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元気印中小企業


ベンチャーの希望の星に [ナノフォトン]

中原林人社長

中原林人社長

会社名 ナノフォトン(株)
代表者 中原林人社長
業種 製造業
所在地 大阪市北区梅田1-1-3-267
電話 06-6347-1321

収益の出せる体質に変革

 「大学発ベンチャーの希望の星になりたい」―。ナノフォトン(大阪市北区)の中原林人社長は期待を胸にこう語る。同社は、光学レーザーを専門とする大阪大学大学院工学研究科の河田聡教授の研究を基にして、2003年2月に設立した大学発ベンチャー企業だ。阪大発のベンチャーは約80社あるが、その中でも利潤を出している企業は「数社しかいない」(中原社長)という。中原社長は、大学発ベンチャーが陥りやすい"落とし穴"を分析することで、成功をつかもうとしている。
 03年の設立当初は、現在主力となっているレーザーラマン顕微鏡のほか、研究機関向けにナノ(ナノは10億分の1)単位で分子の配列がわかるフェムト(1000兆分の1)秒レーザー光高調顕微鏡や、物体表面の温度変化を非接触で測定できるサーモリフレクタンス顕微鏡など、多種類の高性能顕微鏡を開発、販売していた。ただ、「研究用途の"一品製品"では、コスト高で事業として成立させるには厳しい面があった」(同)。

レーザーラマン顕微鏡で飛躍を誓う

 大学発ベンチャーの社長には、研究者が就く場合が多い。「最終製品ありきで開発を進め、市場ニーズを軽視した経営が落とし穴になる。研究と経営を切り離して考える必要がある」(同)と指摘する。
 中原社長は、東京大学大学院工学系研究科で博士号を取得し、航空宇宙工学研究所(現宇宙高級研究開発機構、JAXA)でエンジニアとして働いた経歴がある。それと同時に、経営学修士(MBA)をもつ経営マネジメントの専門家でもある。08年に社長に就任すると、「研究と経営は別個のもの」と考え、一品製品の開発は中断し、成長が見込める汎用品の製造販売に経営資源を傾斜していった。
 中原社長が目をつけた製品が、レーザーラマン顕微鏡だった。同顕微鏡は、可視光を分子にぶつけた際に乱反射する光を測定し、散乱した光の波長変動を調べることで物質の分布情報を画像やスペクトル値で分析できる点に特徴がある。また、蛍光材を添加せずに分析対象物のカラー画像を表示できるため、組成物に影響を与えないメリットもある。ただ、既存の顕微鏡は固定式レーザーを点で照射し、対象物をスライドさせて分析する。対象物自体を移動させるため、画像がぶれてしまうことや、分析時間が数時間以上かかることが課題となっていた。
 同社が開発したレーザーラマン顕微鏡「RAMAN-11」は、移動式レーザー走査で線状に照射する。レーザーをスライドさせ対象物を固定するため、画像のぶれを抑えることができる。また、レーザー照射を線状にしたことで、分析にかかる時間を最大20分に短縮した。接近した2つの組成物を見極める能力を意味する空間分解能は、既存製品の3-5倍の350ナノメートルという。
 レーザーラマン顕微鏡に注目した理由は、同装置の使用分野が多岐にわたることにもある。スペクトル分析だけでなく、対象物の組成を高画質で画像化できるため、「半導体シリコンウエハーや医薬品の応力分布、化粧品の成分分析、ダイヤモンド工具の結晶評価、多層フィルムの断層解析など、さまざまな分野で使用が進んでいる」(同)という。「分析機器市場全体は年間約6%減少をしている中、レーザーラマン顕微鏡は10%程度伸びている。使用領域を広げることで、今以上の成長が見込める」(同)と見ている。今後は国内外の既存代理店を活用し、新しい用途開拓を深耕していく方針だ。

開発したレーザーラマン顕微鏡「RAMAN-11」

開発したレーザーラマン顕微鏡「RAMAN-11」

Onepoint

なくてはならない製品づくりを

 大学発ベンチャーの失敗例は、競争に負けたからではなく、ニーズを読み取らず、製品開発が自己満足で終わっているからだと分析する。中原社長は、これを“死の谷”読んでいる。克服するには「ニーズから製品の骨格を決める定義付けから始めることが肝要」(中原社長)と説く。そして、競争を勝ち抜くには「あれば便利ではなく、なくてはならない製品をつくること」という。「5年後には、レーザーラマン顕微鏡で国内トップシェアをとる」(同)と自信を見せる中原社長。5年後の同社の飛躍を期待したい。


掲載日:2011年8月 2日

大阪府製造業

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