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元気印中小企業


自社製品をヒットさせた下請け企業 [岩田鉄工所]

岩田勝美社長

岩田勝美社長

会社名 (株)岩田鉄工所
代表者 岩田勝美社長
業種 金属・機械加工業
所在地 岐阜県羽島市正木町新井319
電話 058-392-4525

本業の仕事激減をバネに

 柄のボタン操作で長さを自由に変えられる電動伸縮つえ「伸助さん」。2010年1月の発売以降、ありそうでなかったつえとしてテレビなどで取り上げられ、一時は受注制限をかけるほど注文が殺到したヒット商品だ。
 開発した岩田鉄工所は、精密機械加工を手がける従業員数約40人の中小企業だ。半導体製造装置に使われる精密部品の加工など、いわゆる“下請け仕事”が本業だが、伸助さんなど自社製品の売り上げが、今や頼れる収益源に育っているという。
 同社が自社製品の開発に乗り出したきっかけは、08年秋のリーマン・ショックだった。設備関連の生産に急ブレーキがかかり、売上高が1割にまで激減。明るい岩田社長から笑顔が消え、「この先どう経営すべきか、従業員のことを考えると毎晩眠れなかった」(岩田勝美社長)という。
 そんな矢先、交流のあった大学教授から電動伸縮式立ち上がり補助器の製作依頼を受けた。「設備関連以外の何かを自社で作りたい」と強く考え始めていた岩田社長は、ためらわずに開発に着手した。 立ち上がり補助器の伸縮機構には、油圧や空圧などに比べ故障リスクが少なく垂直荷重に耐えるネジ式を採用した。回転運動を直線運動に変えるボールネジの原理と同じだ。この機構をより一般的な商品に展開するべく思いついたのがつえだった。
 長さが固定された従来のつえでは階段の昇降時に不便なことに着目。「昇る時に短く、降りる時に長く簡単に調節できるつえがあれば便利」(同)。岩田社長はこの満たされない需要を満たす製品を作れば売れると直感した。
 アイデアが浮かぶと、即行動に移すのが岩田流だ。駆動部には市販の電動ドライバーを転用。伸縮速度を上げるためにネジを二条ネジにし、数カ月で初号機を完成した。だが、出来上がった製品は重さ1キログラム超と、つえとしては重すぎた。
 違和感のない重さになるまで内部の部品を削ったり、軽量化素材を採用したりして工夫を重ねた。電動ドライバーも小型モーターに変更。最終的に360グラムにまで減量し、さらに安全面では3キログラムの荷重で伸縮が自動停止するなどの万全の対策を取り、ついに発売にこぎ着けた。

不具合発生でさらに知恵絞る

 伸助さんの発売後、ユーザーからさまざまなクレームが届いた。多かったのは、つえが倒れた時にモーターが破損する不具合だ。モーターメーカーに依頼し、耐衝撃性を高めると同時に、ノイズが少なく高トルクの専用モーターを作ってもらった。
 すると今度はトルクが上がったことで、つえを縮めながら体重をかけた際にネジが締め込まれ、再伸長しなくなるトラブルが発生。これを解消するため、縮む方向にネジが締め込まれないよう独自のブレーキ部品を考案した。縮む方向にだけブレーキがかかる仕組みのアイデア部品だ。
 また、スイッチを離した後に惰力で3センチメートルほど勝手に伸縮してしまう現象には、ナットを一体構造のダブルナットという独自の形状に変え、また樹脂の種類を変更することでネジとナットの摩擦を絶妙に調整して解決。同時につえをついた時に出るカツカツ音も解消した。
 売りっぱなしではなく、不具合に対するユーザーの指摘に対して真摯に向き合い、素早い改善に努めた同社。改良中、「不具合をどうやれば改善できるか。四六時中考えていた」(同)という岩田社長の親指には、トラブルの原因を突き止めるために、つえのスイッチを何度も操作したことで硬いマメができていたという。
 伸助さんの発売後、メディア効果もあって1年半で売上高は1億円を超えた。出荷本数は落ち着きつつあるが「改良で品質に自信がついた」と岩田社長。今後も団塊世代の高齢化でユーザーの増加を見込むほか、海外販売も視野に入れている。
 新製品の開発も続けている。11年9月には伸助さんのコンパクトタイプを発売。マイク昇降装置なども開発中だ。また岩田社長の長男の岩田真太郎取締役も、社長に負けじと人型ロボットハンドの市販に向けて開発に取り組んでいる。「受け身で仕事をこなす姿勢では生き残れない。開発型の顧客と付き合って新製品開発に積極的に関わりつつ、自社製品も開発する。そんな活動を続けていきたい」(同)。


自在に伸縮する杖「伸助さん」

自在に伸縮する杖「伸助さん」


Onepoint

考え、行動し、学ぶ会社

 満たされない需要を見つけ、それをどう作れば形にできるかを考える。岩田社長はそこに人一倍のエネルギーを注いでいる。斬新なアイデアは、これまで培った豊富な機械加工の知識に加え、普段からモノの仕組みをよく観察しているからこそ出るものだ。試作止まりで日の目を見なかった製品や販売で失敗した苦い経験もある。しかし能動的に考えて即行動し失敗から学ぶ、真面目で前向きな姿勢が技術と知識を高めている。それが取引先からの信頼にもつながっている。


掲載日:2011年10月12日

加工岐阜県製造業

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