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元気印中小企業


世界で唯一の「針を使わないレコードプレーヤー」メーカー[エルプ]

千葉三樹社長

千葉三樹社長

会社名 (株)エルプ
代表者 千葉三樹社長
業種 音楽機器
所在地 埼玉県さいたま市南区南浦和3-10-1
電話 048-883-8502

誰もやらないなら自分でやる

 レーザー光線でレコード盤の音溝を読み取る「レーザーターンテーブル(LT)」。針を使わないのでレコード盤を磨耗させることがなく、割れたり反ったりしているレコードでも再生可能だ。針以上に精密な読み取りが可能なため、録音時の音をより忠実に再生できる。エルプは世界で唯一同製品を製造・販売している企業だ。
 88年、千葉三樹社長は友人を通じて米国の研究者が試作したLTの音を聴き「すごい技術だ」と確信。協力を約束し試聴イベントを開いたところ、大手電機メーカーが軒並み顔を揃えた。しかし「自社で製品化する」と手を挙げた企業はゼロ。すでにCD(コンパクト・ディスク)が主流となっており、開発コストが掛かるうえ量産が見込めないLTに魅力はない、という見方だった。「それなら自分でやろう」と千葉社長は決意した。
 しかし課題は多かった。「製品化できるレベルまで開発を進められるのか」「世界でオンリーワンの高額製品を手掛ける以上アフターサービスまで責任を持たなければならないが、会社の長期存続は可能か」「世界中のレコード愛好者にLTの情報を行き渡らせることができるのか」。ひとりでは抱え込めないと考えた千葉社長は、通産省や文部省(当時)、電機メーカーに足を運んだ。「相談するたびに『レコードにビジネスチャンスはない』などと断られたが、そうなると逆にやりたくなった」と千葉社長は振り返る。「世界で約300億枚保存されているといわれるレコードには文化価値がある。きっと事業になるはず」。千葉社長は米国の研究者らを日本に呼び寄せ、自社の技術者育成に取り掛かった。10年ほど赤字決算が続いたが、私財をつぎ込み何とか持ちこたえた。

海外からも注文

 約3年前に発売した現行モデルで初めて安心して出せるレベルになったと千葉社長は語る。4人の技術者が手作りで受注生産しているため、月産20台が限度。博物館や大学など公共施設からの注文が多いが、アナログ・レコードの音に魅力を感じる個人客からの引き合いも徐々に増えている。最近は米国・欧州を中心に遠くはセルビアまで、海外からの需要もある。米国の著名ジャズピアニストであるキース・ジャレットは、「俺が出した音をきちんと再現できる。ぜひ推薦文を書きたい」と申し出てきた。
 リピート再生や頭出しも可能なためCDに慣れ親しんだ若者にも使いやすく、購入者は20代から80代までいる。「LTの再生音を実際に聴きたい」との声に応え全国で試聴会を開催。従業員8人の小さい企業ながら、高い技術でファンを幅広く増やしている。

社内に設けられたレーザーターンテーブル試聴室

社内に設けられたレーザーターンテーブル試聴室

Onepoint

ファンクラブが後押し

 社内に設けられた試聴室で奏でられる立体的な音に、目の前でピアノやバンドの生演奏が行われているかのような錯覚が起こる。この音に魅了された人たちが06年に「エルプファンクラブ」を結成。年2回の会報発行や、レコードやLTの情報交換などの活動で交流を深めている。「オンリーワンの存在であるエルプを支援しようとしてくれている」と千葉社長は顔をほころばせる。かつて米GE(ゼネラル・エレクトリック)グループ副社長を務め、音楽にはさほど興味がなかったという千葉社長が同事業に乗り出したのは、LTの技術から受けた感動とレコード文化継承への危機感があったから。千葉社長の強固な意志が共感の輪を広げている。


掲載日:2008年12月17日

埼玉県製造業

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