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元気印中小企業


パイプの独自技術で国内生産3倍増へ [国本工業]

国本幸孝社長

国本幸孝社長

会社名 国本工業(株)
代表者 国本幸孝社長
業種 輸送用機器部品の製造業
所在地 静岡県浜松市東区貴平町320
電話 053-434-1237

 自動車向けのエンジン周辺や排気系部品メーカーの国本工業は2011年8月、本社工場に続く第2工場となる浜北工場(浜松市浜北区)を完成し、一部を稼働した。投資額は8億円。同社全体の年産能力は600万個と約20%増加。今後、取引先である自動車関連メーカーの受注に対応しながら順次増産する計画だ。浜北工場全体が稼働する予定の5年後には、同社の年産能力はさらに2.5倍の1500万個まで増加する見通しとなっている。

特殊技術で自在に成形

 長引く超円高や新興国の現地部品メーカーとの競争激化などで国内の自動車関連産業の空洞化が進む今、中堅・中小自動車部品メーカーが国内生産を倍増する例はほとんどない。同社は独自開発の特殊なプレス加工でパイプを自在に成形する技術「チューブ・フォーミング・システム」を確立。同システムで生産したパイプ部品が、トヨタ自動車をはじめ、複数の自動車関連メーカーに相次いで採用され、増産が追いつかない状況だ。
 従来、中空の複雑な形状をした金属部品の加工は、ベンダーを用いてパイプを曲げたり、溶接して複数部品を接合したり、もしくは鋳造することで対応されてきた。しかし、従来のベンダーによる曲げ加工ではムダなチャックしろ(固定部)が必要になることや、部品点数の増加によるコスト高、信頼性を確保するための材料厚肉化、溶接や鋳造工程による環境負荷の増大などの課題があった。
 同社のチューブ・フォーミング・システムは、金型を用いたプレス加工で、金属パイプの曲げ、拡管、縮管、絞りによる肉寄せ、つぶし加工ができる。従来のどの加工技術と比較しても、軽量で低コスト、短納期に複雑形状の中空部品を一体成形することが可能だ。国本幸孝社長のもとには、車両の軽量化や低コスト化に困ったトヨタ自動車系の部品メーカー首脳から相談が寄せられることが度々ある。

原価半減が目標

 国本工業が成功した理由は革新的な技術を生み出すことができたから、だけではない。経営手法においても他社をしのぐものがある。国本社長は取引先から依頼された部品について、原価低減の目標値設定と利益率、投資回収にかかる期間などを正確に素早く見通すことができる。パソコンの表計算ソフトを利用して作成した社内の書類には、部品一点ごとに、材料の調達から生産、納品までにかかるコストが詳細に記されている。このソフトを使った地道な作業を続けるうちに「製品を依頼された段階でおおよその見通しがわかるようになった」という。
 さらに原価低減の目標値設定については、製品にもよるが社外の従来手法から半減するというのが、国本社長の手法だ。従来手法にとらわれていては不可能なことで、そこには必ず何らかの革新がある。チューブ・フォーミング・システムを生み出すことができたのも、国本社長が現場の社員に良い意味でのプレッシャーをかけ続けたからこそだ。

当たり前の取り組みを継続

 革新的な技術を用いた上で生産効率を考えた製品の設計を行い、それを工程で作り込むことで、さらに効率を上げていく。技術革新に加えて当たり前のことを継続して当たり前にやり続けることで、トヨタグループやホンダ系部品メーカーなどから信頼を勝ち取ってきた。国本工業のパイプ部品は、トヨタの小型ハイブリッド車(HV)にも採用されている。大量生産が見込まれている戦略車両で、トヨタの国本工業に対する信頼の高さがうかがえる。
 国本社長は将来的には新興国などへの工場進出も視野に入れているが「現在仕事があるからという安易な海外展開は絶対にしない」と言い切る。まずは国内生産拠点の仕事量を着実に増やすことを重視する。最近は長引く円高に耐えきれず海外へ出て行く中堅・中小企業が多い。また、大企業でも海外で利益を稼いで国内の赤字を補うといった例が目立つが、そういった企業とは描くビジョンが異なる。「国内で生き残るには革新を続けるしかない」(国本社長)とし、さらなる成長に向けてまい進している。


2011年8月に稼働した浜北工場(浜松市浜北区)

2011年8月に稼働した浜北工場(浜松市浜北区)


Onepoint

モノづくり企業のお手本

 国本工業は09年に、国の表彰制度である「第3回ものづくり日本大賞」で経済産業大臣賞を受賞している。日本のモノづくり企業のお手本と言える会社だ。同社がここまで注目されるようになったのは、07年にトヨタ自動車から高級車「レクサスLS600h」のエンジン周辺部品を受注してから。トヨタの依頼がきてから口座を開いて正式に取引を始めるまでには4年間の歳月がかかっている。国本社長はその間、謙虚に取引先の要請を聞き続け、改善の努力をやめなかった。国本社長の胆力も同社が成長できた要因の一つだろう。


掲載日:2012年1月 4日

製造業静岡県

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