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HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

ピクスタ株式会社

誰もが自由に才能を活かせる世界の実現

事業内容:インターネット上で、写真・イラスト・動画といったデジタル素材の仕入れ及び販売を展開。
本社所在地:東京都渋谷区渋谷3-11-11 IVYイーストビル9F
URL:https://pixta.co.jp/ 設立年:2005年
株式公開年:2015年 市場名:東証マザーズ
資本金(2015年12月期):309百万円
売上高(2015年12月期):1,388百万円
従業員数(2015年12月期):57名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):
Social Entrepreneur 投資事業有限責任組合(PE&HR株式会社)

事業概要

「インターネットでフラットな世界をつくる」

2005年8月、現同社代表取締役社長である古俣大介氏(以下、古俣社長)は、写真やイラスト、動画といったデジタル素材のマーケットプレイスの運営を目的として、同社の前身となる株式会社オンボードを設立、2009年にピクスタ株式会社へ商号変更を行った。

同社は、「インターネットでフラットな世界をつくる」ことを企業理念として掲げており、具体的には、インターネットを最大限活用することで、価値を生む人とそれを活かす人を結び、誰もが自由に才能を活かせる世界を目指している。現在、この企業理念のもとで、デジタル素材の仕入から販売までを行うオンラインマーケットプレイス「PIXTA(ピクスタ)」を運営するクリエイティブ・プラットフォーム事業を展開している。

デジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営

近年、インターネット環境が急速な発展を遂げる中で、動画広告を含むインターネット広告・デジタルサイネージ(屋外や店頭などに設置された広告や案内情報を掲載するための映像表示装置)の他、Webサイト、電子書籍、スマートフォンアプリ等の分野においても、写真やイラスト、動画といったデジタル素材の利用範囲が急速に広がってきている。

同社のクリエイティブ・プラットフォーム事業では、このようなデジタル素材のニーズに対し、オンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営を通じて、会社員、主婦、学生、シニアといったアマチュアクリエイターから、プロのフォトグラファー、イラストレーター、ビデオグラファーに至るまで様々なクリエイターから投稿されたデジタル素材と、自社の広告、パンフレット、webサイトに必要な素材を求める購入者 (広告代理店やデザイン制作会社といったクリエイティブ業界の法人やフリーランスから一般企業にまで至る) とをオンライン上でマッチングする場を提供している。同社は、クリエイターの投稿した素材が実際に「PIXTA」を通じて売れた場合には、そのクリエイターに対して「コミッション率」に応じた「獲得クレジット」を付与し、最低支払基準額を超えると、希望する金額を、希望するタイミングで換金できる報酬システムを取り入れている。

<同社の運営する「PIXTA」>

<同社の運営する「PIXTA」>

「PIXTA」の3つの特徴

同社の運営する「PIXTA」では、大きく以下の3つの特徴がある。

一つ目に、デジタル素材の仕入れから販売までを全てインターネット経由で行っており、国内外のクリエイターから1,500万点以上(2015年12月時点)の高品質な素材を集め、これらをセルフサービス形式で販売している。そのため、購入者に対して高品質な素材を、コストを下げ、低価格で提供することに繋げている。

<同社のビジネスの流れ>

<同社のビジネスの流れ>

二つ目に、販売しているデジタル素材は、基本的に、一度購入すると、さまざまな用途に何度でも使用できるロイヤリティフリー形式を採用していることから、購入者は面倒な使用用途の申告や、使用期限の更新手続きは必要なく、また、利用規約の範囲内であれば自由に加工も行うことができる。

三つ目に、「PIXTA」で掲載されるデジタル素材は、全て同社の審査チームが確認し、独自のクオリティ基準を満たす素材のみを厳選して登録している。また、個人が特定できる人物が被写体として含まれる場合にはモデルリリース(肖像権使用許諾書)の取得を義務付けることで、権利関係のリスクを最小限におさえる仕組みを構築している点が挙げられる。

この他にも、クリエイターに対してクオリティの高い、購入者のニーズに合う写真を投稿してもらうためにセミナーや情報発信といった取り組み等も行っており、クリエイターと購入者の双方から強い支持を獲得している。

創業からVCに出会うまでの経緯

インターネットで新たな価値の創造

古俣社長は、催事業を営む父とリサイクルショップを経営する母の元で育った。多忙ながらも楽しみながら両親が事業を営んでいる後ろ姿を見て、幼い頃から漠然と将来事業家になりたいとの思いを持っていたという。

20歳前後になると、世間でWindows95が爆発的なヒットを起こし、インターネットで今までにない新たなビジネスが生まれ、世の中が変わっていくことを確信する。大学在学中には、親戚がコーヒーの焙煎ショップを運営していたこともあり、コーヒー豆をインターネットを活かして販売する企業を立ち上げる。さらに、ITバブルの中でめざましい活躍をあげるIT系ベンチャー企業にインターンして、ビジョンを達成するためのヒト・モノ・カネの調達・活用といったマネジメントを学び、その後、24歳で2社目となる飲食店向けにチラシやメニュー表等のデザイン・印刷事業、健康グッズのインターネット販売を手掛ける企業を立ち上げ、健康グッズの販売では月商1,000万円を稼ぐに至る。しかし、インターネットを使って自分が新しい価値を作っている、人を感動させているという実感があまり得られず、事業を家族に託すこととした。

そして、新たなビジネスの種を思索していた2004年、デジタル一眼レフカメラが大ヒットして、アマチュアのカメラマンでも高品質なデジタル写真を撮影できる時代が到来する。しかし、一方で、カメラマンが自らの写真を投稿する場が整っていないことに気付く。古俣社長は、「写真好きの方々は、こだわりを持って写真を撮るわけですが、自分の作品を発信したい、誰かに見てもらいたい、誰かに評価されたい、という思いを抱いていることに気づかされた。そこで、我々がそのような方々の思いの受け皿となり、素晴らしい作品の数々を世の中で活用できる場を作ることで、社会に対して新たな価値を生み出すことができるのではないか、という発想を得た。」と振り返るように、2005年8月、3社目となる同社を起業するに至った。

なお、ベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織、以下VC)との出会いは、同社が設立される数か月前で、資金調達を考えていたところ、PE&HR株式会社(以下、PE&HR)が創業初期の企業を中心に投資を行っていることを知り、同社が主催していたセミナーに古俣社長が参加したことがきっかけだった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

創業初期からのリスクマネーの提供

2005年の創業当初、身内で調達した資金で「PIXTA」のサイトを作成していたが、早くも日経新聞でサービスの概要が取り上げられる等注目を集めていた。そのような折、PE&HRからコンタクトがあり、まだサービスを実際に提供していない段階ではあったが、「PIXTA」をリリースしてサービスを提供していくため、(独)中小企業基盤整備機構が出資し、PE&HRが運営するSocial Entrepreneurファンドをはじめとして1,500万円、同年11月にも再びSocial Entrepreneurファンド含めて5,000万円の調達に成功し、事業のスタート段階でまとまった資金を確保。その後も、リーマンショック時には資金繰りが行き詰る場面もあったが順次ファイナンスを重ねて、上場までに3億円弱の資金を調達することができた。古俣社長は「我々のビジネスは、まずクリエイターさんに素材を投稿してもらう必要があることから、単純に広告費をかければ、連動して売り上げがあがるのものではない。そのため、ワンツーワンのアプローチでクリエイターさんや購入者さんからご意見を頂戴しサイトやサービスを作り上げていく、といった地道な取り組みの積み重ねが不可欠であった。従って、実績が全く無い創業初期の段階にも関わらず、まとまった資金を提供してくれたPE&HRさんをはじめたとしたVCは非常に大きな存在だった。銀行からの借り入れといった間接金融とは異なり、ファンドからの投資といった直接金融は、例えば、スタートアップ期のように、本当に事業が確立するかわからないけれど、立ち上がったら大きな価値を生み出せるような場合に適しており、チャレンジできる資金と言える。そして、事業が成功すれば同じ夢を共有した投資家に対して、投資リスクに見合うだけのリターンで報いる必要がある資金だとも受け止めている。」と事業の拡大と成長にはVCからの資金調達が不可欠であったこと、また直接金融の醍醐味と責任を述べている。

目線をあげて経営に取り組む

創業初期からの付き合いとなるPE&HRからは、資金面含めて様々な支援を受けた。古俣社長は、「資金調達が必要な時に、VCや金融機関の紹介、資本政策における助言の他、なかなか結実することは少なかったものの顧客・事業提携の候補先も紹介して頂いた。このような様々なご支援の中でも我々にとって一番ありがたかったことは、経営を行う上で目線をあげてもらったこと。PE&HRさんは、色々なところに投資されていて、中には短期間で大きな成長を果たされた企業もある。とりわけ経営者としての資質・心構え、考え方、組織の作り方といったアドバイスは経営を行う上でとても参考になった。そして、社外取締役として経営会議に参画して頂き、常に良い形での緊張感を維持できた。PE&HRさんは、創業初期の段階から上場まで苦境の時も一貫して支援し続けて頂き、我々の恩人だと思っている。」と振り返る。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場で信頼性と知名度の向上

創業からちょうど10年目の2015年、同社は、東証マザーズに上場を果たした。上場を目指した一番の目的は、信頼性と知名度の向上にあった。古俣社長は、「我々のビジネスはデジタル素材を生み出すクリエイターさんと、その素材を求めている購入者さんを繋ぐ場の提供であり、とりわけ信頼性は事業を左右する根幹。」と語っており、実際に上場後は、上場企業であるという位置づけの他、メディアに露出する機会も増えた。また、販路開拓においても、問い合わせが急増、デジタル素材のジャンル拡大や販売方法の多様化へ向けた事業提携等も進めやすくなっている。

アジアNo.1のクリエイティブ・プラットフォームを目指して

シンガポールや台湾に拠点をおき、現行サイトも英語、中国語、タイ語など多言語で提供している同社。今後のビジョンについて、古俣社長は、「日本でさらに規模を大きくしていくことはもとより、アジア全域にも事業を広げていくことで、5年後ぐらいには売上ベースでアジアNo.1のクリエイティブ・プラットフォームに、さらにその先は世界への展開も考えていきたい。世界には同業他社も存在するが、我々の特徴は、各クリエイターさんに対して、様々な情報発信、セミナー、撮影会といったきめ細やかな取り組みを通じてより深く結びつき、また購入者さんに対しても、より使いやすいサイトの構成やサービス等、双方向でビジネスを構築してきたことにある。アジア展開に際しても、単にサイトの多言語化にとどまらず、現地にスタッフを置いて、様々なご意見を吸い上げながら事業を推進していくことで、より高い価値を提供していきたい。」と語り、海外展開も含めてさらなる飛躍を目指す。

代表者プロフィール

代表取締役社長 古俣 大介
代表取締役社長
古俣 大介

1976年9月生まれ。2000年に株式会社ガイアックス入社後、2002年、有限会社万来を設立して取締役社長に就任。2005年8月、株式会社オンボード(現ピクスタ株式会社)を設立して代表取締役社長に就任(現任)。

起業家を志す方へのアドバイス

私は、事業を行っていく中で様々な壁にぶつかり、事業を諦めようと思う理由も多々存在しました。そのよう中で、解決方法を捻り出して乗り越えてこられたのは、自分が信じることのできる事業を行っているという確信があったからだと思います。自分の信じる事業を選べば、諦めずに続けていける原動力となり、そして、その先の道が開け光明がさすものと感じております。例えば、過去に資金繰りが厳しかった時には、私も弱気になってしまいましたが、それでも乗り越えてこられたのは、決して諦めない心を持てる事業かどうか、信じ切れる事業か否かがとても大きかったと感じております。どのような時でも自分が信じ切れる事業を行う、あるいは、自分の信じ切れる事業に作り上げることも、経営を行っていく上で意識してみるのは如何でしょうか。

ベンチャーキャピタルの声

PE&HR株式会社 代表取締役 山本 亮二郎
PE&HR株式会社
代表取締役

山本 亮二郎
同社へ投資をするに至った判断のポイント

2005年8月の同社設立の翌年、2006年4月に設立したSocial Entrepreneurファンド等から15百万円投資しました。創業に特化したファンドでありながら4回にわたり投資を重ね、3ファンド合計で76.5百万円となりました。初めの出会いは、2005年の弊社資本政策セミナーに創業前の古俣さんが参加されたことです。弊社自身も創業期でした。投資判断は全てファンドマネージャーである私が行い、同社が険しい状況にあった2008年11月に取締役に就任して以降は直接担当しましたが、複数の当社メンバーが関わって投資の成功につながったのであり、彼らの活躍がなければできませんでした。ピクスタというサイトはまだなく、メンバーと私で古俣さんとの面談を繰り返し、何度もインタビューを行いました。当時感じた主なポイントは下記です。
(1)真面目かつひたむきな起業家の性格
(2)事業創造にかける強い意志と粘り強さ
(3)学生時代から起業経験があったことに加え、在学中にイスラエルに渡航した際のエピソードやその間に感じたこととして話された内容に、起業家としてのスケールの大きさを感じたこと
(4)カメラのデジタル化と高性能化が進み、アマチュアカメラマンが増えかつ専門性が高まる過程で、この事業が実現すると確信したこと
(5)(1)の性格と(4)の事業内容がとてもよく調和し一致していたこと

VCの視点からみた同社の成功要因

上記の通り起業家の性格と事業内容が見事に合致していたこと、幾度もの資金不足をエクイティファイナンスで乗り越え続けたこと、人と組織を丁寧に育んだこと、その方々がクリエイターに寄り添いコツコツとサービスを積み上げたことです。

PE&HR株式会社について

同社代表取締役の山本 亮二郎氏は株式会社インテリジェンス等を経てフューチャーベンチャーキャピタル株式会社に入社。創業期に投資し取締役も務めた21LADY株式会社や夢の街創造委員会株式会社が株式公開を果たす。
 2003年5月に「無名の若者の創業期に投資し、成長を支援する」を事業目的として同社を設立し、代表取締役に就任。ベンチャー企業への投資と共に成長支援の実践的サービスの提供を行い、これまでに投資先である株式会社メディアフラッグ(2012年9月上場)、株式会社ALBERT(2015年2月上場)、株式会社ショーケース・ティービー(同年3月上場)が株式公開を果たす。

2015年度取材事例
掲載日:2016年4月19日

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