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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

データセクション株式会社

様々なデータを活用し、世の中に継続的に貢献できる“社会のインフラ”となることを目指す

事業内容:ビッグデータ分析ツールの提供、コンサルティング、システム受託開発
本社所在地:東京都渋谷区渋谷2-17-2 太陽生命渋谷ビル7階
URL:http://www.datasection.co.jp/ 設立年:2000年
株式公開年:2014年 市場名:東証マザーズ
資本金(2001年3月):19百万円 資本金(2014年3月期):99百万円
売上高(2001年3月): 売上高(2014年3月期):317百万円
従業員数(2001年3月):0名 従業員数(2014年3月期):24名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):早稲田1号投資事業有限責任組合(ウエルインベストメント株式会社)

事業概要

ソーシャルメディアを中核としたビッグデータ分析企業

同社は、2000年7月、ソーシャルメディアを中核としたビッグデータ分析企業として、橋本大也氏(現同社取締役会長)により設立。2009年7月以降は、澤博史氏が同社代表取締役社長に就任し、経営の指揮を振るっている。

現在、同社は、子会社2社及び関連会社1社と連携して、ビッグデータ分析ツール等のソフトウェアを提供する「SaaS」、ビッグデータの分析についてコンサルティングを行う「リサーチコンサルティング」、そして、ビッグデータ活用のためのセミオーダー型システムを受託開発する「ソリューション」の3つのサービスを展開している。

<同社の事業概要図>

<同社の事業概要図>

消費者の生の声をリアルタイムで捉え企業の課題・ニーズに対応

同社の「SaaS」サービスでは、主力ソフトウェアとして、ブログやツイッター、フェイスブック等のソーシャルメディア上の膨大な書き込みを分析する「インサイトインテリジェンス」を、通信ネットワークを介して提供。商品やサービス、会社名等の調べたいキーワードを入力することにより、書き込まれた件数の推移が分かる「時系列分析」、書き込んだ人たちの性別や年代層といった属性を把握できる「デモグラ分析」、書き込まれた内容が肯定的か否定的かを自動判別し数値化する「ポジネガ分析」等の機能を通じて、リアルタイムで“消費者の生の声”を分析することができる。

そのため、例えば、テレビコマーシャルや雑誌広告のプロモーションを行った際に“性別や年代別ではどのような反響があったのか”“どの広告がより大きな効果を生むことができたのか”、商品販売においても“なぜ、自社の商品が売れないのか”“他社と比べてどのように思われているのか”等、様々な場面で活用されており、多言語化も図ることで、アジア各国にも対応している。

<「インサイトインテリジェンス」の活用例>

<「インサイトインテリジェンス」の活用例>

また、「リサーチコンサルティング」サービスでは、“自社商品が売れない原因をどのように調べていけばいいのか分からない”“消費者の潜在的なニーズを見つけ出す方法を教えてほしい”といったお客様の要望に対し、データの取り扱いに精通した専門のコンサルタントが対応。お客様の課題やニーズを明確化した上で、ビッグデータを多面的に分析。世間の声を深く掘り下げて解決のお手伝いをする。

さらに、「ソリューション」サービスでは、お客様が今まで蓄積してきた「自社内ビッグデータ」に、同社が保有しているソーシャルメディア上のビッグデータを組み合わせ、上記の「SaaS」サービス技術を活用する等、セミオーダー型システムの開発を受託。ビッグデータの取り扱いに長けた同社が、ベトナムの子会社を通じて開発を行うことで、より早く・より安価に、データの活用に適したシステムを提供することができる。

このように、同社は、ビッグデータを分析するソフトウェアの提供のみならず、コンサルティングを行い、システム開発まで手掛けることで、ビッグデータの活用におけるお客様の幅広い要望に最大限応える体制を築いている。

創業からVCに出会うまでの経緯

世界の“データ部門”を目指して

セクションには“部門”という意味があるが、同社は、その社名が示すように、日本、さらには世界の“データ部門”となることを志し、現会長である橋本氏によって創業。設立当初より、インターネット上の書き込みを収集しつつ、検索エンジンやデータ構築等のシステム開発を受託していた。その後、現社長である澤氏が参画することとなるが、その経緯について澤社長は、「10年以上前に、“白雪の詩”という石鹸が、とあるOLのブログから急速にネット上に広がり、爆発的にヒット。この出来事から、今後、物の売り方が大きく変化していくこと、ネット上の書き込みや広がり方を分析していくことで新たなビジネスが生まれるであろうことを確信した。そのような中で、当時、同社社長であった橋本氏の講演に参加。そして、講演後の名刺交換の時に、抱えていた思いを話したところ意気投合して、私が当時在籍していた会社との取引に進展した。しかし、リーマンショック後に在籍していた会社が清算され、都合退職に。自ら会社を起こすことも考えていたところ、橋本氏から、“それなら株をいくらでも保有していいから、データセクションの社長になってよ”と、呼びかけられた。そこまで、信頼して頂けるのであれば、データに関わる事業を既に行っていることもあり、同社の代表になろうと決心した。」と振り返っている。

そして、2009年7月、同社の代表取締役社長に就任するが、目下の課題は資金の確保。同年12月にはキャッシュが400万円となり、給料を1回払ってしまうと無一文となってしまうため、何としても外部から資金を調達する必要があった。そこで、澤社長は、ベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織、以下VC)からの投資を模索する。

VC等を活用した事業の拡大と成長

資金調達で存亡の危機を乗り越え、ビジネスモデルの転換を果たす

上記の理由により、資金調達に奔走するも、当時、リーマンショックの影響は金融市場に大きな影を落とし、投資環境も極端に冷え込んでいた。しかし、そのような状況にも関わらず、2009年12月、ウエルインベストメント(株)が運営し、(独)中小企業基盤整備機構も出資する早稲田1号投資事業有限責任組合の他、VC2社から合計5,000万円の資金調達に成功する。

澤社長は、「あと2か月遅ければ、会社がなかったかもしれない。リーマンショックの中で、実績もあげられず資金繰りに苦しんでいた我々に対して投資を決断して頂いた事は、感謝してもしきれない。また、同時に感じたことは、一部を除き日本のVCの多くは、景気の良い時には赤字の会社にも投資してくれるが、景気が悪くなると投資のスタンスが一転してしまうということ。従って、なんとしても黒字にしなければならないと思った。」と語るように、5,000万円のキャッシュを得られたことで、それまで行っていたシステム受託開発の安売りの状況を打開。社長自らも積極的に営業を行うことで、翌年度には、売上高が前年度の3倍弱、最終利益でも黒字を果たす。

そして、2011年3月には、再びVCから7,000万円を調達することで、ソフトウェア開発のための人員を中心に増強して、現在の主力サービスとなっているビッグデータ分析ツール「インサイトインテリジェンス」等を拡充。これにより、今までのシステム開発の請負事業から、月額課金によるストック型のビジネスモデルへの転換を果たし、企業体質をより“筋肉質”なものへと磨き上げていった。

密なコミュニケーションで支援を得る

資金面以外にも、ウエルインベストメント(株)をはじめ、株主となったVCや事業会社から、様々な支援を受けることができた同社。特に、お客様の紹介や商談に繋げられる企業向けセミナーの機会を得られたことは、受注率も高いことから、事業を拡大していく上で弾みがついたという。また、IPOに向けた取り組みやIPOのタイミング等も、VCに相談しながら進めることができた。澤社長は、「取締役会には、投資して頂いた全VCにオブザーバーとして入って頂き、我々の情報を包み隠さず全て公開した。それは、“仲間として見て頂きたい”“我々の会社を好きになってもらいたい”“経営で困った時には相談に乗ってもらいたい”といった思いからであったが、結果として様々な協力を仰ぐことができた。」と語っており、VCとのコミュニケーションを密にすることで、信頼関係をより力強いものとし、継続的な支援を得ることに繋げることができた。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場によるブランド力の向上

同社は、2014年12月に東証マザーズへ上場を果たした。IPOの目的は、認知度・信用力も含めたブランド力の向上にある。同社は、澤社長が就任して以来、社員数を着実に増やしてきたが、成長を加速させていくためには、さらなる優秀な人材の獲得が重要となる。上場からまだ間もないものの、「上場以前は、優秀な人材を獲得するのが難しかった。しかし、上場してからは、統計学を専門に学んでいるような方々等、むしろ向うの方から我々にアプローチしてくれる状況。」(澤社長)とのこと。また、ブランド力の向上は、商談においても好影響を及す。「今までよりも上の役職の方とお会いする機会が増えた。我々がビッグデータを取り扱っている会社であると知れ渡ることで、より前向きに見て頂いていることを実感している。」(同)と上場の効果を語る。

ビッグデータを活用して新たなイノベーションを

現在、「SaaS」「リサーチコンサルティング」「ソリューション」の3つのサービスを展開。既に単月で黒字化しており、解約率も低いことから、同社の安定した収益源となっているが、「ビッグデータは、まだまだ世の中に確立していない市場で、これからが勝負。」と語る澤社長。大手企業との事業提携を進めつつ、アジア各国の市場も視野に、引き続き既存サービスのさらなる普及を目指す。

また同時に、ビッグデータには、様々なビジネスモデルの可能性が眠っているとみる同社。中長期的には、ビッグデータを活用することで、卸や小売り、広告、人材育成といった様々な分野において、今までには考えられなかった商流を作り出す等のイノベーションの創出を狙い、さらには同社自らも新たなビジネスを手掛けていく方針だ。

代表者プロフィール

代表取締役社長 澤 博史
代表取締役社長
澤 博史

1969年1月28日生まれ。1991年4月、富士通株式会社に入社。その後、双日株式会社、株式会社CSK-IS、株式会社イーライセンスを経て、2009年7月、同社代表取締役社長に就任(現任)。

起業家を志す方へのアドバイス

例えば、「これだけ働いているのに給料をあげてくれない」「こういう仕事をやりたいのにやらせてくれない」といった言葉をたびたび耳にしますが、不満を外にぶつけるのではなく、それならば自分でその不満を解消できる環境を作るために動く。“やる気”を“行動”に起こすことで、きっと日本はもっと元気になれると思います。そして、中には起業にチャレンジしないで燻っている人もいるかと思いますが、そういった方々には、ぜひ一緒にチャレンジしていきましょう、とエールを送ります。

ベンチャーキャピタルの声

同社へ投資をするに至った判断のポイント

同社からの呼びかけに対し、慎重に投資検討を行ない、以下の点を評価し、投資を行ないました。
(1)ビッグデータ活用に関する社会のニーズが今後ますます大きくなると思われる点。
(2)ビジネスモデルにおける競争優位性を有していた点(最も古くから、当時最も多くのソーシャルメディア情報を有していたこと等)。
(3)澤社長をはじめとする経営者が責任感を持ち、チームのバランスが良いこと。

VCの視点からみた同社の成功要因

投資後に同社の成長を目の当たりにし、以下の点が、株式公開を実現できた要因と考えます。
(1)ビッグデータ活用に関する社会のニーズが予想通りますます大きくなっていること。
(2)技術を背景としたサービス開発力とソリューション力をもち、競争優位性となったこと。
(3)澤社長をはじめとする経営者がマネジメント力とリーダーシップを持ち、会社の成長に対応できた社内体制を構築できたこと。

ウエルインベストメント株式会社

2014年度取材事例
掲載日:2015年4月30日

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