“氷感”技術を世界へ [フィールテクノロジー]
三谷明彦社長
| 会社名 | (株)フィールテクノロジー |
|---|---|
| 代表者 | 三谷明彦社長 |
| 業種 | “氷感”技術を応用した保冷装置の開発・製造業 |
| 所在地 | 島根県大田市久手町波根西750-7 |
| 電話 | 0854-84-0315 |
人口わずか4万人弱、これといった産業もない山陰の小都市に、とびきり元気な中小企業がある。島根県大田市に本社を置くフィールテクノロジーだ。近年、かなり広範に知られるようになった“氷感”技術を生かした保冷装置の生みの親である。2002年2月の設立から8年で保冷装置だけでなく車両、コンテナ、倉庫などへも領域を拡大。世界へ打って出ようとしている。
凍らさずに鮮度保持
創業者の三谷明彦社長は、地元の金融機関を脱サラし同市内にカニ料理店を開店した。脱サラしたのは38歳。しかし具体的な目標があったわけではなかった。三谷社長の思いは「元気がない大田市を何とかしたい」。当然家族や同僚は猛反対した。幸いカニ料理店は大成功し寝る間もないほどの状態だった。売り上げも順調に伸びたが、高級食材を扱うだけに、いかにロスを少なくするかに頭を悩ませていた。
そこで出会ったのが“氷感”技術。料理店を経営しながら試行錯誤を続けた。“氷感”のネーミングは三谷社長自身によるものだが、端的にいえばマイナス10度Cの氷点下でも対象物を凍らせることなく鮮度を保つ技術。“氷感庫”内に静電エネルギーの微振動を加えることで、氷点下でも水が凍らない過冷却現象を安定して引き起こし、食材の鮮度を保持する。トランスで数1000ボルトもの高電圧をかけ、静電エネルギーを発生させるのがポイントだ。
当初、トランスなどを購入し実験したが漏電がひどく何度も感電した。漏電防止の技術を確立したことで製品化が可能になった。さらに数1000ボルトもの高電圧はかけるが、電流は数アンペアと微々たるもの。高電圧を供給して電流を下げるという困難な課題をクリアしたことも大きい。
業務用に絞り商品化
ただこの技術は「メカニズムがはっきり解明されていない」。それでも三谷社長は、研究を繰り返し対象物ごとの微妙なノウハウを確立していった。その過程では「顧客がいろいろと工夫してくれたことが大きい」という。鮮度保持期間は対象物によっても異なるが、冷蔵の2倍以上。冷凍するわけではないので食味も落ちない。価格は100万円からと高価だが、すでに累計販売台数は600台に達した。
商品戦略としては、今のところ業務用に絞りスタンダードタイプ、恒温恒湿タイプ、テーブルタイプなどをそろえた。さらに1億円以上の大型倉庫なども展開している。
国内に20の販売代理店を設置し、05年にはハワイに販売会社「氷感USA」を設立した。同社が今後の海外戦略の核になる。もちろん現地需要もあるが、「日本の飲食店などが海外に進出して一番困るのは食材の鮮度保持。この技術は最適」。 この間、大型案件が舞い込んでおり、10年8月期の売り上げは10億円に達する勢い。“氷感”の知名度向上につれ事業規模も拡大し同社は新たなステージを迎えている。
開発に成功した「氷感庫」
“素人のよさ”が好結果に
38歳で脱サラし同社を創業したのが40歳を超えてから。決して早い起業ではない。それでもここまでこれたのは、「自分を追いつめないと100%の力が出ない」という三谷社長の個性によるところが大きい。ホームページには協力関係にある大学などがずらりと並んでいるが、いずれも三谷社長が徒手空拳で乗り込んだところばかり。こうしたがむしゃらさと「素人のよさ」が好結果につながった。特許や実用新案の出願件数は多く、権利関係はおさえた。いよいよ飛躍期に差し掛かっている。
掲載日:2010年2月 3日

