本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印中小企業


アスベスト処理剤が福島第一原発で採用 [AGUA JAPAN]

遠山元樹社長

遠山元樹社長

会社名 (株)AGUA JAPAN
代表者 遠山元樹社長
業種 アスベスト処理溶剤の販売及び処理工法の開発業
所在地 東京都港区西新橋1-22-5
電話 03-3504-1965

 石綿(アスベスト)処理剤を開発、販売するAGUA JAPAN(東京都港区)にとって、2011年は転機の年となった。主力のアスベスト処理剤「アグアA-3000」が、放射性物質の飛散防止剤として、東京電力福島第一原子力発電所の事故処理に採用されたのだ。タービン建屋などに付着した、放射能を帯びたがれきからの粉塵飛散を防止するために使われた。採用の決め手となったのは、開発者である遠山元樹社長がこだわり抜いた「無機系」と「不燃性」だった。

船舶用として開発

 遠山社長は昭和海運(現日本郵船)入社後、日商岩井(現双日)を経て独立。03年に船舶用表示盤を製造する日本船舶表示(東京都港区)を立ち上げた。
 その直後の04年頃に、自動車運搬船内のアスベストが原因で「海外で荷役を拒否される」というトラブルが起きた。顧客の造船所が困る姿を見て、遠山社長は船舶用のアスベスト処理剤の開発を決意。かつて付き合いのあった研究者の協力を得て開発に着手した。
 「船舶用」は、陸上用と比べて過酷な環境で使われることになる。長期間、密閉空間で生活する船員の健康被害に配慮するために、揮発性有機化合物(VOC)など、人体に悪い材料は厳禁。このため「無機系でやらざるを得ない」(遠山社長)。さらに、船内には陸上移動時用の動力源も積んでいるため、不燃性も求められる。
 一般的なアスベスト処理剤は有機系の溶剤が多かった。「固める」という性質上、樹脂系材料が便利なのだ。「こうしたら固まる、という事実を積み上げて」(同)、07年に、無機の不燃成分で作られているうえ、VOCを一切含まない処理剤が完成した。開発中には、海洋政策研究財団(シップ・アンド・オーシャン財団、東京都港区)の技術開発基金を2年連続で受けている。通常は1年のみで、2年連続は異例だという。

放射性物質の飛散防止にも効果

 中小企業だから、研究開発に充てられる資金が限られる。それでも「中小企業だからこそ、品質の良い製品を」(同)とこだわり抜き、この処理剤を完成した。全国の工事現場で使われているほか、10年10月には、浜松市西区の特別管理型最終処分場「三生開発管理型最終処分場」が廃アスベスト処分の使用薬剤として採用した。AGUA JAPANはこれを機に、同社の処理剤を使った廃アスベストの処分工法を推進するため、11年2月に「アスベスト圧縮固化工法(A・S・S工法)協議会」を立ち上げ、工法の普及活動を進めていた。
 そして11年3月。福島第一原子力発電所の事故が発生したあと、放射性物質の飛散防止剤として打診があった。飛散防止剤に求められたのは、飛散防止効果はもちろん、火災や爆発や、飛散防止剤が他の物質と化学反応を起こさないなど、二次災害を引き起こさないことだった。
 候補として挙がったいくつかの製品のうち、「アグアA-3000」の製品が最も適しているとの判断が下され、採用が決定。効果実証実験を経て、複数回にわたり散布された。採用には、アスベスト処理剤としての同薬剤を知っていたゼネコン関係者が、太鼓判を押したという。
 この一件で知名度を上げ、東日本大震災の被災地で、がれき処理や建物を撤去する際の放射性物質飛散防止剤、アスベスト処理剤としても引き合いが増えている。9月には本社を移転し、人員を増やすなど対応に追われる日々となった。今後は、現行モデル「アグアA-3000」をベースとした新製品の開発のほか、アスベスト処理剤として韓国など海外への輸出も推し進める方針だ。


福島第一原発でアグアA-3000を散布する様子

福島第一原発でアグアA-3000を散布する様子


Onepoint

20-30年後の人的被害を軽減するために

 遠山社長は「アスベストと放射能は似通った部分がある」と話す。いずれも吸い込むと危険だが目に見えず、被害が生じるのは20-30年後だ。そして「被害を受けるのは一般の人」と憤りを隠さない。その被害を防ぐためにも、事業に情熱を注いでいる。


掲載日:2012年1月11日

東京都環境製造業

最近の記事


このページの先頭へ