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元気印中小企業


高付加価値ロープで需要喚起 [ティビーアール]

元気のひみつ
  • あと1年は震災復興特需
  • 中国・アジアで水質浄化用ロープを増産
  • 高付加価値のレアメタル捕集ロープに期待

 ティビーアールは漁業やエンジンスターター、水質浄化などに使う組みひもロープ製品を手がける。漁業用は東日本大震災からの復興需要で、エンジンスターター用や水質浄化用はアジアを中心とした海外需要が堅調だ。
 現在、本社工場(愛知県豊川市)と中国・上海市の生産子会社では高速機への設備更新を進めており、生産体制を増強している。さらに将来への布石としてレアメタル(希少金属)の捕集用ロープを開発中だ。ロープの高付加価値化で需要を喚起し、低迷する日本の繊維産業を活性化したい考えだ。
 復興需要で漁業用やテントの縛り付け用ロープの売り上げは、震災後のピーク時に前年の2-3倍に膨らんだ。防災意識の高まりで、現在でもテントの縛り付け用ロープの売上はホームセンター向けを中心に前年比2割から3割増えている。今後は養殖用や、被災地で復旧する水産加工工場の水質浄化用の需要が見込め、「復興需要はさらに1年は続くだろう」(福井宏海社長)と見る。

アジアで拡大へ

 復興需要に並んで好調なのが、エンジンスターターや水質浄化に使うロープ。エンジンスターター用は耕運機、草刈り機、発電機など向けが、中国やタイなどのアジアでの需要増とともに伸びている。
 水質浄化用ロープは、ロープの芯の周りに多数のループ状の繊維を立体的に編んだ構造で、表面積を通常のひもの約100倍に広げた。これによって水中の有機物を分解するバクテリアを付着しやすくした。
 まず有機物を分解する好気性バクテリアがロープの外周部に付着し、ロープを覆う。このため中心部の酸素濃度が低下して嫌気性バクテリアが付着、好気性バクテリアが排出する汚泥を分解する。好気性と嫌気性のバクテリアが同居するため、1つの処理槽で効率的に浄化できる。
 従来の樹脂やセラミックスを用いた浄化処理は表面にしかバクテリアが付着せず、好気性と嫌気性の同居が難しい。好気性と嫌気性のバクテリアをそれぞれに付着させた二つの槽で処理する必要があり、手間がかかっていた。
 日本では食品工場向けなどの産業排水処理を中心に手堅い需要がある。ただ水質浄化用も需要をけん引するのは中国やマレーシアなどのアジア。アジアでは生活排水が流れ込む河川や下水道を浄化する意識が高まり、水質浄化用ロープの需要が増えている。中国では南京大学や清華大学などと、安価なロープで油が多い汚れを効率よく処理できる浄化システムを共同研究した。各国のニーズにあわせて改良した製品を投入している。
 こうした需要に対応するため、同社唯一の海外工場である上海天維亜編織(上海市)で、2011年に水質浄化用ロープの生産を始めた。日本の本社工場と合わせた月産能力は20トンだ。
 またエンジンスターター用やテント縛り付け用のロープも生産能力を高めている。12年8月末に上海天維亜編織の約300台の組み編み機を高速機に刷新し、月産能力を従来比2倍の90トンに引き上げた。本社工場でも15年をめどに水質浄化用ロープの組み編み機を高速機に刷新し、生産効率を上げる。
 ただ中国の人件費が上昇し、中国生産によるコストメリットが薄くなっている。このため「ベトナムやカンボジア、バングラデシュなど繊維を調達しやすい地域」(福井社長)への工場進出を検討している。

レアメタル捕集用ロープでさらなる成長へ

 福井社長は「赤字になる製品は受注してこなかった」と胸を張る。国内生産を維持するにはより高性能な水質浄化用ロープや新しい機能を付加したロープなどの開発が不可欠だ。
 水質浄化用に続く高付加価値ロープとして期待するのが、レアメタル捕集用ロープ。ロープ表面にイミノジ酢酸などの機能材料を付着させ、工場廃液や海中からインジウムやネオジウム、タングステンなどを回収するものだ。
 水質浄化用と同様に表面積の広いロープの特徴を生かし、より多くの機能材料を付着させ、効率よい回収を目指す。回収後に酸などを使ってレアメタルのみを取り除けば繰り返し使え、コストメリットも出せる。
 すでにレアメタルを使う自動車や電機関連の工場で実験を始めているほか、このロープを用いた資源回収業を漁業の代替として漁師に提案することも考えている。さらに「当社がレアメタル回収業に進出する可能性もある」(福井社長)と、新規事業の立ち上げも視野に入れる。


ループで立体的に編んだ水質浄化用ロープ

ループで立体的に編んだ水質浄化用ロープ


Onepoint

高付加価値品の開発継続がカギ

 復興需要は今は旺盛だが、一時的なものにすぎない。福井社長は「本社工場のさらなる設備更新は復興需要の動向などを見極めたい」と慎重な姿勢をみせる。長期的に成長を続けるには、水質浄化用やレアメタル回収用といった高付加価値ロープの拡販が必要だ。技術力を生かして独自性あるロープを開発し続ければ、日本で勝ち残る事業基盤はできるはず。ほかの製造業と同様に、日本で開発して海外で利益を稼ぐビジネスモデルの構築が期待される。

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企業データ

福井宏海社長

福井宏海社長

会社名 ティビーアール(株)
代表者 福井宏海社長
業種 漁業用やエンジンスターター用、水質浄化用などの組みひもロープ製品の製造、販売
所在地 愛知県豊川市小田渕町4-63
電話 0533-88-2171

掲載日:2012年9月21日

愛知県製造業

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