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元気印中小企業


試験・評価ビジネスで航空・宇宙分野など開拓 [キグチテクニクス]

木口重樹社長

木口重樹社長

会社名 (株)キグチテクニクス
代表者 木口重樹社長
業種 各種金属材料の試験片加工、材料試験、材料調査業など
所在地 島根県安来市恵乃島町114-15
電話 0854-22-2619

 航空機や自動車、各種プラントなどわれわれにとっても身近な金属、非鉄金属材料。これらの材料の安全性を試験・評価することは、地味ながら非常に重要な仕事だ。日本国内、世界にはこうした試験・評価業務を手がける企業が数多く存在する。大手メーカーの関連会社などが多いが、独立系も存在する。高級鋼の代名詞でもある「ヤスギハガネ」で知られる島根県安来市から生まれたキグチテクニクスは、独立系の試験・評価会社としての存在感を急速に増している。

下請けからの脱却

 同社の設立は61年(昭36)。創業者の木口寿は日本刀を研磨する研師だった。その後大手特殊鋼メーカーからの研磨業務を請け負い、「木口研磨所」を立ち上げた。当時の仕事は社名の通り、金属材料を顕微鏡で検査する際の試料を微細に研磨する仕事だった。そもそも研師なので、研磨はお手の物。顧客からの信頼を得、研磨だけでなくテストピースの加工や精密鋳造品の加工など次々と仕事が舞い込んだ。
 しかし寿は72年に53歳の若さで急逝。現社長の重樹が28歳で実務を切り盛りすることになる。重樹は84年、41歳にして三代目社長に就任するが、今の業態を作り上げたという点では事実上の創業者だ。というのも、同社は大手特殊鋼メーカーに信頼され、さまざまな仕事を任されるが、下請け的な側面は否めない。重樹は「ビジョンなき経営から脱却せねば」との思いで、02年ごろから業態転換に取り組み始めた。安定した業績を続けてきただけに大英断だった。
 そこで指向したのはテストピースの割り出しから加工、試験までの「一気通貫」型のビジネス。金属材料を切り出して必要に応じて熱処理し、試験内容に対応したテストピースに加工。さまざまな試験を行って材料を評価する。意外にもこれらの業務を一貫して手がける企業は少なく、それぞれの専門企業に振り分けて発注するケースがほとんどだ。これを自社で一貫して請け負えば、納期やコスト削減につながり顧客満足度が増すというわけだ。

「規格戦略」で認知度向上

 しかし当初は「いくら技術をPRしても見向きもされなかった」(木口重樹社長)。ターゲットに定めた航空・宇宙やエネルギー、車両などの分野の大手企業は、それぞれが系列に試験・評価会社を持ち、よほどの優位性がなければ島根県の1企業には発注しない。それよりも「規格認定がなければ、第三者からは評価されない」(同)ことが分かった。そこで同社は遮二無二「規格戦略」を突き進むことになる。
 まず03年に品質管理・保証の国際規格「ISO9001」と環境管理・監査の国際規格「ISO14001」を同時取得した。しかしこれだけでは品質要求の厳しい航空・宇宙分野には参入できない。そこで09年にはISO9001をベースに航空・宇宙産業の要件を盛り込んだ「JISQ9100/ISO9001」にアップグレード。翌10年には試験所を認定する「JISQ17025/IEC17025」を取得。さらに同年に航空宇宙産業における認証プログラム「NADCAP」を取得した。NADCAPの認証を持つ材料試験機関は少なく、独立系に絞れば2番目のことだった。
 「NADCAP」はボーイングやエアバス、ロールスロイスなど航空機関連の大手が管理する認証プログラムで、この分野で仕事をしようと思えば不可欠な規格だ。さすがに時間はかかったが、これをきっかけに国内外のそうそうたる大手企業から声がかかるようになった。
 認証取得と並行して、すさまじい勢いで設備投資を行っている。この数年は年間4-5億円ほど実施している。従来は減価償却の範囲内で行っており、この金額は相当踏み込んだものになる。05年から疲労試験業務を開始したこともあり、米国MTS社製の疲労試験機を大量に導入し、国内でもトップクラスの台数をそろえた。またクリープラプチャー試験機の保有台数もトップクラス。この結果、総資産は8年前の3倍に膨れあがった。
 同社がターゲットに定めた航空・宇宙やエネルギー分野はこれからも成長が見込める分野。いち早く一貫体制を敷いた強みを生かし、今後も積極的な設備投資を行うことで、2020年に売り上げ50億円、業界トップシェアをめざす。


MTS社の疲労試験機

MTS社の疲労試験機


Onepoint

人材育成にも注力

 創業50年の老舗企業ながら、今の業態に転換したのはこの10年。まだ若い企業ともいえる。実際、この種の試験会社には珍しく、社員の平均年齢は35歳。試験・評価業務というとベテランの職人仕事を想起しがちだが同社は職人のスキルを重視しつつ、外部の専門機関に社員を派遣するなど人材育成に注力してきた。いくら高価な試験機を導入しても、専門的なスキルをそなえたオペレーターが不在では使いこなせないからだ。規格戦略と設備、人材がうまくかみ合って成長軌道に乗っている。


掲載日:2012年2月 8日

加工島根県

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