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元気印中小企業


水なし印刷導入で環境と技術に差別化 [日精ピーアール]

元気のひみつ
  • 環境にやさしい高精細な印刷技術
  • 粗利重視で個人のよさを引き出すユニット制
  • アート、紙、電子と視覚媒体を一元提供

 停滞感がはびこる印刷業界にありながら、右肩上がりの成長を続ける企業がある。「水なし印刷」と「高精細印刷」の二つを主力事業として掲げる日精ピーアールだ。水なし印刷とは、通常のオフセット印刷で大量に使用する湿し水を使わない印刷手法。有害物質を含んだ廃液を大幅に削減できるため、環境保全に直結する点を訴求する。もう一つの柱である高精細印刷も、水なし印刷だからこそできる技だ。水を使わないため、印刷物を構成する目に見えない微細なドットがにじまず、くっきりと印刷できる。拡大してみると、精細度の差は一目瞭然だ。他社にない個性を武器に躍進を続ける同社だが、こうした付加価値を訴求するビジネスモデルに転換したのはつい数年前のことだった。

付加価値の必要性を痛感

 水なし印刷を導入した2007年は、同社にとって変化の年だった。「10年前なら、特徴がなくても仕事はあった。時流の変化とともに、独自の特徴の必要性を強く感じるようになった」と中村慎一郎社長は言う。水なし印刷の導入を機に、“環境”というキーワードを経営の軸に掲げた。水なし印刷した印刷物には、それを示す認証マークを付けることができる。環境に配慮した手法で印刷されていることがアピールでき、発注元にとっては製品の付加価値になる。他の面でも、グリーン電力を購入したり、正しく管理された森林の木材から作られた「森林認証紙」や石油系溶剤を含まない大豆油インキといった環境に配慮した材料を採択するなど、環境対応を次々に進めた。印刷工程で排出した二酸化炭素を、自然エネルギー排出権(CER)を購入することにより相殺する「カーボンオフセットサービス」も開始した。
 高精細印刷の強みを生かすべく、09年にアート分野にも参入した。原画をスキャナーで読み取り専用のインクジェットプリンターで印刷する「ジグレー版画」を導入し、絵画をプリントしたポスターやカレンダーなどを手がけるようになる。以前から取り組んでいた企画から納品まで一括で請け負うワンストップサービスに「環境」や「アート」を組み合わせ、個性が徐々に社内外に浸透していった。

ユニット制導入し売上より粗利追求

 変革したのはビジネスモデルだけではない。社内制度に関しても、思い切った改革を進めた。
 「売り上げは追わない」と、中村社長はきっぱり言う。「売り上げだけを追うと価格競争になってしまう。やればやるほど損だったということになりかねない」(同)と、昨年10月から目標値を売り上げから粗利益へ転換した。社内資料に記載する数字も全て粗利に変えるという徹底ぶりだ。粗利を上げるために必要なのはやはり高い付加価値。狙いは社員一人ひとりが、付加価値を高める方法を自ら考えるようにすることだった。
 ほかにも思い切った取り組みを始めている。部制を廃止し、2-5人で構成するユニット制を導入した。少人数で風通しをよくし、全員が活躍できる環境を整えるためだ。ユニット同士は、連結させたり切り離したりと自由に動かせる。ユニットリーダーは主に20-30代の若手に任せた。また朝礼の際にユニット単位で活動を報告する時間を設けた。狙い通り、「今まで埋没していた社員の特性や成果が手に取るように分かってきた」(同)と言う。見えてきた社員一人ひとりの特性を尊重した人事が可能になった。

実力主義より適材適所

 こうして、粗利目標に対して少人数のユニット単位で取り組む独自のスタイルができあがった。成果が見えやすい分、一人ひとりがこれまで以上に目標に真剣に取り組むようになり、好循環が生まれている。中村社長は「こうした思い切った変革は身軽な中小企業だからこそできた」と言う。とはいえ、変革開始当初はずいぶん反発もあったという。社員の不安を尊重し、変革はじっくりと時間をかけて慎重に行った。「単なる実力主義ではなく、その人のよさを生かす適材適所を目指す。中小企業の家族的なよさを大切にしていきたい」(同)と語る。
 今春、「AKDコラボサービス」と銘打ち、アート、紙、電子にまたがる視覚媒体を一元的に提供する新サービスを始めた。太陽光発電システムの取り付け計画が進行中など、環境対応もこれまで以上に推し進めていく計画だ。「常にこのままではだめだと思っている。新しいことを立ち止まらずにやり続ける」と中村社長は決意を新たにする。変化を恐れない経営手法が、業界の逆風にも屈しない強い企業体質を形成している。


水なし印刷工場の様子

水なし印刷工場の様子


Onepoint

ベンチャーのごとく挑戦

 ウェブの台頭や環境保全の視点などから、印刷業界は縮小傾向にあるのが現状だ。そんな中同社は「水なし印刷」導入後、売り上げベースで確実にプラス成長を続けている。同社の創業は1935年、業歴は77年に及ぶ。だが次々に新しい風を取り入れていく柔軟な経営手法は、まるでベンチャー企業のよう。独自の特徴を持つための取り組みを、一貫して続けてきた。挑戦し続けることが逆境を乗り越えることを示している。

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企業データ

中村慎一郎社長

中村慎一郎社長

会社名 (株)日精ピーアール
代表者 中村慎一郎社長
業種 印刷業
所在地 東京都千代田区岩本町1-10-5
電話 03-5835-2711

掲載日:2012年9月12日

サービス業東京都

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