本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印中小企業


特許で武装した少数精鋭の技術者集団 [昭和冷凍プラント]

若山敏次社長

若山敏次社長

会社名 (株)昭和冷凍プラント
代表者 若山敏次社長
業種 冷凍・冷蔵設備の製造販売業
所在地 北海道釧路市南浜町8-6
電話 0154-25-1846

北海道の30%の漁船が採用

 昭和冷凍プラントは漁業、水産加工を基幹産業とする北海道釧路市で冷凍・冷蔵設備の開発、製販を手がける。従業員は10人。「特許で武装し、独自のモノづくりを行うことが中小企業の生きる道」との持論を実践する若山敏次社長が引っ張る少数精鋭の技術者集団だ。
 同社は現在、約8年かけて開発した窒素ガス封入氷製造システムの販売に力を入れている。これは酸素を追い出し、酸素をほとんど含まない窒素水を凍らせるもの。窒素氷は生鮮食品の酸化と好気性細菌の増殖を抑制し、輸送する際の鮮度保持効果延長につながる。
 地元の製氷会社、釧路東水冷凍から受注した日産40トン、貯氷300トンという大型プラントは2010年6月に本格稼働に入った。納入額は約3億5000万円。釧路東水の真崎邦男会長は「これまでは無理だった傷みやすい魚を沖縄まで輸送できるようになるかもしれない」と窒素氷の効果と新たな需要の創出を期待する。道東が中心だった窒素氷製造システムの営業エリアは道内全域に拡大しつつある。「本州の企業からも引き合いがき始めており、確かな手ごたえを感じている」(若山社長)。
 同システムは特許を取得済。若山社長が特許の大切さを認識したのは8年前の苦い経験がきっかけだ。当時、漁船に搭載して魚の衛生と温度を管理するフローアイスシステムを市場投入。ピーク時には道内の対象漁船の30%に採用されたが、特許を取得していなかったため、大手メーカーなどにまねされて競争力を失ってしまったという。
 窒素ガス封入氷製造システムに次ぐ戦略製品も開発、11年に発売した。それは生鮮品の鮮度保持に有効な真空窒素冷凍システムで、1号機を世界一のすり身メーカーであるマルサ笹谷商店(釧路市)の新工場に納入した。原料のスケソウダラをとる漁船には窒素氷製造機を搭載し、陸揚げするまでの鮮度を保持。新工場での原料の水洗い工程には氷らせる前の窒素冷水を使う。冷水の供給能力は1日あたり30トン。
 笹谷商店は昭和冷凍の一連の技術を活用し、国内で初めて「高級すり身」の量産に乗り出した。高級すり身は北米産が主流。捕獲後に船上ですぐに加工できる工場機能を搭載し、鮮度保持に有利な大型漁船が多いからだ。
 新工場には真空窒素冷凍機6台を納入。完成したすり身製品を完全真空の手前の状態で急速冷凍する。完全真空にしないのは乾燥を防ぐため。これにより冷凍効率が高まり、1時間15分で従来冷凍より芯温が10度C低いマイナス30度Cまで冷却できるという。冷凍直後、すり身製品の表面を窒素ガスで覆い、顧客の食品加工会社に届くまでの酸化を抑制する。
 1日12時間稼働した場合の1台の処理能力は14.4トン。6台と製品保管用大型冷凍庫などを合わせた価格は約3億5000万円。真空窒素冷凍システムは昭和冷凍が単独で、窒素冷水を用いるすり身製造システムは笹谷商店と昭和冷凍が共同で特許を出願した。
 一連の技術は今の所、鮮魚への活用にとどまっている。若山社長は「魚以外への応用も可能。鮮度保持の基本は同じ」としており、今後は農産物や畜産品などへの利用も模索していく。

修理業からメーカーへ転身

 若山社長は大手冷凍・冷蔵設備メーカーの釧路出張所長だった際、その会社が倒産したため、それまでに販売した設備の修理やメンテナンスに対応しようと部下2人とともに昭和冷凍プラントを82年に設立した。新製品の開発にも乗り出し、メーカーへと転身した。単なる修理会社で終わらず、独自製品を持つメーカーへの転身に成功したのは、若山社長は若いころからいろいろなアイデアを考えていて、会社設立後にそれらの具体化を実行したからだ。
 11年春には考案改良で黄綬褒章を受章。若山社長は「当社はこれまで独自の冷却設備技術で地域産業に貢献してきた。これからも食の安心・安全を第一に、さらに環境への負荷が少ない設備を開発することで、より一層貢献していきたい」と受章を機に、開発への意欲をこれまで以上に燃やしている。若山社長は生鮮品の鮮度保持技術について「発展途上」と指摘。さらに画期的な新製品を生み出すため、社員には日ごろから発想の転換の重要性を説いている。


笹谷の新工場に設置された真空窒素冷凍機

笹谷の新工場に設置された真空窒素冷凍機


Onepoint

鮮魚以外の1次産品がカギ

 修理、メンテナンスでベースとなる収入を上げながら、特色ある新製品を投入するというアイデアマンのトップらしい経営スタイルにたどり着いた。高い授業料を払った甲斐もあり、他の中小企業に参考になりそうな知財経営も確立している。そして何といっても北海道は1次産業の宝庫。若山社長のモノづくりで1次産業に貢献したいという熱い思いも、北海道らしい中小製造業者の大きな構成要素だ。鮮魚以外の1次産品向けにも展開できるかが事業拡大のポイントとなる。


掲載日:2011年11月24日

北海道製造業

最近の記事


このページの先頭へ