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元気印中小企業


人材育成を最優先に考えるトランス屋 [日昭工業]

久保寛一社長

久保寛一社長

会社名 日昭工業(株)
代表者 久保寛一社長
業種 トランス製造、電源装置の組立業
所在地 東京都青梅市長渕8-149
電話 0428-24-5311

“ガチャ万”からコイル巻きへ

 日昭工業は鉄道車両向けの特殊トランス製造を主力とする。リーマンショック後の2009年度は売り上げが半減したが、その後の2年間は新興国の交通インフラ整備の波に乗り、倍々ペースで伸びている。
 同社がトランス製造を始めたのは67年(昭42)。機織り屋の“ガチャ万”時代が終わり、先代の久保昭治氏が織物からトランスへ転身を決断した。当時は高度成長期で電化が進み、電源回路に必ず使われるトランスの需要も拡大していた。初めは友人の紹介で、あるトランスメーカーの下請けとなった。取引先が拡大する中で、あるトランスメーカーに従業員を派遣し、技術指導を受けてコイルの巻き方やトランスコアの組み立て方を学んでいった。
 大量生産する家電用の汎用トランスではなく、産業機械や電気設備など多品種少量のトランスに特化した。トランスは装置の電力品質を決める重要部品で、高電圧や高品質など特殊用途は多い。だが、機械でコイルを巻く汎用品とは異なり、多品種少量品の生産の自動化には手間がかかるため、大企業は外注先を求めていた。
 主要取引先から「トランスを作れるなら電源ユニットも、電源装置全体もできるだろう」と任される範囲が広がっていった。配線や電気設計を学び、トランス製造と電源装置の組み立てが事業の2本柱に育った。久保隆一副社長は「必要な技術が増えるたびに、素人ながらとにかく必死で勉強した」と振り返る。
 少量品をほぼ全て請け負うようになったころ、主要取引先のトランスメーカーが倒産し、電機メーカーと直接取引するようになった。自ら営業し、市場を調査するようになり、高い技術力が求められる鉄道車両のトランスに注力していった。
 鉄道車両用トランスは走行中に空気を取り入れて冷却するため、雨水や雪にさらされる。さらに車両の加速や揺れに耐えながら20年もの長寿命が求められる。「一般のトランスの保証期間は長くて数年。高い防水性と耐振動性が必要で新興国には追随できない」と自信をみせる。

人を育てる輪番工場長制度

 トランス製造も電源装置の組立作業も、ほぼすべて技術者が手作業で行う。久保寛一社長は「うちの資産は人材がすべて」と位置づけ、人材育成に力を注いでいる。自己啓発や技術講習、現場改善など社内外の研修を活用し「毎年社員一人あたり40万円を教育費として投資している」と明かす。
 その中でも最も効果を上げているのが工場長の輪番制だ。総勢60人の従業員のうち12人を工場長候補とし、2週間おきに交代で工場長を経験させている。工場長の仕事は生産管理を行うと同時にトランス、電源の両部門間の人員配置を最適化すること。社員の首さえ切らなければ何をしても良い権限が与えられており、管理を学ぶ絶好の場となっている。
 残りの11人は普段はユニット長や平社員として働いているため工場長は一人でも実際は12人いるようなものだ。工場長に何かあっても必ずカバーできる。今年は入社3年目の若手にも工場長候補がいる。久保社長は「向上心がとても強い若手で、成長の機会を与えたかった。11人のサポートがあるから抜てきした」とほほを緩める。
 同時に従業員全員の多能工化も進めている。従業員は1-2年ごとに部門間を行き来させている。短いサイクルで異動するには、短期間で戦力にすることが最低条件、さらに異動後も前部門のノウハウ忘れずに蓄積させることが必要だ。「頻繁にOJTを繰り返すため、みなが教えながら頭の中でノウハウやコツを整理している。マニュアルもあるが、頭の中で知恵として生きていることの方が重要」(久保寛一社長)と指摘する。また日々の仕事量に合わせて部門を越えて応援にいくため「頻繁に手伝っているから、前の部門のノウハウを忘れる暇がない」(同)と笑う。そして工場長はその経験を通して、従業員が育っていく過程を見ることができる。
 現在は多能工化が進み、2部門間の行き来が簡単になった。また全社員に生産管理の意識が浸透したため、工場長がひとりで四苦八苦しながら各部門を調整することはなくなった。現在は副工場長の人材育成に焦点が移っている。副工場長は正社員全員で担当し、工場長を手伝いながら管理を学ぶ。人を育てる循環ができている。


コイル巻線のOJTを受けている泉さん(写真右)は今年3年目で工場長

コイル巻線のOJTを受けている泉さん(写真右)は
今年3年目で工場長


Onepoint

ライン変更を前提とした設備設計

 実はソフト面だけでなく、工場や加工装置などハード面も工夫を凝らしている。コイルを巻く巻線機を内製化し、仕事量や仕様に合わせて設計を変える。新規製作でも2日で組み立てる早さだ。コストも市販品は約500万円するが、部品で買えば80万円に抑えられる。また受注量に応じて常に工場のレイアウトを変更するため、ライン変更を前提とした設備が設計されている。ツアーで工場見学に来た電機メーカーが工場を見てその場で発注を決めるなど、営業力のある工場に仕上がっている。


掲載日:2011年11月16日

東京都製造業

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