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元気印中小企業


下水道改築推進工事のスペシャリスト [三興建設]

元気のひみつ
  • 下水道工事に特化した先見性
  • 独自開発の新工法でコストを大幅削減
  • 下水道改築推進工事の国内シェア7割

 三興建設はゼネコン出身の越智社長が立ち上げた建設会社。独立したのは31歳の時で、社員わずか3人での旗揚げだった。「自分の思いがなかなか実現できない」との理由だった。発足時には土木建設にまつわる仕事ならば幅広く手がけていたが、次第に「これからの建設業は地域に密着するか、特定の領域に特化するしか生き残る道はない」と、下水道分野に絞り事業を展開した。その戦略通り、限られた市場とはいえ下水道改築推進工事で高シェアを獲得するなど、特定分野での強みを発揮している。

仮排水工法の普及に全力

 上下水道などの管路を設置する工法としては開削工事がよく知られている。地面を掘り下げて構造物を設置した後に埋め戻す手法だ。日本国内ではこの工法が一般的。これに対し同社が得意とするのは非開削工法、とりわけ推進工事や改築推進工事だ。推進工事は管きょの両端に立て坑を設け、掘削機によって管を推進して両端の立て坑の間に管きょを構築する。路面を大規模に掘り下げる必要がなく、騒音や振動が少ない。また交通渋滞も起こさない。
 同社はこの20年ほどの間に、下水道の推進工事にシフトしていった。社員数も60人を超え、推進工事の中でも既存の管を破砕しながら推進する改築推進工事では「国内シェアは70%ほどあるのでは」。下水道の老朽化に伴うトラブルも多く発生しており「計画的に改築せねばならない時期が来る」とにらんでの戦略だった。推進工事自体は古くから知られていた。しかし越智社長によると「機械化が遅れており、かつては人手に頼っていた」という。事故も多発していたようだ。同社は早くから機械化を進め、広島市郊外の本社内には各種設備・機材をそろえ足の踏み場もないほど。「我々のような現場密着型の工事業者にはかなりの資本が必要」と笑う。
 同社がこの間、最も力を入れているのが下水道の仮排水工法「MULTI-V」、愛称「パスカル君」の普及拡大だ。仮排水工事とは管路の敷設替え工事の際に、バイパス工事を施して臨時に汚水を処理する工事。開削工事でも非開削工事でも必要。いわば心臓外科手術における心肺維持装置のようなものだ。従来の工法は大がかりな装置が必要でコスト高だった。「臨時のバイパス工事にコストと労力をかけるのはもったいない」と開発したのがこの新工法だ。
 システム構成は実にシンプル。家庭内の桝(ます)専用のバルーンストッパー、自動真空弁、真空タンクユニット、そして制御ユニット。宅内の桝からの仮排水方式を真空吸引方式とし、制御装置と組み合わせることで汚物の詰まりを防止し、24時間自動制御を可能にした。コンパクトなので広い設置スペースが不要になる。1台の制御ユニットで最大80件の自動排水が可能だ。何よりも真空で稼働するので電気や圧縮空気などの他のエネルギーが不要になり、大幅にコストダウンできる。同社の試算では従来工法の3分の1程度に抑えられるという。
 12年4月に完成したばかりだが、順調に実績を増やしている。5月に第一号として茨城県潮来市で施工。震災による管きょの損傷が目立つ東北地域に重点的に提案し福島県や宮城県などでも同システムが稼働している。現在、9システムを保有しているが、既存管きょの敷設替え需要も出てくると見ており、さらに追加する。意図的に操作盤タッチパネルを採用せず、トラブル発生時に迅速に対応できるようにするなど、随所に工夫を凝らしている。

海外進出はまず人材育成

 国内で推進工事に特化する一方で、海外にも目を向けた。日本国内での仕事はいずれ減少すると見て09年、台湾に全額出資の現地法人、台湾良環工程(台北市)を設立した。現地法人設立以前から技術交流などでネットワークを広げ、受注もしていた。下水道工事だけでなくパイプルーフ工事など幅広く手がける。台湾に続いて焦点を定めているのがベトナム市場。台湾での経験を生かし人材育成から取り組んでいる。「まず言葉が分かり技術を習得した人材を育てねば現地化は難しい」ためだ。現在、3年間の期限付きで9人の研修生を受け入れている。「機会があればいつでも進出できるし、他社に負けない自信もある」と、チャンスをうかがっている。
 下水道一筋のこの30年を振り返り、越智社長は「下水道技術にもっと誇りを持とう」という思いを強くしている。下水道管きょの命を支えることを通じて、社会貢献することが自社の使命と考えそれを実践し続ける。


パスカル君

仮排水工法「MULTI-V」愛称:「パスカル君」


Onepoint

特化戦略が奏功

 国土交通省のデータによると、下水道の既設管のうち50年を経過したものが約1万キロメートル、30年経過したものも約8万キロメートルに達するという。計画的に再構築せねばならないのは明らかだ。その意味でも下水道事業に特化した同社の戦略は的を射ている。しかも東日本大震災で広範囲に液状化現象が起こり、下水管きょも大きな被害を受けた。4月に完成したばかりの新工法が早くもフル稼働している。特許も数件申請しているが、越智社長は類似特許がないことに驚いたという。紀元前から存在していた下水道だが技術的にはまだまだ開発の余地があるようだ。

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企業データ

越智剛社長

越智剛社長

会社名 三興建設(株)
代表者 越智剛社長
業種 建設業(推進工事、改築推進工事、下水道仮排水工事など)
所在地 広島県広島市安佐北区安佐町久地563-7
電話 082-810-3636

掲載日:2012年9月26日

広島県製造業

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