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企業事例 IPO編
エコモット株式会社
あなたの『見える』を、みんなの安心に。
事業内容:IoTインテグレーション事業
本社所在地:北海道札幌市中央区北1条東2丁目5番2号 札幌泉第1ビル1階
URL:https://www.ecomott.co.jp/ 設立年:2007年
株式公開年:2017年 市場名:札幌アンビシャス
資本金(2007年12月期):3百万円 資本金(2017年3月期):53百万円
売上高(2007年12月期):36百万円 売上高(2017年3月期):1,371百万円
従業員数(2007年12月期):2名 従業員数(2017年3月期):61名
ファンド事業:がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):
北海道しんきん地域活性投資事業有限責任組合(北海道ベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

あなたの『見える』を、みんなの安心に。

2007年、同社の代表取締役社長である入澤 拓也氏(以下、入澤社長)は、“世のため、人のため”、そして“ものづくり”に関わる事業を志して、エコモット(株)を設立した。

同社は、モノをインターネットで繋ぐIoT(Internet of Thingsの略語で、「モノのインターネット化」と訳される。)を通じてより安心な社会の実現に貢献するため、「あなたの『見える』を、みんなの安心に。」というコーポレートスローガンを掲げている。現在、同社は、IoTソリューションの企画、端末製造、通信インフラ、アプリケーション開発、クラウドサービスの運用・保守に関する業務をワンストップで提供する「IoTインテグレーション事業」を展開している。

IoTを通じたソリューションの展開

通信インフラが整備されている現在、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoTの需要は、世界中で急速に高まってきている。このような状況の中、同社の「IoTインテグレーション事業」では、「パッケージサービスを中心としたソリューション」と「IoTプラットフォームをベースとしたSIによるソリューション」の二つを展開している。

<「IoTインテグレーション事業」の概要>

<「IoTインテグレーション事業」の概要>

「パッケージサービスを中心としたソリューション」では、お客様に対してパッケージ化したサービスを提供しており、「ゆりもっと」や「現場ロイド」、「Pdrive」等がある。

「ゆりもっと」は、道路の融雪や凍結を防ぐため路面の温度を上げるロードヒーティングの設備をインターネットと繋ぐことで、遠隔監視・操作を可能とする。センサーを使った現地での降雪状況やカメラ画像のほか、気象予報情報を組み合わせて積雪状況を推定し、適切な融雪装置の制御判断材料を提供するAI(人工知能)も実装されている。主に分譲マンションの管理組合、賃貸マンション・アパートのオーナー、大規模駐車場を有する小売事業者等を対象としており、ロードヒーティングの燃料コストを半分に抑える実績を上げる等、北海道や東北で大きな支持を獲得している。

「現場ロイド」は、建設現場や工事現場、災害現場等を見える化する。振動や騒音、温度、水量、風速等2000種類以上もの各種センサーへの対応、独立電源による電力供給、モバイルネットワークによるデータ計測、遠隔監視及び遠隔制御を通じて、作業現場での「安全管理」「省力化による生産性向上」「リアルタイム計測による作業精度向上」等に寄与している。

「Pdrive」は、急ブレーキや急ハンドルといった交通事故の兆候である危険運転を感知すると、搭載するモバイル通信端末を介し、車載カメラの動画データを保存、安全管理者にメール配信する機能を有しており、交通事故の削減や自動車保険料の低減に繋がっている。

一方、「IoTプラットフォームをベースとしたSIによるソリューション」では、IoTプラットフォーム「FASTIO」を提供している。「FASTIO」は、センサーで得たデータを取得し、取得した情報を蓄積、蓄積したデータを加工・分析して、活用するというIoTを取り入れるための一連の作業を実現するソフトウェア並びにインフラである。様々な産業、市場において利用できるように設計されており、しかも、短期間で、安価にIoTを導入できることから、大手企業のベースシステムにも採用されている。

<「FASTIO」の概念図>

<「FASTIO」の概念図>

また、同社の大きな特徴として、全国に営業所を有しており、直接お客様の顔が見える形で上記の各ソリューションを提供している点があげられる。現在、同社の売上を支える各種ソリューションはお客様との日々のやりとりから生まれており、ニーズを見出し開発に結びつけていく力こそ、同社の最大の強みといえる。

創業からVCに出会うまでの経緯

祖父や父の背中を見て起業家に

入澤社長は、IT企業に在籍し携帯電話の着信メロディ等を扱っていた中で、“もの”をつくりあげていく喜びを知り、また、自分が汗水流してお客様に直接感謝される “世のため人のため”になるビジネスを行いたいとの思いが芽生え、同社を起業した。入澤社長は、「経営者であった祖父や父の背中を見て育ったため、物心ついた時から心のどこかで会社を立ち上げたいとの思いがあった。デルの創設者マイケル・デルは1,000ドルで起業したと聞いた。確かにノートパソコン1台あれば仕事ができる。私も資本金10万円で、退職した翌日、会社の設立手続きをした。」と当時を振り返る。

 そして、創業後間もなく、入澤社長は、さっぽろ産業振興財団が行う「札幌ベンチャー支援事業」の公募に応募したが、プレゼン審査を受けた際に出会ったのが、ベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織)である北海道ベンチャーキャピタル(株)(以下、HVC)の三浦社長であった。審査の結果、支援対象に選ばれた同社は、補助金をもとに支援機関であるHVCから展示会への出展や知的財産の取り扱い、経営関係の研修等の経営支援を受け、事業に弾みをつけた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

ファンドから得た資金で新たな展開

2011年、同社は、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資し、HVCが運営する北海道しんきん地域活性投資事業有限責任組合から、6,000万円の投資を受けた。入澤社長は、「当時、『現場ロイド』を新たに展開するために、量産化や営業人員を拡充するための資金が必要であった。キャッシュは回っていたことから融資の選択肢もあったが、自己資本比率等の経営指標を考えた時に、借入がやや大きい印象を持っており、資本を厚くしたかった。そのような折、三浦社長から投資のお声がけを頂いた。資金の必要性もさることながら、創業から親身に支援して頂いたHVCさんだからこそ、投資して頂き株主としてより深く経営に参画してもらいたいという気持ちになった。」と当時の心境を語っている。

会社の内側にまで入りこむ経営支援

同社がHVCから投資を受けたことで、HVCの三浦社長と丸山氏がそれぞれ同社の監査役・取締役として就任、経営会議にも毎回参加することになった。入澤社長は、「『現場ロイド』の導入に際して、製品を在庫として持つ必要があったため、三浦社長から管理系の人材を紹介してもらった。営業面においても、見積もり、受注、売上、請求の一連の業務フローの仕組みを安価なソフトウェアの導入と共に作って頂いた。丸山さんには、営業会議にも出席して頂き、司会進行の他、給与体系や営業員の研修、モチベーションの上げ方といったマネジメント管理のご支援を受けることができた。日本全国に営業所を展開していると、どうしてもトラブルや要望を報告して共有する場が必要となる。そのような中で、丸山さんの提案で行った月曜朝一での営業会議は、会社にとって非常に大切な場となった。また、事業を行っていく上では、弁護士や公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士等の専門家も必要となるが、ベンチャー企業の目線にあったプロフェッショナルを、さらに、株式公開においても、監査法人や証券会社を紹介・斡旋して頂いた。創業初期からのお付き合いの中で深い信頼関係を築かせてもらったからこそ、人材の紹介から会社の仕組み作りに至るまで自然に受け入れることができたのだと感じている。」と述べるように、HVCはベンチャー企業の各成長ステージに合わせてインキュベーターとしての機能を果たしてきたことが伺える。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場はご恩返しと地域貢献

同社は、2017年、札幌アンビシャスに上場を果たした。上場の目的について、入澤社長は、「資金調達も確かにあるが、創業から10年という節目で旗を立てたいという思い、そして、投資して頂いたHVCさんをはじめ、公的機関や金融機関、事業会社等ご支援して頂いた方々へのご恩返し・地域貢献といった気持ちがとても強かった。当初こそ、もう少し時間をかけて東証マザーズへ上場したいという気持ちもあったが、今となってはむしろ札幌アンビシャスに上場できてよかったと思っている。上場したことで、まわりの方々がとても喜んでくれたが、それがとても嬉しい。今まで札幌アンビシャスから東証マザーズへ移った企業は無いことから、これからの北海道内の起業家のためにもその道筋を作りたい。」と語っている。なお、上場してまだ間もないが、信用力や知名度の向上によって、他企業からのビジネス提携の話のほか、人材採用についても同社のホームページから直接問い合わせが来る等の効果があらわれている。

“世のため、人のため”になる事業を

今後の展望について、入澤社長は、「中期的には、IoTを行うためのソフトウェア・インフラである『FASTIO』が成長エンジンだと思っており、『FASTIO』から『ゆりもっと』や『現場ロイド』のようにパッケージとしてお客様に提供できるソリューションを生み出していきたい。また、IoTとAIは、とても親和性があると考えている。AIは人でいうところの脳にあたるが、見たり聞いたり触ったりといった五感のデータがあってはじめて脳が機能するのであり、IoTはまさに五感に相当する。我々は、様々なセンサーを通じてデータを取得するのが得意なので、AIを扱っている会社さんと組んで様々なソリューションを展開していきたい。長期的には、売上高100億円という数値目標もさることながら、時代のニーズに対応していくことが大切だと思っている。今後、人口が減少して働き手が少なくなる中で、人が担わなくてもよい仕事を我々の生み出すソリューションが代替する等、“世のため、人のため”に貢献していきたい。」と、今後の意気込みを語っている。

代表者プロフィール

代表取締役社長 入澤 拓也
代表取締役社長
入澤 拓也

1980年1月10日生まれ。2002年4月、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社入社。2007年に同社設立、代表取締役社長に就任(現任)。

起業家を志す方へのアドバイス

一つ目に、色々な会合や勉強会、交流会に参加して、人脈をとにかく増やしていくというのが絶対に大事です。二つ目に、ドラクエ型経営術といったプレゼンをすることがあるのですが、営業は戦士、開発は魔法使い、経理は僧侶、そして、経営者は勇者。勇者の最大の武器は勇気ではあるけれど、営業も開発も経理も全て一通りできるのも勇者として必要な資質です。もちろん、各方面のスペシャリストと手を取り合わなければ魔王は倒せないですが、一通り知っていることは必要です。私も、システム開発や営業は触れたのですが、会計の知識が無かったためビジネススクールに通いました。営業、開発、経理のうちどれか分からなかったら勉強した方がいいと思います。三つ目に、ビジネスを行う上で大切な要素として、対象となる市場がどのくらいあるのか、その市場に対する戦略はあっているのか、そして、その戦略を実現できるチームがあるのかが重要だと感じています。最後に、点ではなく面で会社同士はつながった方が良いと思います。例えば、取引先でキーマンと懇意にしていたが、そのキーマンが会社を辞めてしまった途端に、取引会社との関係が途切れてしまうといったケースがあります。会社との付き合いでは、点と点で繋がるのではなく、他の役員や社員も絡めて面と面で接点を持てるように心がけた方が良いかと思います。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

モバイルデータ通信活用サービス市場が大きく成長していくことが期待され始めていた、まだ早期の市場環境の中で、同社は、その関連技術に精通し、それに基づく複数のサービスにて顧客の高い評価を得ていた点、及び、末端の機器開発から通信回線開設、サーバー運用まで全て自社内で行い、ノウハウを蓄積してきていることで、様々な現場での見える化課題へのソリューション・サービスを、いち早く開発し、サービスインさせることができる技術力、発想力、スピード感を持ち合わせていたこと。

VCの視点からみた同社の成功要因

自社技術からサービスを作り出すのではなく、足しげく現場に通い、現場の真の課題をつかみ、それに答えるサービスを構築するのに必要な技術を外からも積極的に集めてサービスを作り上げていく現場力が顧客ニーズの高いサービスを複数立ち上げることに繋がり、代表者を筆頭にしたその真摯な取り組み姿勢が、その成長ステージごと、様々な場面ごとに有力な協力者を惹きつけ、同社に技術やネットワークを集積させ、成長を後押ししたものと思います。

北海道ベンチャーキャピタル株式会社

2017年度取材事例

掲載日:2018年1月15日

この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。
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