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元気印中小企業


“死の谷”を越える [SIJテクノロジ]

元気のひみつ
  • 創業以来7年間増収、黒字を続ける技術ベンチャー
  • 世界最少、1フェムトリットルの液滴を飛ばせるインクジェット
  • 起業家と発明者のパートナーシップ

 SIJテクノロジは産業総合研究所(産総研)技術移転ベンチャー。産総研フレキシブルエレクトロニクス研究センターの村田和広氏が発明した「超微細インクジェット技術」を実用化した。通常のインクジェットの液滴は1ピコ(ピコは一兆分の1)リットル程度。同社の装置を使えば、その1000分の1以下にあたる1フェムト(フェムトは1000兆分の1)リットル以下の液量を飛ばせる。これはインクジェットによる世界最小液量だ。
 主な用途は印刷技術を活用して電子部品をつくるプリンテッド・エレクトロニクスの配線や電極形成。マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル単位の微細なドットやラインを非接触で形成できるほか、1万ミリパスカル秒の高粘度液へ対応しており、立体構造物を形成できる。半導体素子や液晶ディスプレー、太陽電池、発光ダイオード(LED)など従来フォトリソグラフィーを用いてきた製造プロセスの簡素化と、生産時に発生する二酸化炭素削減に貢献する。エレクトロニクス以外にも、タンパク質をインクとして使いバイオセンサーや新薬開発に活用するといったニーズもある。増田一之会長は「世界でも最先端分野のためニーズが出てくるのに時間がかかる」が活用方法は無限にあるとにらむ。
 同社の強みは技術の独自性のみならず、創業以来7年間、増収と黒字を続けていることだ。一般に大学発など製造系ベンチャーは“死の谷”(基礎研究が最終製品に結びつかず技術が埋もれてしまうこと)を越えることが難しいと言われる。同社は「日本発、世界最高水準の技術を世に出す」という強い目的意識のもと、共同創業者二人のパートナーシップで乗り越えてきた。発明者の村田和広社長とベンチャー研究者の増田一之会長が05年に共同設立し、試作受託で売り上げを立て足場を固めた。07年12月に装置の第一号が売れて以降、実績を重ねて知名度を上げている。

製造系ベンチャーのロールモデルに

 SIJテクノロジには「超微細インクジェット技術を世に出す」以外にも大きな目的がある。それはベンチャーが育ちにくいと言われる日本から「ソフトウエアでない先端技術ベンチャーの育て方、サンプルケースを世に提示すること」だ。 増田氏は以前、「日本のベンチャーは何故こんなに失敗が多いのだろうか」という疑問から、早大大学院博士課程に在籍し、ハイテクベンチャーと投資家の関係性、パートナーシップについて研究していた。
 村田氏と出会ったのはそのころ。村田氏の技術は02年にナノテック大賞を受賞。国内の大手企業から共同研究の声がかかるなど業界で有名な技術だった。しかし共同研究に至っても実用化には至らないジレンマがあった。技術に可能性を感じた増田氏は「埋もれてしまうかもしれない技術を世に出すことこそが、ベンチャー企業の存在価値」と確信し、自身の研究内容を実践し、先端技術を世に出そうとSIJテクノロジを共同設立した。
 増田氏は「日本のベンチャー文化は歴史が浅い。ベンチャーキャピタルが巨額の投資をし、スピーディーに成長、ブレイクさせるシリコンバレーとは訳が違う」。だからこそ「『成功する』ノウハウでなく、ブレイクする日まで『失敗しない』ためのノウハウが必要」と強調する。
 例えば、起業家と発明者が互いに信頼し合うパートナーシップもその一つ。互いの専門性に敬意を払い機能補完すること必要と説く。具体的には『頻繁に顔を見て話す』『メールは必ずCCを入れる』といったことだ。「我々の戦い方は地味だし、時間がかかるかもしれないが、日本の現状に合っている。こんな環境下でも戦い方があると提示したい」と、賭ける思いは強い。

海外戦略を本格化

 超微細インクジェット技術は、経済産業省の「ナノテク技術ロードマップ」に記載されるなど将来性はお墨付き。11年秋に日本貿易輸出機構(ジェトロ)の「輸出有望案件」に認定されたことを機に海外戦略を本格化し、ドイツ、米国フロリダ、サンフランシスコ、韓国、台湾の展示会などに出展した。これまでは研究開発用装置として販売していたが、12年に製造工程用のヘッドユニットを発売。大手企業の製造ラインや装置に組み込んでもらう計画だ。海外輸出と大手企業とのパートナーシップ。この二つの戦略を軸に、設立10年後にあたる15年頃の飛躍を目指す。


配線パターンサンプル

配線パターンサンプル


Onepoint

必要なのは失敗しない戦略

 経営理念は「デスクトップに工場を」。通常、電気配線の工場は大がかりな設備が必要だが、同社の装置なら机の上で、60センチメートル四方の場所でできるうえ、配線が細かくなる。こうした理念を実現するためにも、存続が第一。増田会長は「成功確率を上げるのは難しいが、失敗確率を下げることはできる」と強調する。多くのベンチャーが成功を目指して立ち上がるが、生存確率は低い。必要なのは失敗しない戦略。同社の挑戦は若き起業家への示唆に富んでいる。

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企業データ

増田一之会長

増田一之会長

会社名 (株)SIJテクノロジ
代表者 村田和広社長
業種 超微細インクジェット技術の提供
所在地 茨城県つくば市東1-1-1(産業技術総合研究所つくば中央第5事業所内)
電話 029-855-7057

掲載日:2012年10月 1日

茨城県製造業

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