人材重視の経営 [西島]
西島篤師社長
| 会社名 | 西島(株) |
|---|---|
| 代表者 | 西島篤師社長 |
| 業種 | 工作機械製造業 |
| 所在地 | 愛知県豊橋市石巻西川町大原12 |
| 電話 | 0532-88-5511 |
「モノづくりは人づくり」―。よく言われる言葉だが、西島ほどこの言葉通りの経営をしている企業は少ないだろう。自動車産業などで使われる専用工作機械メーカーの西島は、「人員整理をしない」、「定年制を設けない」を順守する経営で知られている。
厳しくても雇用を守る
2008年秋のリーマン・ショック後の不景気で、工作機械業界は一時、受注が前年同月比8割減となる厳しい時期を迎えた。同業他社の中には固定費削減のために人員整理に着手したところも少なくなかったが、西島はこれをまったくしなかった。そのかわりに新製品や新技術開発の強化、生産設備の高度化、従業員教育の推進に力を入れる方針を西島篤師社長は出した。
同時に営業担当者には「今までの2倍、3倍と動いて顧客に会え」(西島社長)と指示し、景気回復期に向けて顧客が何を求めているかを探る戦略を取った。これにより社内で仕事を作り、「受注がなくても従業員を遊ばせない」(同)ようにした。
また「人材重視の原点になるのは採用」(同)として、他社が採用を取りやめる中でも従来通りに新規採用を実施。従業員140人の同社で、09年に10人、10年に12人を採用した。これは「コンスタントに採用を続けることで、生徒を推薦してくれる学校との信頼関係を築ける」(同)との思いからだ。
定年制設けずノウハウ活用
定年制を設けていないのも、人材を大切にする考えからで、「健康でほかの従業員と同様に働ける人材なら、働いてもらうべきだ」(同)との信念がある。勤続60年77歳の従業員が同社の最高齢で、ほかの若い従業員とともに働いている。「彼には培ったノウハウがある。彼からもらうアドバイスは貴重」と西島社長は語る。そのかわり労働時間を減らさず「ほかの社員同様に8時間働いてもらう」(同)。特別扱いしないことで、若手とのあつれきを生まない工夫もしている。
同社では部品加工などを外注しないで、社内で一貫生産している。品質を作りこんで安定させるのが狙いだが、厳しい時期に人員整理しないで設備の高度化に取り組んだことで「生産設備にロボットを導入するなどの成果を出せた」(同)。また余剰人員を開発に回し、「残材を長さ20ミリメートルと通常の3分の1にまで減らした丸鋸切断機を開発し、3月に発売できた」(同)。
人材重視で好結果につなげてきた同社。「よく他社から『おたくだからできる』と言われるが、そんなことはない。受注が少ない時期に厳しいのはどこも同じ」と西島社長は力説する。どんなに厳しい状況にあっても人材重視の経営を変えないことで、同社は成長を続けている。
通常の3分の1まで残材を減らした丸鋸切断機
「人材は宝」
工作機械業界は景気の山谷が激しく、不景気になると人員整理をする企業も少なくない。だが同社ではそんな状況にあっても「人材は宝」(西島社長)として決して人員整理しない方針を貫いてきた。西島社長が人員整理しないと明言することで、社員は安心して将来に向けての新製品開発や生産体制の強化、顧客の情報収集などに取り組める。これが景気回復期のスタートダッシュを可能にする。工作機械業界以外でも、同社の人材重視の経営を参考にする価値はあるだろう。
掲載日:2010年9月 1日

