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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社UMNファーマ

創薬だけでなく製薬も担うベンチャー企業

事業内容:医療用医薬品の開発、製造及び販売
本社所在地:秋田県秋田市御所野湯本4-2-3
URL:http://www.umnpharma.com/ 設立年:2004年
株式公開年:2012年 市場名:東証マザーズ
資本金(2004年12月期):115百万円 資本金(2013年12月期):6,956百万円
売上高(2004年12月期):0円 売上高(2013年12月期):93百万円
従業員数(2004年12月期):2人 従業員数(2013年12月期):91人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):あきたアカデミーベンチャー育成投資事業有限責任組合(株式会社パシフィック・リム・ベンチャーズ)、投資事業有限責任組合アステック・テクノロジー・インキュベーション・ファンド(先端科学技術エンタープライズ株式会社)、他4ファンド

事業概要

創薬・製薬の両領域で事業を展開

同社は、満足な治療法や製造技術のない領域において、革新的な医療用医薬品の研究開発及び製造販売を目的として、2004年4月に設立された。

現在、同社グループは同社及び連結子会社の(株)UNIGENで構成されており、独自の製造プラットフォーム“BEVS”をもとに、最先端のバイオ医薬品開発を行う創薬領域、さらに、バイオ医薬品の製造に取り組む製薬領域も有して事業を展開している。

“BEVS”を用いた創薬開発

創薬領域においては、同社のコアテクノロジーである“BEVS”を用いて、順調な市場拡大が見込まれるインフルエンザやノロウイルス等の予防ワクチン類を中心に開発を進めている。

“BEVS”とは、“Baculovirus Expression Vector System ”の略で、昆虫等の節足動物に感染するが、ヒトなどの脊椎動物には感染しない性質を持つバキュロウイルスを用いた技術。具体的には、バキュロウイルスに遺伝子を組み込んだ後、昆虫細胞に感染させて医薬候補となりうるタンパク質を創り出す技術で、組み込む遺伝子の種類が変わっても生産条件を大きく変える必要がないため、柔軟で効率的な製造ができる。また、一部のタンパク質の大量生産に向くため、低コストで医薬品を作ることもできることから、バイオ医薬品製造技術の中でも有望なものの一つとなっている。

“BEVS”を用いたインフルエンザワクチンの特徴

現在、インフルエンザワクチンは、孵化鶏卵にウイルスを注入・増殖させた後、精製して創り出され、半年以上の期間を要している。しかし、新型インフルエンザ等の世界的流行(パンデミック)が生じた時には、孵化鶏卵の供給が追いつかず全国民へのワクチン供給に約1年半を要してしまう、といった問題が指摘されている。他にも、“ウイルスの毒性が強い場合には培養が困難となり鶏卵自体を改良(馴化)する必要がある”“鶏卵の中でウイルスが変異して目的のワクチンが作れない可能性がある”“鶏卵からワクチンを精製する際に不純物を除去しきれず副作用に繋がる恐れがある”“卵アレルギーの方は接種できない場合がある”といった課題も挙げられており、国をあげて鶏卵法に代わる開発が進められている。

そのような中で、同社の“BEVS”を用いたインフルエンザワクチンは、最短8週間という短期間で、大量にワクチンを製造することができる。また、新型で毒性の強いインフルエンザに対しても、ウイルスそのものを使用するのではなく、ウイルスを構成する遺伝子情報のみで製造が可能なため、鶏卵の供給量や馴化といった状況に左右されることはない。さらに、ウイルスの変異を招くことなく純度の高いワクチンを生産できることから、妊婦や子供にも安心して提供することができる。同社の技術は、過去50年にわたって行われてきた孵化鶏卵によるワクチン製造法に、大きな革新をもたらす技術として期待されている。

世界最大級のバイオ医薬品製造施設

同社の製薬領域においては、横浜研究所、秋田工場及び岐阜工場を保有しており、特に岐阜工場は世界最大級のバイオ医薬品の原薬生産施設となっている。

<同社グループの各施設>

<同社グループの各施設>

今まで国内のバイオ医薬品の製造については、一部の大手企業を除いて大規模な設備がなく、中小の製薬企業は韓国など海外に原薬の製造を委託していた。そのような中で、同社は、保有する高度な施設と製造ノウハウに長けた人材を活用して、自ら生み出したバイオ医薬品の製造だけでなく、外部からの受託製造にも着手。開発初期から商用段階まであらゆるお客様のニーズに対応しつつ、高い品質の製品を供給することができる。

創業からVCに出会うまでの経緯

VCの構想から創業

同社は、2004年、ベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織、以下VC)である(株)パシフィック・リム・ベンチャーズの“日本でも本格的な創薬バイオベンチャーを作りたい”との構想を実現するために設立された。そして、設立後直ぐに、(株)パシフィック・リム・ベンチャーズが運営し、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)も出資するあきたアカデミーベンチャー育成ファンド、同じく中小機構も出資するアステック・テクノロジー・インキュベーション・ファンド(先端科学技術エンタープライズ(株)が運営)の2つのファンドから投資を受け入れ、事業資金を確保。創業当初は、抗がん剤や膵炎治療薬等、“医薬品に繋がる可能性のある化合物”を導入して研究開発を行っていた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

VC等からの資金調達と支援

VCの構想により設立された同社。設立後すぐにVCから資金的な支援を受けるだけでなく、その後も資金調達を行うために多くのVCを紹介してもらいながら、抗がん剤や膵炎治療薬等の研究開発を行っていた。しかし、数年を経ても開発状況は芳しくなく、事業の存続すら危ぶまれる状況に陥る。

そのような中で、(株)パシフィック・リム・ベンチャーズは、米国コネチカット州のバイオベンチャー企業であるPSC社(Protein Sciences Corporationの略)の“BEVS”の技術に着目し、同社に紹介。同社は、先端科学技術エンタープライズ(株)の投資担当者であった橋本氏(現同社取締役)を中心として、VCから大規模な資金調達を行い、“BEVS”を用いたインフルエンザワクチンの開発に大きく方針を転換する。さらに、ワクチン分野に本格的に参入していくためには、製造施設も求められていたので、2009年、平野達義氏(現同社代表取締役社長、以下平野社長)がCFOに就任。事業パートナーの協力のもと銀行から多額の融資を受けることに成功。“BEVS”という特異な技術を用いたワクチン開発と、世界最大級のバイオ医薬品生産施設を有することとなる。

このように、同社の事業は、創業から現在に至るまで紆余曲折ありながらも、VCや事業パートナー、銀行から多大な支援を受けてきた。特に、資金面でのバックアップは非常に大きく、上場までに70億円以上の投資、60億円以上の融資を受けている。平野社長は、「バイオベンチャーは年数億円の研究開発資金が必要となるが、基本的に銀行は開発リスクを伴う融資はしない。そのため、研究開発においては、VCからの直接金融以外に選択肢は無く、非常に重要な存在である。一方、工場建設等の設備投資においては、融資の道はある。但し、無担保・無保証では無理なので、どういう形で信用補完をしていくのかが極めて重要。我々の場合は、赤字で累積損失も積み上がっている状態であったが、事業パートナーに信用補完してもらい、銀行にも今までにない新たな融資のスキームとして受け入れてもらうことで、非常にレアなケースではあるが多額の融資を受けることに成功した。」と振り返っている。

国の補助金の活用

また、同社がバイオ医薬品生産施設を建設する際には、補助金の果たした役割も大きかった。まず、秋田工場の建設時には、厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」に採択され、30億円あまりの投資に対して、満額を補助金で賄うことができた。また、岐阜工場においても、経済産業省の「国内立地推進事業費補助金」に採択され、約130億円の投資に対して22億円が補助金で賄われた。平野社長は、「元々、秋田工場に対する投資資金については、採択を頂ける確率が低いこともあり、補助金に頼らず事業パートナーや銀行と融資について話を詰めていた。しかし、実際には運よく補助金の採択を頂くことができたので、資金的な負担も無く進めることができた。そして、当初受ける予定であった事業パートナーや銀行からのご支援を、さらに規模の大きい岐阜工場に移してもらうことにも繋がった。工場建設となると膨大な資金が必要で、リスクの高さからスタートを切るには相応の力がいるが、国からの補助金で背中を押してもらえることはありがたかった。」と振り返っている。

IPOによる経営効果と今後の展望

IPOによる資金調達の多様化と人材の確保

同社は、2012年に東証マザーズに上場を果たした。IPOの目的について、平野社長は、「事業展開を行う上でタイムリーに資金調達が行えることが大きい。また、インフルエンザワクチンは、非常に多くの方々を対象としていることから社会的な意義が大きく、そのような方々にも広く株主となって頂ける状況にあることに意味があると思っている。さらに、人材の確保も大きなテーマ。創薬だけでなく、製薬においても非常に高いレベルが要求される分野であり、長期的な視点で人材構成を考えていく必要があり、上場が必要であった。」と語っており、実際に知名度が上がったことで、人材採用にも効果が出始めている。

製薬会社の領域を目指して

今後の展望について、平野社長は、「“BEVS”の技術によって、より早く・より多くの方々に、インフルエンザワクチンを含め我々の優れた医薬品を届けたい。また、製薬においては、世界最大級のバイオ医薬品製造施設を有しており、仮にインフルエンザワクチンを製造しても稼働率にはまだまだ余裕がある。そのため、バイオ医薬品の製造受託や他社との共同開発に結び付けていきたい。我々は、通常のバイオベンチャーとは異なり、医薬品を製造することができるので、このことを最大限に活かし、創薬型のバイオベンチャーから製薬会社の領域に達することが目標である。」と語っており、創薬から製薬に至るまでカバーする同社のさらなる成長が期待される。

代表者プロフィール

代表取締役社長 平野 達義
代表取締役社長
平野 達義

1959年4月6日生まれ。信越化学工業(株)、日本トイザらス(株)代表取締役副社長兼最高財務責任者を経て、2009年1月に入社。同年4月に取締役CFOに就任。2013年3月、連結子会社である(株)UNIGENの代表取締役社長に就任(現任)。同年8月、同社代表取締役会長兼社長に就任。

起業家を志す方へのアドバイス

ベンチャー企業というのは得意な分野もありますが、企業体として成立させるためには、自社にはない違う機能も必要です。そこで、自社の得意な分野を活かすために如何に味方を作っていくのか、というところが重要になってくると思っています。我々も得意な分野を伸ばすことだけに注力してきたのではなく、その得意な分野をアピールしてVCや事業パートナー、銀行、弁護士や公認会計士等の個人の方々に至るまで、味方をたくさん作ることができたので、企業体として経営を行いIPOまで辿り着くことができたと思います。他方、経営においては資金をいかに繋いでいくのかも重要です。特に、自ら十分にお金を生み出す状態に至っていないのであれば、周りへの頼り方も大事になると思いますが、その時、味方となってくれる方が多ければ多いほどきっと心強いかと思います。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

日本で本格的な創薬ベンチャーとすべく、当社が主導して、シーズを見つけ、設立した会社です。経営陣もリクルーティングし、順調に成長してきましたので、投資をすることにしました。

VCの視点からみた同社の成功要因

いくつかのパイプラインの開発が中止になる等、危機がありましたが、経営陣及び我々主要な投資家が柔軟に対応して、最適な成長路線を選択してきたことが成功要因と考えます。

株式会社パシフィック・リム・ベンチャーズ

2013年度取材事例
掲載日:2014年4月21日

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