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元気印中小企業


苦難の金型業界で“ハイテン”に勝機 [オオイテック]

大井孝雄社長

大井孝雄社長

会社名 (株)オオイテック
代表者 大井孝雄社長
業種 自動車向けプレス用金型業
所在地 群馬県太田市西矢島町84-1
電話 0276-38-2200

苦難の金型業界で生き残りへ

 群馬県東部に位置する太田市は金型産業の一大集積地。同市に立地するオオイテックは主に自動車向けプレス用金型を手がける。用途はボディーに使われる構造品から燃料タンク関連の板金部品まで多岐にわたる。従業員は55人で、2011年7月期の売上高は約13億円。ハイエンドCADのキャティアを採用し、設備はトライ(試し打ち)用の大型プレス機や5軸マシニングセンター、3次元非接触式測定器などを保有している。
 金型業界は08年秋のリーマンショック以降も厳しい環境が続いている。大井孝雄社長は、「一定の受注量は確保しているが、とにかく価格が安く、収益確保が難しい」と同業界共通の苦悩を代弁する。特に群馬県東部は金型メーカーが集積している。裏を返せば、供給過剰構造により価格下落が止まらない。
 大井社長によると、以前は金型の価格に占める材料費の割合は約3割で、残り7割で労務費などを十分にまかなえた。リーマンショック以前の最盛期と比べて価格が半減した現在、比率が逆転して材料費が7割を占める。生産性を飛躍的に高めないと、赤字受注を重ねてしまう状況だ。
 そのうえ円高が進み、現在1ドル=70円台後半の為替環境が定着。同時に中・韓・台の近隣工業国の金型メーカーが技術力を高めてきており、顧客の自動車メーカーやサプライヤーは海外調達の拡大に動きを加速している。「せめて1ドル=85円くらいでないと厳しい」(大井社長)と明かす。今や日本勢が優位性を保てるのは、高張力鋼板(ハイテン)と呼ばれる難加工材分野の金型などに限られる。

上流と下流の連携がカギ

 ハイテン用の金型を製造するには高性能マシニングセンターや、トライ用プレス機、設計やシミュレーションソフトや寸法測定器など巨額な設備が求められる。多くの中小金型メーカーが薄い利幅で経営に苦しむ中、幸いオオイテックはハード・ソフトの両面で必要な設備投資を済ませている。今後の方針は既存の設備を生かしながら、「いかに収益性を高めていくか」(大井社長)に集約される。
 鍵を握るのは上流工程である設計段階で品質を作り込めるかだ。ハイテンのような高強度の鋼板は、スプリングバックと呼ばれる加工後の形状変化が、大きく現れやすい。このスプリングバックは「玉成」と呼ばれる下流工程で、熟練者が金型を修正することで解消していく。オオイテックは上流工程の設計者と下流工程の玉成を担当する熟練工と打ち合わせする機会を設け、設計段階からスプリングバックや不具合を解消する努力を続けている。また金型が完成したら出荷して終わりにするのではなく、担当者に反省や次に何を生かせるか考える習慣を持たせている。このようにして、「例えば以前は5回の金型の修正が必要だったのを、2回に減らせれば」(大井社長)、収益性が改善するだけでなく、短納期も実現できる。
 これまでの価格下落一辺倒の傾向にも変化が見える。群馬県内で金型業者の淘汰(とうた)が進みつつあるためか、大井社長によると、「最近、価格の低さから受注を見送った案件が、後に再見積を依頼されることがあった」という。現在は各自動車メーカーとも新型車開発が盛んで、オオイテックは1年後の12年半ばまでは一定の受注を確保できると見込む。
 また、トヨタ自動車グループが東北地方で自動車製造拠点を構築している。東北地方と群馬県はこの3月の北関東自動車道の全線開通によってアクセス性が大きく改善した。厳しい環境の中でもチャンスはある。
 しかし、大井社長は「12年後半以降の需要動向は不透明で、今後の極端な国内空洞化が到来するかもしれない」と最悪の事態も想定する。そこで現在、オオイテックや県内の金型メーカーは群馬県の協力の下、海外市場の開拓に取り組んでいる。第一弾は11年10月に実施するメキシコ市場の視察だ。「単独での海外進出はリスクが高くても、業界内で協力し合えば活路は切り開けるはず」と前を向く。


マシニングセンターがずらりと並ぶ工場

マシニングセンターがずらりと並ぶ工場


Onepoint

暗黙知で新興メーカーと差別化

 群馬県ではオギハラ(太田市)や富士テクニカ宮津(旧宮津製作所、大泉町)など、世界的な金型メーカーが立地する。しかし現在、大手・中小と問わずに金型業界は苦戦が続く。加工や設計のデジタル化により、ノウハウに乏しい新興国企業が参入しやすくなっているなど、モノづくりを巡る環境が激変したことも一因だ。
 一方、デジタル全盛の時代こそ、日本が培ってきた暗黙知の希少価値は高まる。オオイテックが取り組む設計担当者と玉成担当者の交流は、設計製造のデジタル化に対応しつつも、暗黙知で新興メーカーと差別化する戦略で、その成否は日本の金型業界の今後を占う試金石となりそうだ。


掲載日:2011年10月12日

群馬県製造業金型

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