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元気印中小企業


太陽電池で駆動する“地産地消型”クレーン [ヤクテツ]

大野好一社長

大野好一社長

会社名 (株)ヤクテツ
代表者 大野好一社長
業種 輸送産業機械設備などの製造販売業
所在地 大分県津久見市大字堅浦1381-1
電話 0972-82-4175

 「販売促進で攻勢をかける―」。ヤクテツの大野好一社長はそう意気込む。同社は主に造船所向け大型産業用クレーンを製造販売する。2011年4月には、業界初の太陽電池で駆動する門型クレーン「エコクレーン」を全国発売した。東日本大震災や超円高基調などの影響により造船業界の設備投資が落ち込む中、ピンチをチャンスに変えて付加価値の高い戦略製品を武器に、新たな市場開拓に乗り出した。

被災地復興に役立てる

 同社は中小クレーンメーカーではつり荷重130トンクレーンを製造できる独自の技術力が強み。大分県津久見湾岸に本社工場があり、専用岸壁から製品を出荷する好立地にある。11年8月期売上高は約9億円。
 発売したエコクレーンは再生可能エネルギーが注目を集める中、同社開発陣が「既存電源設備を必要としない太陽電池を利用して、電力の地産地消型クレーンを製作したい」との熱い思いを具現化した。社員の意欲をくんで、とことん開発させるのが大野社長の経営方針だ。
 製品の天井には出力190ワットの結晶型太陽電池パネル42枚を取り付けた。発電で得られた直流電流を交流に変換する変換機器を独自開発し、200ボルトで駆動する。つり荷重は3トン未満で、レール幅19.3メートル×揚程(高さ)6メートル。
 決められた10カ所をボルトではなくピンで接合し、屋外の設置したい場所で簡単に現地組み立てし分解できる。分解した製品は、10トントラック1台で運ぶことも可能なよう工夫もした。
 発売に先立ち10年は、30ワットの太陽電池パネル4枚を取り付けたつり荷重150キログラムの試作機を開発、展示会などに出展した。来場者から「新規性があって、面白い」と好評を得たのが「実用機開発を後押した」(大野社長)と笑顔をみせる。
 何より設置場所を選ばないのが最大の特徴。「電源がない中山間地で伐採した木材の運搬や、漁船の移動といった農林漁業分野など幅広い用途で販促強化したい」と強調する。さらに「東日本大震災の被災地復興工事に役立ててもらいたい」と願う。価格は1200万円。初年度販売目標は5台を見込んでいる。
 晴天下であれば連続運転可能で、11年1月に実用機を開発して以降、「当社工場内で使用しているが、全く故障はない」と胸を張る。補助電源としてバッテリーを搭載し、バッテリーのみでも2時間稼働する。
 一般的なクレーンに比べて2割程度割高だが、従来必要だった電源からの巻き取りケーブルを設置する設備工事を不要にしたメリットは大きい。また外部電源からの充電も可能。仮に設備工事を行えば、晴天は太陽光、雨天は外部電源と電気代を抑えた効率運用ができる。

人材育成で販売力アップを

 発売以来、問い合わせが多く、「つり荷重5トン、10トンのクレーンはできないか。被災地からは、震災で被災した8トンの漁船を移動させたい」といった声が多数寄せられているという。
 ニーズに応えて、製品のさらなる改良にも取り組んでいる。3トン以上のつり荷重がある製品開発や、豪雪地帯の東北地方でも使用できるように雪よけの傾斜を付ける。また太陽電池の発電効率を高めるため、パネルを常に太陽に対して南向きに設置する架台改良にも余念はない。
 だが地場中小企業のため営業力が弱く、「思い描いたように受注に結びついていない。チャンスを逃した案件もあった」と苦笑いする場面もあった。そこで現在、県内の産学官交流グループで製品の販売促進をテーマに若手社員のプレゼンテーション力を高めようと、人材育成に注力する。「とことん開発させた分、粘り強く成果にこだわりたい」と、大野社長の目に曇りはない。
 「11年度末までに必ず販売実績をつくる」といい、「今後、つり荷重5トンの製品を製作する。太陽電池も随時、発電効率が高い製品が開発されており、顧客ニーズにあった製品をシリーズ化する」と意欲を燃やしている。


バッテリーのみでも2時間の駆動が可能

バッテリーのみでも2時間の駆動が可能


Onepoint

開発意欲が強み

 再生可能エネルギーや省エネ技術への関心が高まる中、独自のクレーンを製品化したのは、技術力を強みとする地場中小企業ならではのアイデアだ。福島第一原発事故発生以降、電力不足の問題もあり、エネルギー効率を考えると「必ず需要はある」と大野社長は説く。今後は九州の造船所などに足を運び、販促活動をさらに強化する考えだ。厳しい経済環境で生き残りをかけて果敢に立ち向かう旺盛な開発意欲こそ、地場中小企業に欠かせない強みだ。


掲載日:2011年12月14日

大分県製造業

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