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元気印中小企業


ゴムの切削加工をネットとカタログで販売 [扶桑ゴム産業]

田村雅春社長

田村雅春社長

会社名 (株)扶桑ゴム産業
代表者 田村雅春社長
業種 工業用ゴム製品の加工、販売業
所在地 広島市南区宇品西2-16-40
電話 082-251-8555

多品種少量ニーズに対応

 扶桑ゴム産業は、ゴムの切削加工をネット・カタログ販売で売り出し中の異色企業だ。一般的にゴム加工は、金型に流し込むか射出成形が主流。ところが、同社はブロックのゴムから削り出す手法で新市場を開拓してきた。どちらにもメリットはある。複雑な構造や大量生産は金型が向いているが、多品種少量生産や精度が求められるものは機械加工の方がコスト、納期とも圧倒的に強い。「毎月2000件以上の受注があるが、1件の数量が10個程度が受注の80%以上になる」(田村雅春社長)という。
 ただ、多品種少量品の受注を地元で営業するだけでは、仕事の絶対量が足りない。そこで思い立ったのが、ゴム業界は無論、ほかの加工業でも珍しい「カタログ販売」だ。これに先立ち、2004年にインターネット販売を開始、ネット社会の急速な発展と宅配便網の充実が追い風となって、順調に売り上げを伸ばしていた。そして09年にカタログを加えた。カタログとは工業用ゴム製品の冊子『ゴム通』。ここでカタログとネットが融合した。
 ゴム通は、同社の金型を使わない精密切削加工技術や半導体関連製品の加工などを紹介している。ほかにゴムにまつわる読み物、ゴム素材の説明まで掲載。製品紹介ではフッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴムなどの素材や、シート、丸棒、チューブなどの製品カテゴリー別に編集した。これをネット通販画面と連動させた。「製品を分かりやすく説明するだけでなく、加工技術の紹介にも力を入れている」(田村社長)という。その一つがゴム製品をイージーオーダーする「eカット」加工。一部の製品は4コマのアニメを使い、特徴を表現した。
 これによって「ゴム通で確認し、ネットで注文するビジネスモデルの仕組みができあがった」(同)。多品種少量ニーズに細かく対応することによって、受注も商社経由が70%に対し、ネット受注が30%まで急増している。現在、ネット登録会員は1万3000人。うち4000人ほどがユーザーになっている。「近い将来、ネット受注を50%まで高めたい」と、直販力を強化している。
 もともと同社はゴムパッキン販売業としてスタートした。一時期、自動車部品の製造に乗り出したこともあるが、次第にゴム専門の販社機能を持つ加工業として拡大していった。ただ、一般的な加工では価格競争に巻き込まれていく。そこで付加価値の高い製品へカジを切ろうとした。しかし大きな問題があった。技術力が伴わなかったのだ。

職人がいないことを逆手に旋盤導入

 当時、丸い製品はロクロを使って削り出していた。ところが歴史が浅く、小さな企業だけに熟練ロクロ職人さえいなかった。思いついたのは、数値入力だけで削れる旋盤の導入だ。当時、旋盤でゴムを削ることなど誰も想像すらしなかった。「職人がいないことを逆手にとった」(同)。その後のNC旋盤、マシニングセンタの導入につながり“切削ゴム加工の扶桑”が誕生した。
 小さな工場にところ狭しと加工機械が並ぶ。だが「製品の種類は増やすが、これ以上、自社の生産量を増やす気はない」(同)が経営スタンス。設備と在庫リスク回避のためだ。それでも技術力を維持するため、設備更新は怠らない。
 50社ほどの協力会社が同社を支えている。全社の技術力を最大限に使って「ゴム工業品のことなら扶桑に頼めば何とかなるといわれるようにしたい」(同)と田村社長は言う。
 同社のネット・カタログ販売の功績は、プロでなくてはわからなかった工業用ゴム製品を、素人でもわかるようにしたことだろう。顧客は建築業、美容院、ゲーム機メーカーなど多種多様。それに一般市民からの注文もある。直販前には考えられなかった売り先が多い。「確かに商社経由だとボリュームは上がるが、一つ仕事がなくなれば急降下する。個人相手は一つひとつの積み重ねだが、対象人数は桁違い。どちらで苦労するかということだ」(同)。
 豊かな発想をする同社は、経営もひと味違う。中小企業でありながら、同族経営ではないのだ。3代目の田村社長も、生産部門の技術社員で入社、創業家との姻戚関係はない。「2代目も社員からだ。経営に向いた人が経営者になるのが会社も社員も幸せ。私の後継者育成もこれが観点」と笑う。


扶桑ゴム産業のゴム加工製品

扶桑ゴム産業のゴム加工製品


Onepoint

21世紀型の中小企業

 田村社長には気負いもなければ、ギラギラ感もない。淡々とした口調に自信があふれる。自ら発案したネット・カタログ直販が着実に増え、利益率が上がっているからだろう。情報も全国から集まり、動向がつかみやすい。この顧客情報で時代を先取りする。先取りできるから仕事を効率的にこなせるという。
 給与水準が高く残業がないのでも有名。「社長がこんなに早く帰ってきていいの、と妻に言われます」。資本と経営を分離し、プライベートの時間を大切にする21世紀型の中小企業だ。


掲載日:2011年11月16日

加工広島県

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