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株式会社Zehitomo
日本の働き方をより自由で豊かに
ジョーダン・フィッシャーCEO
ジョーダン・フィッシャーCEO
事業内容:顧客獲得プラットフォーム「Zehitomo」の企画・開発・運営
所在地:東京都千代田区一番町23-3 千代田一番町ビル5F
URL:https://www.zehitomo.com/
設立:2015年8月
資本金(2018年10月25日現在):276,075,076円
売上高(2017年4月1日現在):非開示
従業員数(2018年10月25日現在):37名(パート・常勤役員含む)
ファンド事業:中小企業成長支援ファンド出資事業、起業支援ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):
Draper Nexus Technology Partners 2号投資事業有限責任組合(Draper Nexus Venture Partners II LLC)、KVPシード・イノベーション1号投資事業有限責任組合(KLab Venture Partners株式会社、KVP1号有限責任事業組合)

事業概要

日本の働き方をもっと自由に、もっと豊かに

同社は、2015年、ジョーダン・フィッシャー氏(現CEO、以下ジョーダンCEO)とジェームズ・マッカーティー氏(現COO、以下ジェームズCOO)の両名によって設立された。

現在、同社は、「日本の働き方をもっと自由に、もっと豊かに」というビジョンのもと、オンライン顧客獲得プラットフォーム「Zehitomo(ゼヒトモ)」の運営を行っている。

<「ゼヒトモ」のHP>

<「ゼヒトモ」のHP>

「ゼヒトモ」では、インターネット上で、カメラマンやインストラクター、習い事、家のリフォーム業者といった様々なプロフェッショナルと仕事の依頼者を繋げるマッチングサービスを提供しており、とりわけ“ローカルサービス市場”(同社では、“プロ”が依頼人と直接会い、サービスを提供する市場、と定義している。)に重きを置いて全国展開を行っている。

“手軽に”“低価格”で取引が可能

近年、インターネットのインフラが整ってきたことから、中小企業や個人でも広く情報の発信・取得を行える時代となった。そのため、ネット上で仕事の受発注を行うことも珍しくなくなってきたが、実際には、課題も多い。

仕事を依頼する依頼者の側では、検索サイトなどで“プロ”を検索しても、膨大な情報の中から探す必要がある。また、情報を取得できても具体的なサービス内容や価格の比較検討が難しい。したがって、自分が求める最適な“プロ”と出会うためには多くの時間と手間をかける必要がある。

仕事を請け負う“プロ”の側でも、ネット上で広く仕事を募れるようにはなった。しかし、検索エンジン・情報サイトなどでは、大企業が多額の広告費を投じて広告枠や検索結果の上位を占めてしまっており、依頼者に見つけてもらうことが難しい。仕事の仲介サービスを用いたとしても、例えば、報酬の2割を仲介会社に支払うなど相応の手数料が取られることから、“プロ”はサービスに見合った報酬を全額受け取ることができない。また、仮に、各種手数料を取引価格に含まざるを得なくなれば、依頼者側もコストの負担を強いられることとなる。

そこで、同社では、上記の課題を解決すべく、様々な“プロ”と仕事をお願いしたい依頼者を繋ぐ「ゼヒトモ」のサービスを生み出した。

「ゼヒトモ」では、まず、依頼者が、頼みたい“プロ”の種類、重視したいポイント、日時、場所、具体的な依頼内容などの入力を行う。次に、“プロ”は、受注したい依頼を見つけたら、自己紹介文、依頼者のニーズを汲んだ仕事の提案文、見積もり金額などを「見積もり提案」として依頼者に送る。そして、依頼者は、“プロ”から届いた「見積もり提案」のうち、自分の条件にあった“プロ”を選び、取引が成立する。

<「ゼヒトモ」の仕事の依頼フォーム>

<「ゼヒトモ」の仕事の依頼フォーム>

依頼者は、内容によっては2分ほどの入力で依頼を完了することができる。そして、自分用にカスタマイズされた“プロ”からの「見積もり提案」を比較検討して、早ければ15分程で取引を成立させられる“手軽さ”を特徴としている。

また、一連の取引において発生するコストは、“プロ”が「見積もり提案」として依頼者に送る際の平均約500円程度の応募費用だけである。同業他社とは異なり、登録費用や仲介手数料、紹介手数料は一切かからない。したがって、“プロ”は、最小限のコストでプロモーションを行い、取引が成立すれば報酬の全額を受け取ることができる。依頼者も余計なコストを負担する必要がないため、“低コスト”で取引を成立させることができる。

「ゼヒトモ」は、サービスを開始してからまだ間もないものの、現在(2018年8月時点)、中小企業や個人事業主を中心に“プロ”の登録数が5万以上、その“プロ”に対して1週間に1,000件以上の仕事が依頼されるなど、急激に成長している。

創業からVCに出会うまでの経緯

難しいビジネスだからこそ挑戦

ジョーダンCEOは、幼い頃から、難しい課題に挑戦し、解決していくことへの興味が人一倍強かった。南カリフォルニア大学ではコンピューターサイエンスを専攻し論理的に問題を解決していく喜びに触れ、卒業後は日本にある大手外資系金融機関に就職、2014年にはヴァイスプレジデントにまで昇進した。順調にキャリアを重ねていく中で、同社の共同創業者であるジェームズCOOとは、同じマンションの住人としてエレベータで出会った。共に金融機関に勤めていたことから、趣味や家族のほか、ビジネスアイデアも話し合う仲となっていき、そこで「ゼヒトモ」の事業構想も徐々に形作られていった。

ジョーダンCEOは、「私の結婚式の時、カメラマンやDJを依頼しようとしたが、価格に対して自分の希望に合ったサービスをしてくれるのか分からなかった。そのため、自分のニーズに合ったカメラマンやDJを自ら探したところ、意外にも身近な友達がフリーランスとして行っていることを知り、お願いすることができた。一方で、自分の周りには、スキルがあるにもかかわらず、どのように集客すればよいのか困っている人もたくさんいた。そこで、自分のニーズにマッチしたサービスを望む人、そのサービスを提供できるスキルを有した人がもっと効率的に出会うことができれば、共にハッピーになれると思った。これが『ゼヒトモ』のアイデアが生まれる一つのきっかけである。そして、『ゼヒトモ』の構想を深めていくと、働き方改革も含めて社会的・経済的に貢献度が高く、ビジネスとしても十分な市場があることが分かった。そして何より、日本では“ローカルサービス”の領域において開かれた“出会いの場”が今までになく、このような場を新たに創造することはとても難解ではあるが、だからこそ逆に挑戦したいと思った。」と振り返っている。

そして、2015年、ジョーダンCEO並びにジェームズCOOは、「ゼヒトモ」の事業構想を実現すべく同社を設立した。当初は、共に金融機関で働きながら自己資金で「ゼヒトモ」のシステムやサービスを作り上げていったが、翌2016年に入ると、会社を辞めて本腰で取り組みはじめ「ゼヒトモ」のβ版を完成させた。同時に、金融機関時代の同僚や後輩がベンチャーキャピタル(新興企業などに投資を行う会社や組織、以下VC。)に在籍していたことから、事業に拍車をかけるために、資金調達の話もするようになっていった。

ファンドの活用について

創業初期の段階からまとまった資金を調達

同社は、2017年の夏、インターネット上で「ゼヒトモ」のサービスを正式に開始した。また、本格的な成長に向けた資金需要に対して、2017年7月及び2018年5月、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資しDraper Nexus Venture Partners II, LLC(以下、Draper Nexus)が運営するDraper Nexus Technology Partners 2号投資事業有限責任組合、同じく中小機構が出資しKLab Venture Partners(株)及びKVP1号有限責任事業組合(以下、KLab)が運営するKVPシード・イノベーション1号投資事業有限責任組合、そのほか複数のベンチャーファンドや個人投資家から合わせて5.5億円の資金調達に成功している。

ジョーダンCEOは、「2017年7月に調達した1.5億円の使途は、『ゼヒトモ』のシステム開発やセールス・チームの立ち上げのための人材採用のほか、我々のサービスを周知して、依頼数を増やしていくための投資に用いた。どんなに“プロ”の登録を増やしたり、『ゼヒトモ』を使いやすくしても、依頼がなければ何も始まらない。したがって、SEOなどの各種手法を用いて、より効果的なプロモーションを確立していくための取り組みは必須だった。そして、2018年5月に調達した4億円は、業務のオペレーションがある程度固まってきた中で、我々が短期間でさらなるスケールアップを目指すための資金として調達した。」と語っている。

また、スタートアップの段階でまとまった資金を調達できた要因は、「スピード感をもって事業を行っており、そのスピード感をVCに共有してもらったことが一つある。もう一つは、その場その場で投資を仰ぐのではなく、以前に投資を仰いだ時はどのような課題があり、その後どのように克服したのか、そして今はどのような課題を抱えておりどのように解決したいと思っているか、といったように一連のストーリーをしっかりとお話しさせて頂くことで、投資を点ではなく線として捉えて頂いたことが大きかったと思う。」と述べている。

信頼できるパートナーとしてのVC

同社は、創業間もないものの、複数のVCから投資を募ることができたが、資金調達時の支援として、VCの伝手で他のVCを次々と紹介してもらったことも大きかった。

また、昨今、中小企業はもとより大企業でも人材採用が難しくなっている中、同社は、現CSO(最高戦略責任者)である山岸敏氏の紹介をはじめ、ニーズに見合った人材を複数のVCから逐次紹介してもらっている。例えば、KLabでは人材採用イベントを開催してもらっているほか、VCによっては出向という形で事業に参画してもらうなど、求人に多額の費用を投じることなく、志が高く優秀な人材を集めることができている。

さらに、シリコンバレーにも拠点を有するDraper Nexusは、投資先であるベンチャー企業同士がグローバルに交流できるイベントなども開催している。同社の場合、海外で「ゼヒトモ」と似たビジネスを行っている企業と接点を持つことができ、社内でのオペレーションを見学させて貰うなど、ビジネスを展開していく上で非常に参考になったという。

ジョーダンCEOは、「VCから投資を募る際、投資して頂ける額も確かに重要ではある。しかし、それ以上に、信頼できるパートナーとして、同じ目線で一緒に価値を生み出していけるのかを重視している。四半期に一回、従業員も株式やストックオプションを有していることから、投資家並びに全従業員が一同に会して、会社の株主としての視点も含めてミーティングを行っている。現在までの進捗と今後の課題、その課題に対して何が必要なのかを皆で語り合うことで、社内外問わず共通の意識を持つことに繋がっており、その共通意識のもとでVCの方から我々に必要な情報やコネクション、人材などの各種支援を提案して頂いている。」と語っている。

今後の事業の展望について

「ゼヒトモ」が当たり前となる世界へ

昨今、政府は、日本経済を活性化させるため「働き方改革」を推進しており、今後、専門的なスキルを武器に、会社員を続けながら副業する人、子育てや家事の合間のスキマ時間を活用して働く人など、柔軟で多様な働き方を求める“プロ“が増えていくものと思われる。

一方、日本政策金融公庫が行った「2016年度新規開業実態調査」によれば、「顧客・販路の開拓」で苦労している割合は、半数近くにのぼっており、ターゲットに対してどのようにプロモーションを行い、顧客を獲得していけばよいのかが大きな課題となっている。

このような環境の中で、「ゼヒトモ」は、今まで非効率であった“ローカルサービス市場”を中心に、“プロ”にとってはプロモーションや顧客獲得のため、依頼人にとってはニーズを満たしたベストなサービスを受けるために用いられており、短期間で急激な成長を遂げている。

ジョーダンCEOは、「我々は“ローカルサービス市場”を20兆円規模と試算しており、毎年10倍の成長を掲げて事業を展開している。実際に達成できるか否かは別として、少なくとも10倍を達成できるキャパシティが市場にはあると思っている。我々が最速で成長していけるのであれば、5年後には“ローカルサービス市場”において、“プロ”や依頼者が当然のように『ゼヒトモ』を用いる世界となっているだろうし、そのような世界が訪れるよう取り組んでいる。」と今後の展望を語っている。

ジョーダンCEOから起業家へのメッセージ

スタートアップ企業に対する制度面では、日本はアメリカと比べると30年遅れていると言われており、それが起業に対するハードルとなっている部分もある。しかし、逆にそのハードルを越えてしまえば、むしろ海外と比べてスタートアップ企業間の競争は比較的少ないと感じている。また、私が南カリフォルニア大学に在学中だった時、スタートアップの盛り上がりと共に制度面でのバックアップが整ってきたのを目の当たりにしたが、日本でもここ5年程、スケールは異なるものの似たような傾向が見受けられる。もちろん、起業は簡単なことではないし、失敗を恐れていたらできないが、起業をするには良い機会が到来しており、挑戦できる環境であると感じている。

ファンドからの声

【株式会社Zehitomoの事業の魅力】

Zehitomoが手掛ける事業は、多くの中小企業や個人事業主のリード創出に関する課題を解決するものであり、昨今の働き方改革の波に乗った市場性のある事業であると言えます。一方、大きな市場ニーズがあるとはいえ、成功のためには日本の商習慣に合わせてプロダクトを迅速に最適化し続ける必要があります。ZehitomoはジョーダンCEOが明確なビジョンとリーダーシップを持ち、インターネットビジネスの専門家で構成されたインターナショナルなチームを日本で組成しています。追うべきKGI/KPIを明確に定義し、データに基づいて目標達成に必要なアクションを着実に実行して成果を上げ続けている経営陣とチームの能力が、同社の最大の強みであると考えています。

Draper Nexus

2018年度取材事例

掲載日:2018年11月29日

この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。
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