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元気印中小企業


テラヘルツセンシング技術を産業現場へ [スペクトルデザイン]

深澤亮一社長

深澤亮一社長

会社名 (有)スペクトルデザイン
代表者 深澤亮一社長
業種 光学非破壊検査装置の開発・販売業
所在地 栃木県大田原市湯津上285-1
電話 0287-98-3066

戦国時代に突入の予感

 9月上旬に開かれた「分析展2011」。分析計測技術とアプリケーションが数多く展示される中で、ある光学センシング技術が注目されていた。大塚電子、アドバンテスト、浜松ホトニクスなど、各社が相次いで投入したのが、可視光・赤外線と電波境界にあるテラヘルツ波を使った製品だ。ブースを回ったスペクトルデザインの深澤社長は、各社のブースを巡りながら直感した。「ここ1、2年でテラヘルツ波の関連機器の市場は戦国時代に突入するだろう」。
 テラヘルツ波は周波数0.1テラ-10テラヘルツ(テラは1兆)の電磁波。物質を透過し、人体への影響が少ないといった特性から、非破壊検査やセキュリティーなどの分野での研究開発・実利用が進んでいる。
 スペクトルデザインは、栃木ニコン(大田原市)で技術者だった深澤社長が、スピンアウトして立ち上げた研究開発型ベンチャー企業だ。テラヘルツ波の各種検査機器の開発や近赤外光を使ったイチゴの品質管理をする非破壊検査システムなどに着手。光センシング技術を活用した非破壊検査を得意としている。
 近年のテラヘルツ波について深澤社長は「いよいよ、産業化に向けた転換期に入ってきた」と強調する。2000年ごろから、研究開発主体で進んできたテラヘルツだが近年、大手メーカーがこぞって関連機器を投入し、市場が形成されつつある。実際、情報通信研究機構のテラヘルツ技術動向調査報告書によると、2020年までに市場規模は3700億円と現在の約30倍に拡大し、この技術がエネルギーやロボットなど分析機器以外の分野に応用されれば、1兆円市場に広がる可能性があるという。

非破壊検査用途にOEM供給

 国内企業ではまだ10社にも満たないテラヘルツ波の市場。中小企業ながら参入している同社が狙うのは産業界で最も実用化が見込まれる非破壊検査向けだ。これまでの非破壊装置は外国製が主体であり、大型で現場への持ち運びが難しく、また1億円前後という高価格なのも普及の課題だった。そんな中、テラヘルツの利点はユーザーから認知され始めており、たとえば美術品の修復作業などで高い効果があることが実証されている。
 同社は産業技術総合研究所やNTTなどと連携し、テラヘルツ波を使って遠隔地から災害現場の危険ガスを察知できる遠隔分光センシングシステムを試作するなど、早くから実績を積み上げてきた。こうしたノウハウを武器にテラヘルツ波の発生・検出原理などをコア技術とし、各社へのOEM(相手先ブランドによる供給)で市場シェアを獲得する戦略を描く。
 実際、同じ大田原市内の中小企業と連携し、大手メーカー向けに世界で初めてとなる小型のハンドキャリータイプの装置を開発した。コストダウンや部材調達を工夫し、約2500万円、重量も22キログラムと現場で持ち運びできるサイズにまで小型化した。11年度は大手メーカーを通じ、10台の販売を目指している。ほかにもすでに半導体の非破壊検査用にも開発依頼が来ており、着々と準備は進んでいる。
 現在、テラヘルツ市場は医薬品向け、非破壊検査向など市場がすみ分けされており、それぞれ参入する企業が一緒になって市場を育て上げている時期という。とはいえ、市場全体で見るとどの分野のシェアが大きくなるのかという点では話は別。「関ケ原の戦いに例えれば、誰が徳川家康になるか、勝負は始まっている」と深澤社長。
 今後、非破壊検査の普及に向けて、12年度までに事業規模で2億円を目標に掲げる。だが、そのために課題となるのが、技術的改良はもちろん最も大きいのは価格だ。「1億円前後だった10年前と比較するとだいぶ低価格になったが、2000万円を切るまでにおさえないと普及は進まない」と深澤社長は話す。このため、製造工程におけるコストダウンなどが鍵となる。
 「非破壊検査向け市場には、今まではベンツクラスのハイエンド品しかなかった。だが、ユーザーの中には低価格を求めるニーズもある。うちはカローラクラスを投入してシェアを伸ばしたい」と深澤社長は先を見据えている。


製造ラインなどの産業現場に持ち運べる可搬型の非破壊検査装置

製造ラインなどの産業現場に持ち運べる
可搬型の非破壊検査装置


Onepoint

グローバル市場へ

 産業化に向けて転換期に入ったテラヘルツ技術だが、海外に目を向けると、実は欧米のほうが先を走っているという。特に非破壊検査装置では国産機が少なく、高価な外国製品を輸入せざるをえなかったのがこれまでだ。「彼らのスピードは日本よりはやい」と深澤社長は警告する。
 現在、国内外で約30社がしのぎを削る。国内市場が戦国時代に突入したとはいえ、国内にとどまるのではなく海外市場にも、テラヘルツセンシング技術で存在感を発揮してほしい。


掲載日:2011年10月19日

栃木県製造業

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