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企業事例 IPO編
株式会社フィル・カンパニー
コインパーキングの空中から始まる無限の可能性
事業内容:駐車場を活用した空中店舗フィル・パーク事業
本社所在地:東京都千代田区富士見2-12-13 フィル・パークKaguLab. IIDABASHI
URL:http://philcompany.jp/ 設立年:2005年
株式公開年:2016年 市場名:東証マザーズ
資本金(2016年11月期):219百万円
売上高(2016年11月期):1,668百万円
従業員数(2016年11月期):13名
ファンド事業:がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):
西武しんきんキャピタル商店街ファンド1号地域商業育成投資事業有限責任組合(西武しんきんキャピタル株式会社)

事業概要

新たな“常識と価値”の創出

2005年6月、同社は、駐車場上部の“未利用”空間を“空中店舗”として大胆に活用することを目指して設立された。創業以来、“フィル(共存共栄)”という企業理念を掲げており、「空中店舗フィル・パーク」を通じて、土地オーナー、テナント、近隣の人々等、同社に関わる全ての人が共に幸せを享受できることを目指し事業を行っている。

<「フィル・パーク 五反田」の外観>

<「フィル・パーク 五反田」の外観>

現在、同社グループは、同社及び完全子会社の計2社で構成されており、「空中店舗フィル・パーク事業」では、土地オーナーに対して「空中店舗フィル・パーク」の企画・デザインから、プロジェクトマネジメント業務、開発調査業務、設計・監理業務、工事請負業務、事業コンサルティング、初期テナント誘致業務まで、ワンストップで提供している。空中店舗フィル・パーク事業を展開することで、同社は、今までにない「駐車場+空中店舗(建物)」という新たな“常識と価値”を世の中に生み出している。

「空中店舗フィル・パーク事業」の4つの特徴

「空中店舗フィル・パーク事業」の特徴は、大きく①投資回収の早い企画力、②初期テナント誘致保証、③建設会社・設計士と共に作り上げる仕組み、④土地オーナーへの事業コンサルティングの4つに分けられる。

<同社の事業系統図>

<同社の事業系統図>

まず、投資回収の早い企画力については、従来の土地活用においては、テナントビルか駐車場のいずれかという選択肢であった。しかし、常に一定の収入を見込めるコインパーキングの上にテナントビルを設ければ、土地オーナーは、駐車場の賃料収入の他、テナント収入も得ることができる。同社では、駐車場台数をいかに減らさずに空中店舗を建築できるか、駐車場利用者の利便性を妨げず稼働率を維持した設計とできるか、テナントを誘致して利益を最大化できるデザイン性の高い空中店舗を設計できるか、といった企画・設計ノウハウを活かすことで、2013年12月から2016年11月竣工分の同社実績表面利回り平均20.6%が示すように、初期投資額を実に5~10年という非常に短い期間で回収できる企画提案に結び付けている。

2つ目に、初期テナントの誘致を保証している点であるが、コインパーキングは、集客力の高い都心部に立地していても、大通りには直接面してはおらず、一本中に入った通りである場合が多い。そのため、土地オーナーは空中店舗を設けても、実際にテナントを誘致できるのか不安を感じていた。しかし、テナントにとっては、路面店よりも安い賃料で済み、またデザイン性に優れていることから、メリットが大きい。そこで、同社では、このようなメリットを活かして初期テナントを誘致する保証を土地オーナーに対して行うことで、土地オーナーが抱える不安を払拭している。

3つ目として、建築基準を満たした上での駐車場収入の最大化やメンテナンス費用のかかるエレベーターを原則設置せず顧客導線を踏まえた設計、ガラス張り等のテナントの賃貸需要を汲み取った空間づくり等を建築会社や設計士と共に作り上げていく仕組みを構築している点であり、コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスの両面を実現している。

最後の4つ目として、初期テナントの誘致から各種契約、テナントとの細かい工事区分に関する調整、事業資金に関するサポート等、土地オーナーの事業を成功に導くための一連のプロセスを一貫してコンサルティングできる体制を整えている点である。

同社は、以上の4つの特徴を有しながら、土地オーナーに対して高付加価値のサービスをワンストップで提供できる体制を整えている。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業のきっかけは“もったいない”

同社は、コインパーキングを始めとした駐車場を取り巻く空間が“駐車場としてしか存在し得ない”という現状に対して、駐車場上部“未利用”空間が“もったいない”という創業者の思いをきっかけに、2005年に設立された。

しかし、今までに無い新たな市場をベンチャー企業が開拓していくことは並大抵ではなく、創業当初から長らく赤字経営が続いていた。そのような折、創業初期の頃から事業を近くで見てきた現代表取締役社長である能美氏(以下、能美社長)が、2009年同社の取締役に就任した。能美社長は、小さい頃から起業家を志し、ベンチャー企業の就職先では、インターネット黎明期にWebを通じて見込み顧客を掴むマーケティングで大きな成功をおさめる。20代で起業家として独立後は、リラクゼーション事業等のベンチャー企業に携わっていた経歴を有しており、同社の経営に参画後、真っ先にビジネスモデルの再構築に取り組む。能美社長は、「当時は、従業員が20名以上いたが、毎月のキャッシュアウトも大きいことから、従業員を一気に3名、アルバイト1名の体制にまで減らした。そして、何が我々の付加価値なのか、それをどのように提供するのか、そしてどういう形でお金を稼ぐのかというあるべき姿を作った。本当に良いものであれば、お客様は選んでくれる。自分が投資できる商品とは何かまでブレークダウンすることで、今のビジネスモデルに至ることができた。」と振り返る。

このように経営の危機に見舞われながらも、果敢に新たな市場を創造していった同社であるが、その資金需要を支えたのがベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織、以下VC)の存在であった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

資金調達により足を前に踏み出す

同社は、創業間もない2007年に、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資し、西武しんきんキャピタル(株)が運営する西武しんきんキャピタル商店街ファンド1号地域商業育成ファンド等から、約2億円弱の投資を受けた。能美社長は、「狭小地にあるコインパーキングの上部に建物を建てるにも1億円近い金額を要することから、実際に“モノ”を作らなければ、お客様に具体的な提案もできない。そこで、創業初期には、自ら第一号店となる『フィル・パーク八重洲』を建てたものの、全く信用が無いことから、土地を1年間しか借りることができない等、新たな市場を開拓するために、多大なお金と時間を費やしてきた。もしVCから資金調達が得られなかったならば、足を前に踏み出すことができず、今の我々は無い。我々のようなベンチャー企業にとって、VCは無くてはならない存在であると感じている。」とVCによるリスクマネー提供の重要性を述べている。

西武信金グループ全体での支援

同社は、西武信金キャピタルが運営するファンドからの投資だけでなく、西武信用金庫グループから、運転資金の融資、さらには土地の有効活用に悩むオーナーの紹介等を受けることができた。2017年5月末時点での「空中店舗フィル・パーク」の完成件数は延べ83件、そのうち15件は西武信金グループからの紹介によるものであり、2割近くに及ぶ。能美社長は、「西武信金キャピタルの榊原社長には、会社が厳しい状況の時であっても、我々の事業を温かく見守って頂いた。また、西武信用金庫さんからのお客様のご紹介や勉強会等の草の根活動は、我々の事業を軌道に乗せるのに非常に大きな支援となった。そして、実際に成約に結びついた数々の事例は、さらに他の金融機関さんとの連携に繋がっている。西武信金グループの皆さんには、我々従業員一同本当にお世話になったと感謝している。」と述べている。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場の目的は信用力と認知度の向上

2016年、同社は、東証マザーズに上場を果たし、3億円の資金調達に成功した。上場を目指した目的は、信用力と認知度の向上であり、能美社長は、「まだ上場してから1年も経っていないため、定性的ではあるが、問い合わせ件数が確実に増えている。また、非常に有望な案件も落ちにくくなったと感じている。我々の事業は信用力・認知度がキーとなることから、さらに東証一部を目指していきたい。」と意気込みを語っている。

“夜明け”から本格的な成長に向けて

同社は、「空中店舗フィル・パーク」を通じて、土地オーナーの圧倒的短期間での投資回収はもとより、集客力のある地域で路面店よりも安く、かつデザイン性の優れた店舗に出店ができるテナントのメリット、また、空中店舗を設けることで日差しや雨等を凌ぎ、一般的に薄暗いコインパーキングに対して夜間でも光が灯っていることから安心感が得られるといった駐車場利用者のメリットを生み出してきた。能美社長は、「従来、裏通りで小型、かつ3階建てという形で商業テナントを手掛けているところはなかった。我々は、単純に空中に店舗を設ける事業をしているのではなく、今まで何もないところに町の機能の一つとして、ミニ商業施設を作っていく気持ちで取り組んでいる。」としており、今後の事業展望についても、「我々の事業は、まだ100件弱の施工実績であり、夜が明けた段階。今後、300件、500件、1,000件と実績が増えていく中で、我々の事業に対する安心感という意味での認知度が一気に開けて、本格的な成長のステージを迎えると予想する。」と語っており、新たな市場を生み出した同社の事業は、これから本格的な拡大期を迎えそうだ。

代表者プロフィール

代表取締役社長 能美 裕一
代表取締役社長
能美 裕一

1974年4月6日生まれ。1998年4月、株式会社ジャック(現株式会社カーチスホールディングス)入社、2000年7月ヤングリーブス設立同社代表取締役就任、2003年4月株式会社リラク取締役就任を経て、2009年同社取締役就任。2015年10月には同社代表取締役社長に就任(現任)。

起業家を志す方へのアドバイス

まず一つ目は、どんな形であれ、言い訳をせずに誠実に経営を行っていくことが重要だと思っています。誰かのせいにしたり、言い訳をしたりせずに、志を貫いて誠実に経営を行っていけば、周りのスタンスも変わり、積極的に応援して頂けることに繋がるのではないでしょうか。とりわけ、新しいことを行うには、人の10~20倍の努力が必要です。一つ一つ、誠実に、粛々と経営を行っていくことが大切であり、水鳥のように水中では足を一生懸命動かしながら、しかし、涼しげな顔で風を切るような経営者でなければならないと感じています。
二つ目は、できる限り若いときに挑戦した方がいいと思います。今は昔と比べて、創業しやすい環境が整っています。若いときの失敗は失敗ではないので、果敢に挑戦して欲しいです。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

コインパーキングの空中部分を活用し新たな空間を作り出すというユニークな仕組みが、都心部を中心に受け容れられる可能性があったこと。また、若く情熱を持った経営陣を高く評価しました。

VCの視点からみた同社の成功要因

困難な局面を経営陣の周囲を巻き込む力で乗り越え、フィル・パークが認知されるよう粘り強く活動しながら、ニーズに合わせてビジネスモデルを柔軟に修正してきたことが成功の要因と思います。

西武しんきんキャピタル株式会社
代表取締役 榊原 隆

2017年度取材事例

掲載日:2017年11月13日

この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。
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