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元気印中小企業


世界に誇る化粧筆 [白鳳堂]

高本和男社長

高本和男社長

会社名 (株)白鳳堂
代表者 高本和男社長
業種 化粧筆製造業
所在地 広島県安芸郡熊野町城之堀7-10-9
電話 082-854-1425

過去に学ぶ

 広島市街から東へ20分ほど車を走らせると、都会の喧騒(けんそう)から離れ情趣ある山間の町に行き着く。道は自動車がすれ違うにも一苦労するほど狭く、その両脇を趣のある情緒豊かな家屋が軒を連ねている。細い山道を上がっていくと中腹に、一際大きい建物が見えてくる。化粧筆で高い世界シェアを誇る白鳳堂だ。
 白鳳堂が本社兼工房を構える広島市熊野町は、約170年前の江戸時代から、筆づくりの町として賑わいを見せていた。化粧筆の最盛期は1980年代後半で、「販売総額は40億円弱。その後、中国や韓国などの安価な製品に押されつつも、今もその販売総額は、同程度で推移している」(熊野筆事業協同組合)という。
 白鳳堂の設立は、1974年。歴史のある業界の中では、新参者の部類に入る同社が一躍、世界にその名を轟かせるまでに成長したのは、「高品質製品の量産化」に成功したことにある。
 量産化するには生産工程の機械化か、工程を省略し生産能力を上げるという手段が有効となる。しかし、創業者の高本和男社長は、そのいずれも選択をしなかった。「1950年代に化粧ブラシなどの需要増に対応するため、工程を省き生産するようになると、粗悪品が市場に出回るようになった。これでは、日本の伝統工芸がだめになると感じた。その危機感が今もある」(高本社長)とその理由を語った。

生産工程を細分化

 化粧筆に限らず筆の品質は、先端の「穂首」と呼ばれる部位の出来によるところが大きい。熊野筆は一本一本手作りで丹念に製造してきたからこそ、独特の筆感が受け継がれ、ユーザーに愛されてきた。本来なら、大量生産に馴染まない性質のものだ。
 高品質製品の大量生産化という難題に対して、高本社長が出した答えが「生産工程の細分化」と「最小限度の機械化と道具化」だった。通常の筆づくりは7-8工程のところを、80工程まで分割した。細かく分け一人の人が携わる工程を少なくしたことで、その人独特の「クセ」が最終製品に与える影響を最小限にとどめた。これにより、品質の均一化という問題をクリアした。また、一つの工程だけを繰り返し作業させることで、短期間に精度の向上を図ることができた。習熟スピードが速まることで作業時間を短縮することにもつながった。「工程にもよるが、早ければ半年程度で一つの作業を任せることができる」(高本光取締役)という。逆転の発想だった。

柔軟性をもつ

 成功の裏にはすべての工程を手作業にこだわらず、最終製品の品質に影響を与えない工程は機械に任せるという柔軟な発想が高本社長にはあった。例えば、毛先を揃える工程にはバイブレーターを使い自動化した。「以前は手作業で揃えていた。機械でも問題のないところは、機械に任せる。手作業と機械化を上手にブレンドし効率化することが、高品質製品を安定的に量産する上で重要となる」(高本取締役)という。整穂と呼ばれる化粧筆の毛先を丸くアーチ状に整える工程では、筒状の木を彫り円形の型にし、一定間隔で螺旋状に溝を形成した道具を使用する。作業員が同じ筒状の型を使うことで均一の形に仕上げることができる。
 ただ、機械化できないところは、徹底的とも言えるこだわりをみせる。穂首から不良な毛を選別する工程は、キューティクルの悪い毛だけをカミソリを使い引っ掛けて、一本一本取り除く、気の遠くなる作業を行っている。「最終的には、3-5割程度の毛が捨てられる」(同)という。
 化粧の仕方には、流行廃りがある。当然、それに合わせて化粧筆にも変化が求められる。この変化に対応するのに、同社が築いた流通ルートが役立っている。
 同社は10年前に流通ルートを変え、卸売業者を通さない直販に切り替えた。OEM(相手先ブランド)先であるカナダの大手化粧品メーカーMACへも卸業者を通さず、直接納入している。「(中間業者を使うメリットがあることはわかっているが)複数の業者が間に入ると、ユーザーである顧客の声がメーカーには届きにくくなる。そのデメリットの方が大きい」(高本社長)との判断があった。96 年にホームページ(HP)を開設しネットショップによる販売を開始。03年には東京都港区に青山店を開設し、高本社長の「最終ユーザーの生の声を直接聞く」という理念を実現させた。

世界中に愛用者をもつ白鳳堂の化粧筆/

世界中に愛用者をもつ白鳳堂の化粧筆

Onepoint

飽くなき探究心

 日本の伝統工芸を守りたいという思いで白鳳堂を興した高本社長。当初は毛筆などの伝統産業用をメインにし、「食いつなぐため」(同)に化粧筆を始めた。その化粧筆事業は、現在では売上高15億円(08年7月期)のうち95%を占めるまで成長した。今も毛筆事業は伝統工芸維持のため「採算度返しの事業」(同)として継続している。時代とともに化粧品や化粧の仕方は変ってくる。「いくら技術を磨いても、これでいいとは思うことはない」(同)。これからも白鳳堂の挑戦は続く。


掲載日:2009年8月12日

広島県製造業

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