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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社エー・ピーカンパニー

「生販直結モデル」により食産業における生産者・販売者・消費者の「ALL-WIN」の関係を目指す

事業内容:地鶏や水産物の生産・流通事業、居酒屋「塚田農場」などの経営事業
本社所在地:東京都港区赤坂2-17-22赤坂ツインタワー東館18F
URL:http://www.apcompany.jp/ 設立年:2001年
株式公開年:2012年 市場名:東証マザーズ
資本金(2002年3月期):3百万円 資本金(2012年3月期):29百万円
売上高(2002年3月期):24百万円 売上高(2012年3月期):8,320百万円
従業員数(2002年3月期):4名 従業員数(2012年3月期):876名
ファンド事業:がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):西武しんきんキャピタル商店街ファンド1号地域商業育成投資事業有限責任組合(西武しんきんキャピタル株式会社)

事業概要

食のあるべき姿を追求する会社

同社の代表取締役社長である米山久氏(以下、米山社長)は、2001年に飲食のプロデュースなどを事業目的として有限会社エー・ピーカンパニーを設立、2006年に株式会社化した。

同社は、「食のあるべき姿を追求する」というミッションのもと、食産業における生産から販売までを手掛けており、宮崎県日南市の地で育まれた“みやざき地頭鶏”や郷土料理を提供する居酒屋「宮崎県日南市塚田農場」、新鮮な水産物を提供する居酒屋「四十八(よんぱち)漁場」、など10を超えるブランドの飲食店を、全国各地に140店舗以上展開している。

生産者・販売者・消費者が「ALL-WIN」となる「生販直結モデル」

同社の特徴は、川上である生産現場にこそお客さまの満足を満たすもととなる「本物の食材」があり、他社との差別化につながることに着目し、地鶏や水産物などの生産・流通から居酒屋などを通じた販売までの「生販直結モデル」を展開している点にある。

同社の扱う地鶏は、卸売業者を通さずに、農家から直接仕入れているほか、自社でも農場や加工場などの一貫生産体制を確立して、養鶏を行っている。そのため、お客さまに対して、食の安心・安全と共に、厳選された食材を、低価格で提供することに繋がっている。

また、水産物についても、北海道から沖縄県まで日本各地の漁師・漁協と直接取引を行うだけでなく、自社で漁船と漁場を持って、漁を行っている。通常お客様に提供するまで1~2日要するところ、市場や卸を経由しないことから、朝に獲った水産物をその日の内に提供する「今朝獲れ便」を可能としており、高い鮮度と低価格を実現している。

このように、同社は、「生販直結モデル」によって、参入障壁が低く競争の激しい居酒屋業界の中で、他社には真似のできない付加価値をお客様に提供している。また、このビジネスモデルは、近年、農漁業就業者数の減少や地域経済の低迷が深刻化する中で、生産者にとって市場や卸売業者を通すよりも高い価格で安定的に出荷ができるほか、地域でも新たな雇用が創出されるなど、1次産業や地域の活性化に繋がっている。このように、同社は「生販直結モデル」を通じて、食産業における生産者・販売者・消費者の「ALL-WIN」の関係を実現している。

<食産業におけるALL-WINの達成>

<食産業におけるALL-WINの達成>

感動を引き起こすサービス

同社は、接客についても、独自の取り組みを行っている。それは、「期待を超えるサービスを積み重ねることで感動を引き起こす」といった考え方に立つもので、具体的には、地鶏の炭火焼きの鉄板に残った鶏の油でつくったガーリックライスが出てきたり、お通しのキャベツなどにお客さまのお箸が進んでいないと別の味で和えたり、といったサービスが実に2000種類も生まれており、今もなお増え続けている。このようなサービスが可能な背景には、アルバイトまで含む接客担当者に、お客さまの平均単価4,000円の1割である400円の予算を与え、それぞれのお客さまにあったサービスを自由に企画・実行する権限を与えているからである。

しかし、根底にはもっとも大切なものがある。それは、「生販直結モデル」に取り組んでいることにより、生産者の“想い”を飲食店のスタッフがしっかり引き継いでいる点である。同社は、社員に地鶏の生産現場に触れる機会を設け、生産者が愛情を注ぎ、手塩にかけて育てた鶏を屠殺する体験もする。さらに、アルバイトに対しても研修を通じて、「大切な命をいただいている」という“想い”を伝え、それにより、店舗の全スタッフが深くその“想い”を共有して働いている。その結果、スタッフはお客さまに対して、少しでも素材の良さを伝え、余すことなく美味しく食べて貰おうという行動に至り、お客さまに感動を与えうるメニューやサービスを、絶え間なく生み出すことのできる大きな原動力となっているのである。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業から1次産業に参画するまで

米山社長は、20代の頃、とある販売代理店に就職。知恵を駆使して、わずか半年のうちに全国でナンバーワンの営業成績をあげた。しかし、仕事に対してやりがいを感じることができず、また、組織の一員ではなくトップとなって仕事をしたいとの気持ちに至り、会社を辞めて起業。不動産業や海外挙式のプロデュース業などを行っていたが、扱っていた仲介物件に潰れかけたバーがあり、それをダーツバー兼ダイニングレストランとして運営するために、同社を設立した。米山社長は、当初こそ副業的な位置づけで店舗運営を行っていたが、お客さまの喜んでいる顔が直に見えるフードビジネスのやりがいと事業の成長可能性に直に触れて、本格的に飲食業に参入することを決意した。そして、米山社長は、立地は悪いものの養鶏場直送で大繁盛している、ある地鶏専門店に着目。2004年に、多くの地鶏専門店が7,000円でお客さまに提供しているところ、半値近くの4,000円弱で提供できる“みやざき地頭鶏”専門居酒屋「わが家」を出店した。その価格戦略は目論見どおりお客さまの心を掴み、お店は繁盛したが、卸売業者を通して仕入を行っていたため、利益もあまり出なかった。そのため、宮崎県の生産者のもとに何度も足を運び、苦労の末、直接生産者から地鶏を仕入れることを実現。その後、現地の人たちに教えを請いながら、自社養鶏場や加工センターを開設するなど、1次産業に自ら参画することとなった。米山社長は、「当初、我々は、会社の規模を大きくしていくことを目標としていた。しかし、自ら1次産業に足を踏み入れたことで、生産者の“想い”を我々がしっかり受け取ってお客さまに発信していき、1次産業や地域の活性化に貢献していくことへと、目標とすべきところを新たに見い出すことができた。そして、この目標は全スタッフのやる気に繋がっている。」と語っており、同社が今に至る大きな転機となった。

新規出店のためVCからの資金調達

同社は、店舗の出店や1次産業における投資などを、銀行からの借り入れで賄っていた。しかし、当時の企業規模では大きな借入もできなかったため、企業の成長に資金が追いついていなかった。そのような折に、とある縁で紹介をされたのが、西武しんきんキャピタルというベンチャーキャピタル(新興企業などに投資を行う会社や組織、以下VC)である。同社は、西武しんきんキャピタルの担当者と話し合いを重ねた結果、2010年7月、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)も出資する西武しんきんキャピタル商店街ファンド1号地域商業育成投資事業有限責任組合から、新規出店資金として、普通社債で2,000万円の資金調達を実現した。

VC等を活用した事業の拡大と成長

銀行融資とは性質の違う普通社債

同社は、サブプライム問題やリーマンショックの中でも、信用保証協会や政策金融機関の各種制度をうまく活用し、融資によって資金を調達していたが、そのような中で西武しんきんキャピタルから資金を得られたことも、継続的な成長を果たすのに大きく寄与した。特に、普通社債での資金調達は、銀行の融資と異なり、4年後に一括して償還を行うことから、安定的な運用ができた点でメリットがあった。

また、普通社債の実施後も、3ヶ月に1回程のペースで面談を受けたが、同社の部門損益などの経営情報から第三者の目線でアドバイスを受けられたことや、将来の上場に向けて資本市場の考え方を教えてもらったことは、大変参考になったと語っている。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場の最大の目的は人材の獲得

同社は、2012年に東証マザーズに上場したが、上場の最大の理由は、人材の獲得であった。米山社長は、同社の事業が成功している理由を、「生産者と直結して、良いものを安く提供しているだけではない。細かいサービスを通じて、生産者の“想い”をお客さまに伝えるスタッフの存在が非常に大きい。」と述べている。また、「我々は、1次産業に取り組んでいる居酒屋チェーンではなく、食産業の商社と位置づけている。現在展開している居酒屋は、販売チャネルの一形態として捉えており、今後は、卸・小売・通販などを積極的に展開していくための人材が必要になる。」とも語っており、同社のミッションを実現していくためには、志が高く優れた人材を多く確保する必要があった。そのような中で、上場から間もないことから、現時点ではまだ採用には至っていないものの、新卒セミナーの参加者が大幅に増えており、上場の効果を実感している。

「生販直結モデル」を世界に

今後の展望は、「製販直結モデル」をさらに推進して、既存の地鶏や水産物の増産に対応していくとともに、地域に埋もれている素晴らしい食材を発掘し全国に発信していくことで、1次産業や地域の活性化に貢献していくことである。そして、「塚田農場」や「四十八漁場」などの直営店舗の出店を400店舗まで増やすと同時に、販売形態の多角化の一環として、スーパーマーケットなどに向けた卸や小売、中食、通販といった取り組みも積極的に行っていく。

さらに、同社は、国内にとどまらず海外にも目を向ける。2012年10月には、シンガポールに海外初となる“TSUKADA NOJO”を出店した。20代以上の女性の美容や健康へのニーズに対して、自社養鶏場で育てた「みやざき地頭鶏」の天然コラーゲン鍋を提供している。将来的には、成長著しいマレーシア・インドネシア・タイ・ベトナムなどの周辺国への展開も目指しており、現地での「生販直結モデル」を志向することで、食産業における生産者・販売者・消費者の「ALL-WIN」の関係を世界にも広げていく。

代表者プロフィール

代表取締役社長 米山 久
代表取締役社長
米山 久

1970年11月9日生まれ。不動産業、販売代理店、海外挙式のプロデュース業などを経験したのち、2001年に同社の前身となる(有)エー・ピーカンパニーを設立して、代表取締役社長に就任(現任)。2004年に“みやざき地頭鶏”を扱う居酒屋「わが家」を開店。2006年に(有)エー・ピーカンパニーを株式会社化して、今に至る。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

事業を行うにあたっては、同じことを横並びでやるのでは、意味がないと思います。オリジナリティをしっかりと確立して、世の中に足りていなかったものを提供する。そして、その事業を通じて、社会にどう役立っていけるのかを考えることも忘れてはなりません。

また、壁に直面したときは、“空気を読むこと”を意識してみると良いと思います。自分たちの提供しているものがお客さまのニーズと一致しているのか、会社の方向性にスタッフが賛同してくれないのはなぜか、“空気を読む”ことで、“本質的なもの”を探り、それがオリジナリティにも繋がるかもしれません。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

米山社長の「商品価値を最大限に高めてお客様に提供する」という理論のもと業績を拡大してきた実績に加え、自身が生産地に深く根を下すことにより、「生産地の想いを消費者に伝える」という取り組みを高く評価いたしました。

VCの視点からみた同社の成功要因

食の安心安全が叫ばれている中、こだわりの食材をリーズナブルな価格で提供できる力があることや、一度来店した顧客に再来店してもらうための多くの仕掛けづくりを、従業員一丸となって取り組んだ成果だと思います。

(西武しんきんキャピタル株式会社)

2012年度取材事例
掲載日:2013年6月 4日

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