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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

ライフネット生命保険株式会社

相互扶助という生命保険の原点に立ち返り、正直に、わかりやすく、安くて便利な保険商品・サービスの提供を追求する

事業内容:インターネットを用いた生命保険商品の販売
本社所在地:東京都千代田区麹町二丁目14番地2麹町NKビル
URL:http://www.lifenet-seimei.co.jp/ 設立年:2006年
株式公開年:2012年 市場名:東証マザーズ
資本金(2007年3月期):50百万円 資本金(2012年3月期):10,478百万円
売上高(2007年3月期):0円 経常収益(2012年3月期):3,773百万円
従業員数(2007年3月期):1名 従業員数(2012年3月期):73名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):ユーテック一号投資事業有限責任組合(株式会社東京大学エッジキャピタル)

事業概要

日本国内では74年ぶり、戦後初の独立系生命保険会社

2006年10月、20代や30代の所得水準が低下している状況に対して、「生命保険料を半額にするから安心して赤ちゃんを産み育ててほしい」との思いで出口治明代表取締役社長は、現在の代表取締役副社長である岩瀬大輔氏とともに生命保険業免許取得の準備会社となる「ネットライフ企画株式会社」を設立。そして、2008年3月に「ライフネット生命保険株式会社」へと商号変更、4月に免許取得し、国内では実に74年ぶり戦後初の独立系生命保険会社の誕生となった。

同社は、相互扶助という生命保険の原点に立ち戻り、「正直な経営を行い、わかりやすく、安くて便利な保険商品・サービスの提供を追及する」という企業理念を持つ、インターネットを主な販売チャネルとした新しいスタイルの生命保険会社である。

経営理念を体現した商品

同社の経営理念は、「ライフネットの生命保険マニフェスト」に具体化され、商品やサービスの提供に繋がっている。例えば、生命保険業界では保険商品に様々な特約を設けることにより、お客さまにとって〝何が本当に必要で〟〝どんなときに〟〝いくら〟保険金が支払われるのか複雑で分かりづらいものとなっていた。同社は、この特約を一切排除することで、商品をわかりやすくしている。また、保険商品の内容を示す約款も会社によっては申し込みの段階でなければ開示をしないところもあるが、同社はインターネット上でいつでも誰でも閲覧ができるようになっている。

現在、同社の扱っている商品は、病気・事故・災害など万が一のときに保険金が受け取れる定期死亡保険「かぞくへの保険」、病気やケガの種類は問わず治療を目的とした1泊以上の入院や手術を保障する終身医療保険「じぶんへの保険」、入院時の医療費の自己負担相当額を保障するとともに、がん・先進医療も保障する定期療養保険「じぶんへの保険プラス」、病気やケガによる長期の療養で働けなくなったときの収入を助ける就業不能保険「働く人への保険」の4つである。各商品は、シンプルでわかりやすい商品設計であることに加え、インターネット上からわずか十秒程で保険料の見積もりができる。

<同社の扱う4つの商品>

<同社の扱う4つの商品>

お客さまに真っ正直に、わかりやすく安くて便利な商品・サービスを提供

同社の商品は、インターネットで販売を行うことから、大手生命保険会社と異なり営業職員の人件費や店舗費などの販売経費を抑え、高い価格競争力を備えている。24時間365日いつでも見積りや申し込みが可能な利便性と両立させている。

そして、「保険料のうち、運営経費にあたる付加保険料の割合の開示」、「代理店にお支払いする代理店手数料率の開示」、「平日22時まで電話での保険相談が可能なコンタクトセンター」など、お客さまに「比較し、理解し、納得して」ご契約いただくことに真っ正直に取り組んでいる。

お客さまの声を反映し、より良い商品・サービスの追求

同社は、保険商品・サービスをお客さまにとってより魅力あるものにしていくために、「お客さまの声」を何よりの貴重な経営資源と捉えている。講演・電話・メール・SNS・アンケートなどを通じて広く収集した「お客さまの声」を分析し、商品・サービスの開発や改善に繋げている。

その一つとして、医療保険の給付金請求における診断書提出を原則不要としたことがある。医療保険の給付金の請求にあたり、従来まで医師の診断書の提出を必要としていたことから、給付金を受け取るまでに日数を要することに加え、診断書の取得に要する費用負担が発生していた。しかし、2012年10月から診断書の提出を原則不要とすることで、お客さまの負担を軽減するとともに、給付金の受取までの平均日数を従来の約43日から約18日まで短縮させることができた。

「お客さまの声」を活かすための同社の取り組みとしては、ホームページ上で「お客さまのご意見に対する取り組み」というコンテンツを設置し、寄せられた意見に対する同社の対応内容を掲載している。これにより、様々なお客さまが同社の取り組みを確認できるだけでなく、さらに満足度を評価することができる。お客さまとの双方向の対話を通じて、より良い商品とサービスを徹底的に追求している。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業のきっかけは投資家との出会い

同社の創業は、大手生命保険会社で勤務していた出口社長の生命保険への造詣の深さに注目したベンチャーキャピタル(新興企業に投資を行う会社や組織、以下VC)業務などを行うある投資家からの「一緒に保険会社を作りましょう」というアプローチがきっかけ。その後、投資家を介して紹介された岩瀬副社長と一緒に活動をスタート。そして、投資家のファンドなどから計1億円の出資を受け、生命保険業の準備会社ネットライフ企画株式会社を設立した。

新しい生命保険会社を目指して

創業に際して、出口社長は、「保険料を半額にしたい」、「保険金の不払いをゼロにしたい」、「(生命保険商品の)比較情報を発展させたい」という3つのビジョンを掲げた。この3つのビジョンを実行に移していくために、既存の生命保険業界の常識とは決別することが必要なことから、他の生命保険会社からの出資を仰がない独立系の生命保険会社となった。そして、長期にわたって保障を提供し、安定的に免許事業を営むためには一定規模の資金が必要だと判断し、計100億円という大規模な資金調達を目指した。

資金調達を成功に導いた決め手

当初は紹介や方向性に共感する事業会社へのアプローチなどを通して順調に進んだが、2007年秋頃からサブプライムローン問題が徐々に深刻化し、難航していった。しかし、そんな向かい風の中でも、引き続き外国機関投資家や(独)中小企業基盤整備機構も出資するユーテック一号投資事業有限責任組合などから出資を受け、2008年3月までに目標額を超える総額132億円の資金調達を達成した。

逆境にあっても目標を達成できた一因は、将来のビジョン・企業理念・ビジネスモデルについて共感を得られたこと。そして、様々なケースでの収支計画を用意し、数字面での裏づけをしっかりと示したこと。この二つが非常に大きかった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

資金調達による事業化と営業の後押し

生命保険会社を立ち上げるためには大きな資金が必要である一方、生命保険会社は営業開始から黒字化までに長い期間を要することから、株式公開の時期も確約できないため、特にVCの中には投資に難色を示すところも多かった。

しかし、ユーテック一号投資事業有限責任組合を運営する東京大学エッジキャピタルなどいくつかのVCからは、柔軟な対応により出資を受けることができた。このような資金も含めて同社が厚い資本を持てたことは、お客さまに対する信頼性の基盤となっている。また、生命保険業免許取得の翌月から営業を開始できたことは、調達した資金により長い時間をかけてシステム開発ができたことの賜物である。

営業を開始してからは、出資された株主から同社の商品を紹介する機会が提供された。例えば、東京大学エッジキャピタルでは、同社が他に出資しているベンチャー企業への同社商品のPRなど、直接お客さまとの接点を作ってもらうことができる支援を受けた。

IPOによる効果と今後の展望

上場コストに見合う社内外のメリット

国内の生命保険会社で一般的な経営形態は、株式会社ではなく、相互会社である。しかし、出口社長は、金融機関は社会の公器であるという考えから、上場も視野に入れて株式会社を設立した。実際に保険業をスタートしてからは、その思いを一層強くするとともに、事業に対する上場による効果も痛感することとなった。「ネットで生保は売れない」、「74年ぶりにゼロから立ち上げた生命保険会社なので認知度がない」、「新しい会社なので信頼度がない」という3つの大きな壁に立ち向かうためであった。

実際に東証マザーズへ上場してから、新聞・雑誌・テレビなどに取り上げられる回数も増え、PRに繋がる出口社長の講演回数も年間200件を超えるなど、認知度向上に寄与している。さらに、上場企業であることの誇りや同社の活動に対し市場から評価を受けることは、スタッフに良い意味での緊張感をもたらし、モチベーションの向上や経営基盤の強化等にも繋がっている。出口社長は、「我々にとって上場は目的ではなく手段」であり、「上場には確かにコストがかかるが、長期的には様々な面でメリットを享受できる」と述べている。

100年後には世界一の保険会社を

「生命保険料を半額にするから安心して赤ちゃんを産み育ててほしい」という出口社長の思いは、契約者の約7割超が20代30代の子育て世代であるという契約者データが示すように一定の成果は見えつつある。しかし、年間40兆円という国内生命保険業界の市場規模からすれば、同社のシェアはまだまだ小さく、業界を本格的に変えていくのはこれからである。

今後の展望について、出口社長は次のように語っている。同社のマニフェストに基づいた取り組みを引き続き進め、少しでも多くの人々に同社の取り組みを知ってもらい、共感してもらうことで、より一層の保有契約件数の増加を目指していく。そして、100年後にはお客さまや市場の評価が世界で一番の保険会社となることを目指し、ライフネット生命はこれからも歩みを進めていきたい。

代表者プロフィール

代表取締役社長 出口 治明
代表取締役社長
出口 治明

1948年4月18日生まれ、京都大学法学部卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に東奔西走する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年に準備会社であるネットライフ企画株式会社を設立、代表取締役社長となり、現在に至る。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

一つ目に、何をしたいかという理念が大切です。理念に対し共感を得られなければ、お客さまはついてこないと思います。二つ目に、経営は国語ではなく算数です。数字とファクトとロジックで経営を捉えていないならば、それは好きなことを行っているだけの趣味の経営でしかないので、算数を大切にしてください。

そして、もし気分が落ち込んだ時には、美味しいものを食べてぐっすりと眠りましょう。経営者は判断が大事です。心身を健康に保つことでより良い経営判断を行っていけるでしょう。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

多様なバックグランドを持つ魅力的なチームが、誰もが関心を持つ社会の大きな課題に対して、競合企業が模倣することが困難なシンプルな解決策を提案し、誰も成し遂げたことのない事業に使命感を持って挑戦する姿勢に共感し、応援団の一員に加わりました。

VCの視点からみた同社の成功要因

構想を実現するチームの実行力が大きな成功要因です。出口社長と岩瀬副社長の2人しかいなかった小さなオフィスからスタートし、オフィスが変わる度に同じ志を抱く仲間を増やし、IPOを実現しました。生命保険業界に精通した出口社長の構想力、卓越したプロフェッショナルである岩瀬副社長を軸に結集した優秀なチームの実行力が成長の原動力でした。

((株)東京大学エッジキャピタル 取締役ジェネラルパートナー 辻 秀樹)

2012年度取材事例
掲載日:2013年3月 5日

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