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元気印中小企業


国内唯一の白心可鍛鋳鉄専業メーカー[中井工業]

中井宏明社長

中井宏明社長

会社名 中井工業
代表者 中井宏明社長
住所 兵庫県加西市下宮木町75
電話 0790・49・0353

【旺盛な開発精神】

 白心可鍛鋳鉄は18世紀にフランスで生まれた。可鍛鋳鉄には白心、黒心、パーライトの3種類があり、白心は鋳造性が良好で強靱(きょうじん)、さらには溶接やメッキができるといった特徴がある。わが国には1920年ごろに持ち込まれ、中井工業は1934年の創業当時から専門工場として手掛けた"草分け"の一社。現在では国内唯一の専業メーカーだ。極めて古い技術ながら、より強度の高い高張力白心可鍛鋳鉄(ハイテンマリアブル=HTMW)を開発するなど開発精神は旺盛だ。
 白心可鍛鋳鉄の用途は一般機械部品、自動車・2輪部品、土木材料、景観材など多岐にわたる。同社は地場産業であるラシャ切りはさみのハンドルからスタートし、次々と間口を広げていった。白心可鍛鋳鉄自体は、プレスやロストワックスなど他手法との競合で衰退を余儀なくされたが、同社は堅実に守備範囲を広げた。2輪部品を含む自動車関連が半分近くを占めているとはいえ、新分野開拓には余念がない。
 その一環として開発したのがHTMW。顧客からの「より靭性(じんせい)の高い素材を」という要求に応えたものだ。通常の白心可鍛鋳鉄は、鋳造後に脱炭処理して得られる。これに対しHTMWは、脱炭焼鈍に加え、調質処理することで仕上げる。2段階で熱処理することで、シリコン成分を下げ、マンガン成分を上げた結果、表層は可塑性の高いフェライト組織に、内部はち密なフェライトとパーライトの2層分離組織となった。つまり表層部は軟らかく、内部は靭性が高い新素材が生まれた。

【新素材を量産化】

 日本工業規格(JIS)の白心可鍛鋳鉄と比べ、引っ張り強度は約10%、伸びは3倍までそれぞれ高まった。曲げ角度は120度から140度だったのに対し、HTMWは360度曲げてもクラックの発生はなかった。一般構造用圧延鋼と比べても優位性は高い。もちろん、溶接やメッキ性は変わらない。
 開発を完了し、量産も始まった。第1弾として電柱にトランスを取り付ける際に用いられる防傾金具に採用された。安全性と信頼性が不可欠な部品であり、形状は極めて複雑。それだけに従来は、鋼材から部材を切り出し、溶接、形状矯正など複雑な工程を経て製作していた。これに対しHTMWは作業工数が大幅に削減され、製品価格は約30%低減できる。
 こうしたメリットを生かし、新市場の開拓に力を入れている。やはり最大の狙いは「軽量化ニーズの高い自動車関連部品」(中井宏明社長)。既存技術と比べ、コストメリットが大きく、時間をかけて普及させる考えだ。ただ弱点もある。工程が少々複雑なので、通常の白心可鍛鋳鉄よりも納期が長いことだ。ただ、これをカバーする技術開発を急いでおり、その成果は近く具体化しそうだ。

白心可鍛鋳鉄による一般産業・機械部品

白心可鍛鋳鉄による一般産業・機械部品

Onepoint

【課題はリードタイム短縮】

 鋳物という成熟分野にあって、開発を優先した企業運営で着実に地歩を固めてきた。提案力にも定評があり、顧客からも評価されている。開発品のHTMWは、白心可鍛鋳鉄の市場をより拡大する可能性を秘めている。ただリードタイムが通常の3倍から4倍かかるのは不利で、これを解消するプロセス開発が不可欠だ。


掲載日:2004年6月16日

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