本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印中小企業


ポンプの技術生かし、バイオ分野に進出 [ミゾタ]

井田建社長

井田建社長

会社名 (株)ミゾタ
代表者 井田建社長
業種 ポンプ製造業
所在地 佐賀県佐賀市伊勢町15-1
電話 0952-26-2551

 1915年(大4)創業のミゾタは、佐賀市に本社を置くポンプメーカー。敷地内には国内近代製鉄の先駆け、旧佐賀藩反射炉跡がある。47年に竪型ポンプを開発し、以来技術革新を進めながら社会の需要に応えてきた。「『水とともに、人とともに。』が企業スローガン」と井田建社長は胸を張る。
 ミゾタの主力製品は河川や水路の水門で用いるゲートポンプ。排水路上に機器を集約・設置するため省スペースだ。ポンプ室を設けて排水する従来型と比べて、機能性と経済性を兼ね備え、景観にも配慮する。
 顧客は国や自治体など官公需が中心。そのため「コンクリートから人へ」の政策転換による打撃は大きかった。「経営環境は決して良い時期ではない」と肩を落とすが、東日本大震災を経て「当社のような業種が今こそ必要とされている」と力をみなぎらせる。

加圧熱水で機能性物質抽出

 同社は技術志向のモノづくり企業だが、ユニークなのはバイオ事業を抱える点にある。高圧の熱水を使って、植物から機能性物質を効率的に抽出する技術を持つ。99年に佐賀県の補助金事業に応募し、佐賀大学と共同で開発に取り組んだ。機器製造には耐圧が不可欠な水門やポンプなど、「水処理で長年培ってきた技術が生かされている」。
 抽出に用いるのは加圧熱水処理法。水溶性物質を効果的に抽出できる点が特徴。水などの溶媒を100度C以上から、超臨界領域と呼ばれる374度C以下の液体状態にして抽出する。目的の物質に応じて、最も適した温度を設定できるため効率的だ。
 当初は稲や麦のわらからオリゴ糖を抽出していた。だが、抽出効率が高いだけに農薬も濃縮され、食品・医薬品用途は難しかった。次に緑茶などに豊富なカテキン抽出に取り組むが、カテキンはすでに市場に大量に出回っており価格が安かった。そこで付加価値の高い成分に着目し、03年に高機能性物質の抽出に取り組みはじめた。
 現在のメーンは、漢方薬に使われる霊芝(れいし)の一種からの成分抽出だ。鹿の角のような形状から鹿角(ろっかく)霊芝と呼ばれるキノコで、健康維持作用が期待されるベータ-グルカンを豊富に含む。天然では非常に希少なもので、同社は熊本県産の栽培種から安定供給する。
 従来方法では抽出効率は数%だったが、加圧熱水法により同30%に高まった。またベータ-グルカンは多糖類で、分子が長くつながった構造のため体内で吸収されにくい。だが加圧熱水法ならば分子構造を適度に分解し、水溶性となり吸収率も良くなる。

ブランド構築に我慢の時期

 実績を重ね09年に同成分配合の自社ブランド化粧品「604」を発売。化粧水やローション、クリームのほか、せっけんと歯磨き粉をラインアップにそろえた。11年には佐賀県武雄市と連携して、特産のハーブ・レモングラス成分を配合。地域資源を使った産地の活性化にも一役買う。現在は香川県小豆島産のオリーブの葉から、抗酸化作用のあるオレウロペインをエタノールを使わずに抽出。歯磨き粉とローションに配合している。
 自社製品だけでなく原料供給も行い、今後は食品分野での製品化も視野に入れる。バイオ事業の売上高は全体からみればまだわずかなボリュームだが、「口コミで広がっている。今はブランド構築の我慢の時期」と井田社長は言う。そこには、「公共工事の売り上げ減を補うだけではない。人の暮らしにより密接な部分で貢献したい」という思いがある。
 主力事業でも技術革新を続けている。12年にはマイクロ水力発電システムを市場投入する。「ようやく自信を持てる製品になった」と研究の苦労をにじませながらも、期待をのぞかせる。
 「周囲の環境のせいにするだけでは解決しない。なりふりかまわず、地道な営業と技術力を生かして、目の前のことをやる。そうでなければライバルに競り勝てない」と、創業100周年を前に、モノづくりの老舗は歴史にあぐらをかかず汗をかく。


自社ブランド「604」シリーズの歯磨き粉(左)とローション(右)

自社ブランド「604」シリーズの歯磨き粉(左)
とローション(右)


Onepoint

新分野進出の好例

 バイオなどの成長分野には、異業種からの参入が活発だ。だがミゾタのバイオ事業は、一見すると本業とは無関係に見えて既存技術の延長線上にある「本業からの派生」(井田社長)だ。自社のコア技術を活用し、同時に機器開発においては技術面のフィードバックもある。
 同事業の売り上げ規模はまだ大きくないが、機能性食品は海外市場も見込める期待の分野だ。機器の開発製造から製品の生産までを行う、モノづくり企業の新分野進出の好例として、今後の飛躍に期待がかかる。


掲載日:2011年12月28日

佐賀県製造業

最近の記事


このページの先頭へ