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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

五洋食品産業株式会社

フローズンケーキ「スイーツストック」を製造、新たな価値を創造

事業内容:冷凍洋菓子の製造及び販売
本社所在地:福岡県糸島市多久819番地2
URL:http://www.goyofoods.co.jp/ 設立年:1975年5月
株式公開年:2012年 市場名:TOKYO AIM
(現 東証TOKYO PRO Market)
資本金(2012年11月現在):1億62百万円
売上高(2012年5月期実績):12億30百万円
従業員数(2012年11月現在):43名
ファンド事業:がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):成長企業応援投資事業有限責任組合(しんわベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

同社は1975年(昭和50年)5月、福岡市博多区千代町にナチュラルチーズ加工業(資本金3,000千円)として設立された。ピザ用チーズの製造販売業として創業した同社であるが、取引先とのやりとりの中からチーズケーキの製造・販売を1981年から始めたことが現在の同社の事業発展の礎になっている。

美味しさを生み出した「逆転の発想」と冷凍工程の工夫

取引先からの要請を受け、凍ったチーズケーキを開発するものの、「初めは味も形もお客さまに満足いただく商品とはとても思えないものだった」と五洋食品産業の舛田圭良・代表取締役社長は当時を振り返る。「お客さまが解凍した状態でケーキをおいしく食べていただくには、冷凍する工程に工夫を加える」という逆転の発想が必要と考え、クリームや生地の配合・比率を何度も変えながら試作品をつくり、ケーキ製造の教科書的な方法そのものを見直すなど試行錯誤の末、ようやく解凍してもおいしい製法を確立することになる。

現在は主力商品である「ベイクドチーズケーキ」を筆頭に、200種類以上もの商品バリエーションを展開、年間売上高は12億3,000万円(2012年5月期実績)に上る。また、これまでは業務用を中心に製造していたが、冷凍ケーキを「スイーツストック」と称し、近年は個人向け商品を中心に新たな価値を創造、売上を伸ばしている。

<通販サイト「AnyTime! Sweets Stock!」>

<通販サイト「AnyTime! Sweets Stock!」>

VCに出会うまでの経緯

新工場建設の資金調達がきっかけ

「あの時のファンドからの投資がなければ、会社はとうに倒産していましたね」舛田社長は、社運を賭けて取り組んだ新工場建設のための資金調達が思うように運ばず、企業存続の瀬戸際に立たされていた当時を振り返り、しみじみとこう述懐する。

福岡市博多区にあった旧工場を、現在の本社工場がある糸島市営の「前原インターチェンジ南産業団地」に移転する計画が持ち上がったのは2007年ごろ。同社の主力商品である冷凍ケーキが、レストランなど外食向けや地域生協への安定的な需要を確保する中、新たな販路として一般消費者向けの市場を開拓するには、「安全・安心」のニーズに応える最新設備の衛生的な生産工場の建設が喫緊の課題となっていた。

用地取得で糸島市と契約を取り交わしたものの、その資金調達で当てにしていた金融機関からはいわば門前払いの扱いを受け、資金調達計画は頓挫。「資金調達だけではなく、その時に描いた会社の将来計画も諦めざるを得ない」事態になった。事業拡大の節目と位置づけた新工場建設は、用地取得の段階で危機を迎える。

その救いの手となったのが、2008年1月に行われた成長企業応援ファンドからの投資だ。しんわベンチャーキャピタルを無限責任組合員とした総額6億5,000万円の同ファンドには、中小企業基盤整備機構(以下、「中小機構」)が3億2,500万円を出資している。このファンドからの投資が五洋食品産業に新たな息吹を吹き込む大きな要因となり、新工場の建設が実現した。

事業拡大と成長

「フローズンケーキ」という新たな価値の創造=「スイーツストック」

舛田社長は「凍っているからこそメリットがあり、そこに付加価値がある。作り手が食べてもらいたいと望んだ形で届けるのが商品コンセプト」と強調する。「スイーツストック」のブランド名で市場浸透を図る事業戦略を展開する一方、冷凍にはそぐわないといわれるフルーツケーキや抹茶、いちご、モンブランなど商品開発にも注力、現在では200種類以上のバリエーションを持つ商品構成となっている。ニーズに合わせた注文生産も行うなど顧客からの支持を着実に広げ、外食向けの業務用、生協への販売チャンネルの構築を確立した。

<こだわりの製造工程(左)と「スイーツストック」のロゴ(右)>

<こだわりの製造工程(左)と「スイーツストック」のロゴ(右)>

IPOによる経営効果と今後の展望

新工場完成後の事業拡大を経て、当社は2012年5月、「TOKYO AIM」市場(現東証TOKYO PRO Market)へIPO(新規株式公開)を果たした。舛田社長はIPOの経営効果について、以下のように話す。

知名度向上に寄与

今後の売上高向上に向けてのキーとなるのが一般消費者向けの販路開拓である。現在、地元コンビニエンスストアでのテスト販売をスタートさせているが、IPOの目的のひとつは、この新市場の獲得にある。「資金調達が上場の狙いではあるが、いちばんは会社名や商品ブランドの知名度を高めること。一般消費者から興味を持たれ、注目を集めてこそ新規需要の開拓」と話す。

IPOにより海外展開が加速、人材面でもプラスに

国内だけではなく、香港のほか昨年末には米国への輸出が決定、中国、台湾への進出も検討するなど海外展開にも意欲的だ。IPO以前は「外国企業のトップにすら会えなかったが、上場後は相手の対応がまったく違う。むしろ、相手先からの問い合わせが圧倒的に増えた」。さらに、「人材面でも学生がダイレクトに手紙を送って寄こすなど今までにない反響がある。コンプライアンス(法令順守)の浸透という点でも、社内のモチベーションが上がっている」と舛田社長はIPO効果をこう断言する。

今後の展望とメッセージ

IPOを目指すベンチャー・中小企業には「上場すると周りの見方も変わる。準備をしてやってみる意義は大いにある」とエールを送る。

「フローズンケーキは1,000億円市場も夢ではない」という舛田社長、その可能性への挑戦はまだ始まったばかりだ。

代表者プロフィール

「スイーツストック」のブランド展開で「新規需要の開拓に力を入れたい」と語る舛田圭良社長
「スイーツストック」のブランド展開で
「新規需要の開拓に力を入れたい」と語る

舛田 圭良 社長

五洋食品産業株式会社
代表取締役社長
舛田 圭良
《ますだ・けいすけ》

九州大学農学部卒。
1993年4月日野自動車工業(現日野自動車)入社。
レース用・環境対策用エンジンの開発設計に従事し、
1997年1月五洋食品産業入社。1998年8月監査役、
1999年9月取締役を経て2001年8月から代表取締役社長に就任。
福岡県出身。44歳。

ベンチャーキャピタルの声

しんわベンチャーキャピタル株式会社 ファンドマネージャー 藤善 威
しんわベンチャーキャピタル株式会社
ファンドマネージャー

藤善 威
【五洋食品が初のケース】

福岡銀行などふくおかフィイナンシャルグループ(FFG)である親和銀行の100%出資子会社で、ベンチャーキャピタル業務を目的に1996年に設立された。ファンド投資先企業の中でIPOを実現したのは、五洋食品産業が初めてのケース。地域企業の活性化へ、銀行としてカバーできない支援をトータルで補っている。とくに中小機構と民間企業とが連携することで、総合的な経営支援が可能であり、新事業展開の促進あるいは中小企業の再生などにも大きく貢献していると思う。

IPOを果たしたことによる財務体質の強化や知名度の向上、経営管理力の強化などさまざまなメリットがあるが、上場会社としての自覚を持つことによるモラルの向上や、新卒者の採用など優秀な人材の獲得という面でも効果が表れている。舛田社長の経営に対するスピード感や“歩幅”の大きさを生かし、国内及び海外での市場開拓を進め、新たなステージに向かってさらなる成長を遂げられることを期待したい。

この事例は弊機構発行の施策普及紙「中小企業振興」新聞2013年2月1日号に掲載した取材記事をもとに作成したものです。従いまして、現在の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承下さい。
2012年度取材事例
掲載日:2013年3月22日

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