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元気印中小企業


機械加工をコンビニ化し、内外で商圏拡大 [荻野製作所]

荻野修社長

荻野修社長

会社名 (株)荻野製作所
代表者 荻野修社長
業種 切削加工業
所在地 群馬県北群馬郡榛東村大字広馬場字宮室418
電話 0279-54-1011

国内外で商圏拡大

 荻野製作所の工場内には「手作り」の自動搬送コンベアやワーク(加工対象物)脱着ロボットが働いている。同社は自動車用部品をはじめ、産業機械や建設機械、重電設備用の精密部品の切削加工などを手がける。従業員は約70人。生産設備の中でも、コンベアなどの省力化に関わる部分を内製化している点が一つの強みだ。
 同社は2008年秋のリーマンショック後の急激な受注減に苦しんだものの、09年半ばから自動車用電動ステアリング部品の生産量が飛躍的に増加。県内の中小製造業の中でも早期に業績回復を果たした。
 そこで一息つくことなく、余勢をかって10年春に中国の天津市に合弁会社「天津荻野三峰精密機械」を設立した。中国拠点では医療機器の部品加工などにも乗り出す考えだ。荻野修社長は、「業績が好調のうちに先手を打っておきたかった」と狙いを明かす。また12年中に、九州を軸に国内の他地域で新たに拠点を構える方針を示している。
 国内の製造業が縮小傾向にあるこのご時世で、同社は商圏拡大へと打って出る。40代前半の荻野社長自身も県内の有力若手経営者として注目を集めるようになった。
 しかし、現状では荻野製作所も苦しい立場に置かれている。まだ中国拠点はまとまった売り上げを確保するには至っていない。材料・工具の品質不足や商習慣の違いなど、中国ビジネスの厳しい洗礼を受けているという。また中国に同社の精鋭部隊を派遣した結果、本社の生産技術部門が手薄になった。さらに顧客である大手自動車部品メーカーが生産拠点を海外にシフトさせている影響からか、受注量にもかげりが見える。
 手をこまねいているわけではない。11年秋には新たにマシニングセンターを導入し、5軸加工を可能にした。これを機に、風力や水力発電の構成部品といった新エネルギー分野への参入を目指す。
 また11年に国内の事務系業務の一部を中国拠点に移管した。中国に移管できるのは加工だけではない。事務作業を減らすことは固定費削減につながり、究極のところ価格競争力にも効いてくる。
 12年はじめには中国製部材調達の代行業も立ち上げた。中国の現地企業から部材調達する際に壁となる品質管理や商習慣の違いに対し、荻野製作所が現地企業との契約を代行し、品質管理も実施する。「日本では当たり前とされる品質保証が、中国では付加価値となる」ことに気付いた。

原点は常にQCD

 荻野社長は自社を「機械加工のコンビニエンスストア」と表現する。一芸に特化して成長を遂げる企業も存在する中、荻野社長はモノづくりの意味を幅広くとらえる。だからこそ、中国で積み重ねた経験をただの苦労話で終わらせず、部材調達代行業に生かした。
 他方、「機械加工のコンビニ」であることも忘れない。商社事業では中国で調達してきた材料や中間加工品に対し、本社で品質管理を実施。専業の商社に対し、実際に機械加工を手がけている点を生かし、差別化した。
 これまで荻野製作所は設備の内製化を進めるとともに、「4M」による不良の原因追及や、「マンマシンチャート」などによるボトルネック工程の解明、そして作業の「標準化」といった生産工学的手法で生産性向上にまい進してきた。中小企業では職人の経験が幅を利かせる風土が根強く残っている。これに対し、同社は暗黙知への依存を避けるため、技能を数値に置き換えたり、不良の原因を科学的に追求したりすることで、現場の「見える化」を推進。受注単価の下落に次ぐ下落を受けても、一定の収益性を確保してきた。
 最近では、このような生産工学的手法を試作品などの多品種少量生産に適用することに挑戦している。小ロット品の加工を標準化できれば、治具を共通化したり、既存の加工ノウハウを転用できたりするため、量産品に近い価格で受注できる。
 問題は、多品種少量生産では作業を記録することなどで生産性を計るには、ボリュームが圧倒的に足りないことだ。それでも荻野社長は、「多品種少量生産品でも大きさや形状、加工方法などで注意深く見ていくと、数種類程度に統合できる」と見ている。これに向け、専用のソフトを導入し、多品種少量生産の加工データの蓄積中だ。


自動車用電灯パワーステアリング部品などを製造するEPSライン

自動車用電灯パワーステアリング部品などを
製造するEPSライン


Onepoint

知的労働へ転身

 荻野製作所のホームページ(HP)には「品質・コスト・納期」や「生産性」など、同社の愚直な姿勢を示す言葉が並ぶ。周辺の中小製造業では、HPで自社の得意技術を中心に訴えるスタイルが増えており、検索サイトでより上位に表れるような工夫を凝らした例もある。そんな中、荻野製作所HPの「生産性の向上」という件には新鮮味すら覚える。
 目指すのは「知識労働」への転身。荻野社長は従業員に日々、「人間らしい仕事をしよう」とハッパをかける。単純作業を繰り返す毎日に染まるのではなく、設備をどう使うか、本当の無駄とは何かを追求する姿勢を指している。これが設備の内製化や暗黙知の標準化などの取り組みの土台となっている。


掲載日:2012年3月14日

群馬県製造業

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