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元気印中小企業


震災で注目度高まる、おいしさが売りの非常食大手 [尾西食品]

尾西洋次社長

尾西洋次社長

会社名 尾西食品(株)
代表者 尾西洋次社長
業種 非常食の製造・販売業
所在地 東京都港区三田3-4-2
電話 03-3452-3212

3・11を機に注目

 尾西食品は、非常食「アルファ米」の製造販売を手掛ける。一度炊いた米を乾燥させた食品で、パッケージに熱湯を注げば15-20分で、15度Cの水でも60分で食べられる。常温で保存でき、保証期間は5年間。宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「宇宙日本食」の認証も受けた。
 もともとは、尾西洋次社長の父親である尾西敏保氏が1932年に製法を確立し、海軍に納入していた軍用食糧だ。戦後に非常食として販売し、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに注目された。従来、非常食と言えば「乾パン」のイメージが強かったが、避難所では乾パンよりもアルファ米の人気が高かったこと、種類の豊富さや味の良さも後押しし、乾パンから切り替えて備蓄する企業や自治体が増えている。
 2011年3月11日の東日本大震災で、さらに知名度を上げることとなった。被災地だけでなく、首都圏の帰宅困難者に対して、多くの企業が備蓄分を放出したためだ。尾西社長は「こんなに多くの人が当社のアルファ米を食べたことはなかった」と振り返る。同社も、3月末に地方自治体や企業に納入予定だった約80万個を被災地に提供した。
 主力工場は宮城工場(宮城県大崎市)のため「今回、初めて被災者の立場になった」(尾西社長)震災ともなった。揺れが小さい地盤だったこと、電気が別系統で来ていたことなど幸運が重なり、工場の被害は軽微ですぐに生産を再開した。工場職員の87人とその家族は、被災しながらも生産とアルファ米の配布などの対応に追われ、震災から1カ月以上、同社のアルファ米を食べて乗り切った。
 震災時に非常食が食べられたことで、自治体や企業の間では保存日数や備蓄数量を増やそうという機運が高まっている。宮城工場は月産約100万個の能力を持つが「震災前から約1年間フル生産が続いており、現在は3カ月待ち」(同)の状態。さらに1年はフル生産が続く見込みだ。

ブランド構築に力

 震災後、同社には「おいしかった、あってホッとしました」と感謝の声がたくさん寄せられたという。同社は、ブランドタグラインでもある「安心と思いがけない幸せを提供します」の言葉通り、非常時で混乱した状況のなかだからこそ、おいしいものを提供しようとこだわっている。「とにかく、おいしいんです」(同)と絶対的な自信を持つ。
 米は地域一等米を使用。さらに、和風、洋風、おかゆなど12種類の味を用意している。避難時などで長期間食べ続ける場合は、同じ味では飽きてしまうためだ。登山食として食べる人や、長期の海外旅行でお米が食べたくなるので海外に持って行く、というファンもいるそうだ。
 順風満帆のように見えるが、10年前に経営危機に陥り、その後、外部から役員を招き入れ再建に踏み切った過去がある。同時に、日本におけるブランディングの第一人者である片平秀貴氏、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏と全社員によるブランド再構築を行った。ロゴを設定してパッケージなども刷新し、06年に再スタートを切った。
 以来、全従業員にブランド意識の徹底を図っている。例えば、毎朝15分間のブランドミーティング。6-7人のグループに分かれ、ブランドタグライン、ブランド宣言、行動規範全17カ条の全23テーマについて話し合う。内容は、グループ内で毎日交代する司会と書記がまとめ、全社員メールで配信する。さらに年4回、休日出勤して研修を行い「企業人としてどうあるべきか」などを再徹底する。こうした取り組みで、安心を提供する企業としての質を高めるほか、同業他社との差別化を図っている。
 震災後、追い風とも言える状況が続いているが、「こういうときだからこそ、企業の質が問われる。懇切丁寧に対応していきたい」(同)と堅実な姿勢を見せる。大企業は緊急時事業存続計画(BCP)の一環として非常食の備蓄を進めているが、今後は対策意識の低い中小・中堅企業や個人宅への普及が課題だ。


味にこだわった尾西食品のアルファ米

味にこだわった尾西食品のアルファ米


Onepoint

勝負の決め手は“味”

 パッケージデザインを手掛けた佐藤卓氏は、「最初は乗り気でなかったが、食べてみたらおいしかったことに驚き、引き受けることを決めた」とか。経営危機から復活した理由を、外部から招かれた林紳一郎専務は「『この会社はおもしろい』と周りが認めてくれ、協力を惜しまなかったこと」と分析する。「この会社に協力しよう」と思わせたものは、何よりも「味」なのだろう。記者もその味に驚いた一人。ちなみに、味の一番人気は、五目ごはん。次に白飯、わかめご飯だった。


掲載日:2011年11月 2日

東京都食品製造業

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