぶ、新たな用途を持たせたリヤカーを開発。発想力で市場を開拓する。
 中村輪業は雲仙岳を擁する島原半島南東部にある。近所の人々が自転車修理に訪れるのどかな漁師町の“町の自転車屋”という雰囲気を残す。従業員数は5人だが、3次元CADを導入して設計から製造までを自社で行うモノづくり企業だ。
 ルーツは79年創業の自転車販売店。95年に現在の中村耕一社長が父親から事業継承し08年に法人化した。「軽car」はヤマト運輸だけで約300台を納入。佐川急便にもオリジナル車両を開発したほか、江崎グリコや有名テーマパークも顧客だ。全国で合計約700台が走っているという。
 同社の最新型三輪車は全フレームを内製した。電動アシストユニットに加えて6段変速ギア付きだ。後輪のあいだのセンターデフで動力ロスを減らすほか、ディスクブレーキで安全製を高めた。「女性でも気軽に乗ることができる」(中村耕一社長)をコンセプトに、デザイン性を重視するとともに、風防と屋根を備えて快適性を向上した。

「こりゃ軽い」が原点

 自転車店からメーカーに転身したのは、約10年前に高齢者向け小型軽量リヤカーを開発したことがきっかけ。高齢の女性が一輪車でゴミ捨てをしているのを見て、高齢化と過疎化が進む社会状況も考慮して「小型リヤカーがあれば楽なのではないか」と考えたことだ。当時はまだ一般の自転車店で、溶接や鉄工の技術はなかった。だが一から技術を学び、苦心の末に開発。「カルカー(島原弁で“こりゃ軽い”の意味)」と喜ばれたことから名付け、シリーズの原点となった。
 ところが同製品は爆発的に売れたわけではない。むしろ販路に乏しく、当初は20台ほどしか売れない状況だった。たまたまメディアで紹介されたことで、長崎にあったヤマト運輸の当時の責任者が目を付け、その後の開発につながった。
 突然の大手企業からの引き合いに「最初は冗談だと思った」と中村社長は笑う。しかし、もちろん冗談ではなく、顧客が要望する三輪リヤカー、自転車サイズのリヤカーと高まる要求のハードルを越えながら、最終的に電動アシスト付き三輪車の開発に至った。
 画期的な製品だったと同時に、道路交通法など法令に抵触しないという関連省庁の返答までに1年以上を要した。ようやく生産に取りかかったが人員は中村社長ほぼ一人。「違う意味でフルタイムだった」(同)と苦笑するほど休み返上で昼夜を通し、約3カ月で約300台を生産した。好評を得て他社の受注も相次ぎ、バリエーションを広げながら「軽car」は主力製品となった。

災害時に転用できるリヤカー

 だが現在、電動アシスト付き三輪車の受注は一時的に止まっている。東日本大震災の影響で各社が設備投資を抑えていることが一因だ。大口顧客の発注減の影響は小さくない。この逆風を同社は新製品開発で乗り切ろうとしている。
 中村社長が「初心に戻った」と言う新製品が、軽量さと強度にこだわった折り畳み式リヤカー「軽carコラス」だ。強固さを重視したのは災害時の緊急搬送を想定する理由から。東日本大震災を経て、非常時の人の搬送に対する意識変革が必要だと感じたためだ。
 災害時は迅速な避難が求められる。自動車は速く大量に輸送できるが、大勢が同時に動けば逆に混雑と滞留を招く。また、がれきで埋まった道も、リヤカーなら効果的に動けると考えている。
 特に高齢者施設や介護施設での使用を見込む。フレームはジュラルミン製で軽く、80キログラムの荷重に耐える。手動ブレーキやパンクレスチューブで安全面も配慮した。大半の自転車でけん引可能で、自転車1台分の幅に畳むことができる。平時はコンパクトな荷物用リヤカーとして使用可能だ。年間500台の販売を見込んでいる。
 加えて同社にとって、大手顧客に依存する収益構造からの脱却も狙う。「中小企業は許容量を超えて、大手企業に寄りかかってはいけない。小口顧客を増やし、土台をつくる」と中村社長は意気込む。「企業なので金は必要だが、金儲けのためだけではない。顧客が納得して払ってくれる金をもらいたい」と、モノづくりによる社会貢献を信条に世の中のニーズを引っ張っていく心構えだ。


電動アシスト付き三輪車「軽car」女性の乗りやすさがコンセプト

電動アシスト付き三輪車「軽car」
女性の乗りやすさがコンセプト


Onepoint

見えないニーズを形に

 中村輪業の強みは発想の転換を製品に結実させたことだ。新型リヤカーは技術的な革新というより、既存製品に対する考え方を変えた点で特徴的だ。災害用という時機を捉えた製品でもある。地方の中小企業という点でハードルが高い部分はあるかもしれないが、中村社長のフットワークの軽さで乗り切れるところは多いだろう。逆に最初に小型リヤカーを製造したような、都市部では見えないニーズを形にするという、大手企業に難しい視点で製品開発を行えば商機はあるはずだ。

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企業データ

中村耕一社長

中村耕一社長

会社名 (株)中村輪業
代表者 中村耕一社長
業種 小型リヤカー・業務用三輪自転車などの製造販売業
所在地 長崎県南島原市西有家町須川280-26
電話 0957-82-2714

掲載日:2012年10月 2日

製造業長崎県

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