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元気印中小企業


沖縄風壁材で建設業の冬の時代を勝ち抜く [沖坤]

宮城勝社長

宮城勝社長

会社名 (株)沖坤
代表者 宮城勝社長
業種 コンクリート製品製造業
所在地 沖縄県名護市字久志521-6
電話 0980-55-2231

20年後を見据える

 市場をつくる-。沖坤(おきこん)は沖縄県名護市のコンクリート二次製品メーカー。官公需中心だったが、沖縄の地域性を前面に打ち出した一般向け製品で、建設関連業界が直面する冬の時代を勝ち抜いている。「これまでの製品では食べていけなくなる。10年、20年後を見据えて、市場をつくる必要があった」と、宮城勝社長は開発に乗り出した2003年ごろの決意を振り返る。
 沖坤は県内向けに側溝用U字溝や公園で使われる擬石、擬木などプレキャスト製品を製造している。社名の「坤」は物を成長させる徳や、南西の方位を意味する易学の八卦(はっけ)の一つ。創業時の社名は「沖縄コンクリート」を略して「沖コン」としていたが、先代社長が事業を継承する際に社名変更した。沖縄の地理性にちなむとともに、成長を願ったものだ。そして現在はその名前が示すように成長を続けている。
 建設関連業界は民主党政権の「コンクリートから人へ」の政策で、公共工事が急激に減少した。また競争入札が基本のため、受注しても価格競争を強いられて利幅は削られる。加えて沖縄の企業は、距離がハンディキャップとなる。特に重量のあるコンクリート製品メーカーにとっては、県外市場への進出は運賃が重荷となりハードルは高い。

サンゴ、赤土などの地域資源を活用

 そのような向かい風のなか事業の新しい柱に育ったのが、壁材「琉球の塗壁(ぬりかべ)」だ。サンゴなど県産原料5種類を使った天然壁材で、室内を自然な色や風合いに演出できる。原料はいずれも、沖縄の風土を象徴する素材ばかり。シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなど揮発性有機化合物の吸着や調湿、脱臭効果もある。この製品開発により、顧客を一般消費者にまで広げることに成功した。
 同社はもともと廃瓦や赤土を使った舗装材を製品化していた。沖縄の強い日差しによる路面温度の上昇を防ぎ、排水性も良いことから、公園の遊歩道などに使用されてきた。県内の展示会に同舗装材を出品したところ、「壁材にしてみては」という声があがり製品化に取り組んだ。
 宮城社長は「危機感が強かった。自社で価格を決められる市場に出る必要を感じていた」と力を込める。そこには市場創出とともに、県外進出の突破口を開く意味もあった。
 原料は許可を得て沖縄の海から採取した「風化造礁珊瑚(さんご)」をはじめ、琉球石灰岩が再石灰化した「勝連トラバーチン」、南部石灰岩の石粉「コーラル」、さらに「赤土」と「赤瓦」の5種類ある。脱臭や抗菌効果がある「オニヒトデ炭」や「月桃繊維」をオプションで混ぜ込み、より「琉球風」を演出することもできる。伝統的な日本の壁材であるしっくいも配合する。

距離のハンディを逆手に

 天然壁材へのニーズは市場で高まっている。珪藻土(けいそうど)との競合や、弱みだった「距離」が逆に大きな強みとなった。沖縄独特の原料を使うため、県内だからこそ低コストで調達できるからだ。「県外メーカーではコストが合わないだろう」と、宮城社長は自信をみせる。
 風化サンゴや赤瓦など、廃材・端材を使う点もアピールポイントになった。コスト低減の反映とともに、環境配慮型製品の側面も持つためだ。結果として価格を珪藻土よりも安く抑えられ、機能性・価格・環境という3要素を実現した競争力を持つ製品となった。
 「琉球の塗壁」は全国に広がり、「減少した公共工事による売上高を補填するまでになった」と宮城社長は笑顔を見せる。沖縄に塗り壁の習慣はなかったが、個人宅や飲食店で広まっている。また施工した工務店の口コミが全国に波及効果を生んでいる。宿泊施設や高齢者向け介護施設など、機能性を生かした場所で利用が進む。
 今後はさらに拡販を目指すとともに、民需製品の開発を積極化する。「沖縄ブームは定着した。青い海や空、サンゴ礁といったイメージと、地域資源など沖縄の“地の利”を製品に生かす。海外販路も広げていきたい」と、宮城社長は力を込める。太平洋を臨む本社から海の向こうに将来の成長を見通しながら、地歩を固める。


「琉球の塗壁」を施工した壁(コーラル使用)

「琉球の塗壁」を施工した壁(コーラル使用)


Onepoint

新興国市場の攻略も

 沖縄の製造業にとって、県外進出には課題がつきまとう。原料調達と製品出荷の輸送コストが価格に跳ね返り、汎用(はんよう)品では価格競争に負けてしまう。沖坤は有形無形の地域資源で付加価値を付け、県外で競争力を持つ製品を開発した。自然派の壁材は健康志向を受け、成長が期待できる分野だ。新興国市場も取り込めれば、さらなる成長が可能だろう。そのためにも今後は、需要増に対応する安定的な大量生産体制と、ブランドで付加価値を維持する仕組みづくりが不可欠となる。


掲載日:2011年11月 9日

沖縄県製造業

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