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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社メディアフラッグ

「IT」と「人」をキーワードに流通業界に新しい価値を創造する

事業内容:店舗の覆面調査や消費財メーカーへの販売促進を支援
本社所在地:東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル10F
URL:http://www.mediaflag.co.jp/index.php 設立年:2004年
株式公開年:2012年 市場名:東証マザーズ
資本金(2004年12月):10百万円 資本金(2012年12月期):284百万円
売上高(2004年12月):7百万円 売上高(2012年12月期):2,810百万円
従業員数(2004年12月):1名 従業員数(2012年12月期):95名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業、がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):Social Entrepreneur投資事業有限責任組合(PE&HR株式会社)
がんばれ東海第1号投資事業有限責任組合(株式会社Sync Partners)

事業概要

店舗・店頭に特化したマーケティング支援を行う会社

同社は、2004年2月、代表取締役社長である福井康夫氏(以下、福井社長)によって設立された。様々なサービスや商品が溢れている時代に、「ITと人をキーワードに流通業界に新しい価値を創造する」という事業コンセプトのもと、店舗・店頭に特化したマーケティング(フィールドマーケティング)の支援を行っている。

同社の目指すところは、“流通店舗のサービスが、お客さまに対して行き届いているか?”“商品配置やPOP(商品の名前・価格・特徴などを伝える広告媒体)はお客さまの心を捉えているか?”“競合他社と比較してお客さまにどのように思われているか?”などの実態を正確に捉え、お客さまに喜んでもらえる店舗づくりや商品の効果的な販売促進活動に繋げていくことである。経営理念として流通業界の発展に寄与することを掲げており、例えば、同社は自らコンビニエンスストアの店舗をフランチャイズとして運営。その店舗でデータの収集やノウハウの蓄積を行いながら、実際にクライアントのマーケティング活動を支援している。

現状を正確に捉えてマーケティングに活かす“フィールド事業”

“フィールド事業”では、さらに、“流通支援事業”、“営業支援事業”、“ASP事業”の3つの事業に分かれている。

<フィールド事業の概要>

<フィールド事業の概要>

一つ目の“流通支援事業”では、流通業や飲食業のほか、金融機関など各種サービス業を営むクライアントに対して、本部マニュアルなどに沿った運営状況や接客状況のほか、コンプライアンス、競合店などに至るまで、幅広い調査を実施している。そして、調査結果に基づいて座談会や研修などのコンサルティングを行うことで、個別店舗の改善に繋げる取り組みを行っている。

二つ目の“営業支援事業”では、消費財メーカーなどのクライアントに対して、その商品に効果的な販売促進が行われているかの調査や商品配置、POP広告設置などの販売促進業務を受託している。実際に店舗を巡回する人材はラウンダーと呼ばれ、対象となる店舗にメーカーの営業として訪問し、棚替作業やPOPの設置といった受託作業を実施している。

三つ目の“ASP事業”では、“流通支援事業”や“営業支援事業”の調査報告システムとして用いている「Market Watcher」を、Webサービスとして提供している。「Market Watcher」とは、携帯電話やスマートフォンなどを活用して、現場の状況や消費者の声をリアルタイムに報告・閲覧できるシステムである。また、画像の取り込み、集計・分析機能、スケジュール管理・お知らせ機能、コメント機能なども備えることで、店舗づくりや販売促進活動を効果的かつ効率的に推進することができる。

同社の事業を支える「ITと人」

同社は “フィールド事業”を推進していく上で、「ITと人」をキーワードとしている。

「IT」については、前述の「Market Watcher」の活用のほか、「人材くん」という業務・人材管理システムも独自開発しており、年間数十万件にものぼる巡回、調査の実施状況をリアルタイムで確認することができる。また、こういったフィールドワークを取り扱う業種において、一番の手間とされてきた人員の配置をシステム化することで、大規模・短期間に加え、低コストで事業を展開することができる。

「人」については、社員の半分以上が流通サービス業の出身者であるほか、自社で運営しているコンビニエンスストアも従業員の研修の場として用いられている。したがって、同社は現場を熟知したプロフェッショナルが多く在籍し、クライアント、消費者の両方の目線で調査の設計・分析・改善に繋がる支援策を提供することができる。さらに、巡回、調査を行う登録スタッフ(メディアクルー)も、北海道から沖縄まで全国に約17万人いるが、単なる人材派遣やモニターでは決してない。メディアクルーは、同社の仕事の価値や社会性といった理念を共有してもらった上で参画している。そして、対面やオンラインでの研修を通じて、現場を“診る”ことのできる人材へと育てあげており、クライアントに対して高い業務品質を確保している。

創業からVCに出会うまでの経緯

小さい頃からの夢を叶えて創業

福井社長は元々、父親も母方の祖父も事業を営んでおり、小さいころから起業家としての漠然とした思いがあった。大学卒業後は営業と金融を勉強するために、当時、体育会系と言われていた三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に就職。初めて配属された茨城県土浦市は、食品スーパーのカスミグループ、ファミリーレストランのココスジャパン、アパレルのライトオン、ホームセンターのジョイフル本田などの流通業が多く、営業や融資を通じて、「流通はおもしろい。チャンスがあるのではないか」との気持ちを抱いた。そこで、流通業ナンバーワンの(株)セブンイレブン・ジャパンへの転職を決意。店長やスーパーバイザー(各店舗の管理や指導)などを経験し、きめ細かい商品管理や店舗マネジメントにおけるノウハウを直に学んだ。その後、ベンチャー系SP代理店を経て、同社を設立した。

資金調達が成功した要因は自らの経験を元に生まれた事業であったこと

同社は、創業間もない頃から、大手事業会社や著名な起業家からの投資を実現。その後も、大手広告代理店やベンチャーキャピタル(新興企業などに投資を行う会社や組織、以下VC)などから資金を調達して、上場までに約5.6億円を集めた。福井社長は、資金調達が成功した最大の要因について、「自らの流通業の経験を元に、世の中のニーズに対して事業をロジカルに展開できたこと。投資する側も安心してお金を託してくれたと思う。」と語っている。

なお、同社は(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)も出資するSocial Entrepreneur投資事業有限責任組合やがんばれ東海第1号投資事業有限責任組合から投資を受けているが、「創業のときから公的機関である中小機構にはお世話になっていたので、株主として二つのファンドが加わることには安心感を持っていた。」とも語っている。

VC等を活用した事業の拡大と成長

成長を促進させた緊張感

同社は、資金調達についてある程度は銀行からの借入で賄うこともできたが、あえて事業会社やVCなどからの資金調達にこだわった。その理由について、「外側にも株主がいるということは、会社が自分だけのものではなくなり、私物化できなくなるということ。例えば、事業計画で定めた目標について、株主総会などを通じて、その進捗を厳しい目で確認してもらう。良い意味での緊張感に早く身を置く事が、小さな儲けに満足することなく、継続的な事業の成長に向かうことができると考えていた。」と語っており、資金面だけでなく、精神面でも同社の成長を促した。

事業会社やVCが株主に加わったことによる効果

 同社は、月1回の取締役会にて、自由に株主が出席できる環境を用意。事業における可能性やリスクのアドバイスをもらいながら、多角的な視点で経営を行うことができた。

また、業界では後発企業であることから、営業開拓にも苦労をしていたが、大手事業会社から投資を受けられたことで、信用力の強化に繋がり、案件獲得に結びついた。さらに、Social Entrepreneur投資事業有限責任組合を運営しているPE&HRなど、いくつかの株主からはチェーン展開をしている企業を直接紹介してもらうなど、“一歩踏み込んだ支援”をしてもらっている。

起業の準備段階から公的機関を活用

福井社長は、まだサラリーマンであった頃から、中小機構や公益財団法人東京都中小企業振興公社が行っている起業セミナーを活用して、事業計画書の作成を行っていた。また、起業してからも、少しでも固定費を抑えてシステム投資などに資金をまわすために、中小機構が運営を行っているインキュベーション施設に入居。その後も、事業を行っていく過程で、トラブルが生じた場合には、中小機構の無料窓口相談を通じて解決のためのアドバイスをもらったり、協業できそうな会社とのマッチングの場を提供してもらうなど、「起業の準備段階の頃から、公的機関の各種支援施策には大変お世話になった。」と語っている。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場による信用力強化と認知度向上

フィールドマーケティング業界においては、同社は比較的新しい会社であることから、より一層の信用力の強化と認知度の向上によって成長を加速するため、早期の上場を目指した。2012年に東証マザーズに上場してからは、業界では唯一の上場企業であることから、電話営業やプレゼンテーションを行う際にも、クライアントの反応が今までと大きく変化。上場してまだ間もないものの、新規のクライアントが大幅に伸びるなど、効果を実感している。

日本の店舗運営ノウハウを海外へ

同社は国内において、年間累計20万店を超える調査および販売促進の支援を行っている。今後はさらに成長を加速させて、5年以内に5倍の年間100万店舗、年商にして100億円を目指す。また、海外においても、既に上海に子会社を設立して、日系企業のマーケティング支援を行っているほか、インドネシアの大手小売業から、覆面調査だけでなく、店舗づくりや従業員教育といったコンサルティングも受託した。福井社長は、「海外でも、日本の接客サービスなどの運営ノウハウのニーズは非常に大きい。」と語っており、今後もアジアへの事業展開を行っていく。

さらに、お客さまとの接点で得られる膨大なデータも、高い付加価値が眠る宝の山。現場視点での広告代理業など新たな事業分野への可能性も広がっており、同社の経営理念である「社会性ある事業の創造」に向けて、歩みを進めていく。

代表者プロフィール

代表取締役社長 福井 康夫
代表取締役社長
福井 康夫

1968年5月27日生まれ、早稲田大学法学部卒。1991年、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入社、中小企業向け提案型融資・営業業務経験。その後、1995年に(株)セブンイレブン・ジャパンに転職し、2001年に(株)セブンドリーム・ドットコムに転籍。2003年に、株式会社ブランドゥに転職。2004年2月に同社を設立し、代表取締役社長に就任(現任)。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

経営者は、“多くの従業員を幸せにする”“多くのお客さまに喜んでもらえる”といった社会性のある企業を目指すために、高い志を持つことが大切だと思います。また、どんなに良い事業を行っていても、会社にお金が無くなれば事業が続けられません。お金を途切れさせないようにすることも必要です。

経営を行っていく中ではつらい時もあるかと思いますが、その時には、周りを見渡してください。自分だけのためだけでは乗り越えられない壁でも、例えばサポートしてくれる家族や一生懸命頑張ってくれている社員のためなら、乗り越えられる壁も多くなると思います。

ベンチャーキャピタルの声

PE&HR株式会社 代表取締役 山本 亮二郎
PE&HR株式会社
代表取締役

山本 亮二郎
同社に投資をするに至った判断のポイント

社長の福井さんとは投資の1年以上前から面識があり、2007年6月頃、同年齢の経営者同士の会合で初めてお会いしました。翌朝すぐに社内で、「抜群に経営力のある方だった」という印象を話したことをよく覚えています。翌年、別の経営者の会でお会いした際、福井さんから既存株主の譲渡の話をお聞きし、すぐに投資検討をしました。従いまして、ビジネスモデル、市場の成長性、財務内容や資本政策などの精査より先に、起業家である福井さん自身への高い評価があって進んだ投資でした。

ミドルステージでの投資でしたが、その意味では、私たちが得意とし、日頃行っているスタートアップのベンチャーを見る眼差しに近い投資判断だったと言えます。

VCの視点からみた同社の成功要因

創業期の多くのベンチャーと全く同様、「明日食べていけるのか」という不安を抱きながら同社がスタートされたことは、福井さんから直接お聞きしてきた創業直後の様子や上場時のメッセージから明らかです。そのような中で経営を支えたのは、起業家の経験や確信を通じ、新しいビジネスに立ち向かおうとする「執念」と、数々の「出会い」であったろうと推察いたします。多くのお客さまや仲間との出会いは勿論のこと、銀行の支店勤務時代の先輩であるタリーズコーヒージャパン創業者の松田公太氏、ブックオフコーポレーション創業者の坂本孝氏、リテイルのインキュベーションで豊富な実績のあるBOSパートナーズの上田雅彦氏といった錚々たる方々や、住友商事、博報堂といった大企業との資本業務提携、数々の上場企業やVCの出資が、それを物語っています。

2012年度取材事例
掲載日:2013年4月22日

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