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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

メビオファーム株式会社

独自のDDS技術でグローバルに事業を展開

事業内容:ドラッグ・デリバリー・システムを応用した新薬の開発
本社所在地:東京都港区虎ノ門5-11-2 オランダヒルズ14階
URL:http://www.mebiopharm.com/ 設立年:2002年
株式公開年:2011年 市場名:TOKYOAIM
資本金(設立年):10百万円 資本金(2011年3月期):230百万円
売上高(設立年):3万円 売上高(2011年3月期):9百万円
従業員数(設立年):0名 従業員数(2011年3月期):9名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合員名):エヌアイエフ産学連携ファンド1号投資事業有限責任組合(大和企業投資株式会社)

事業概要

DDS技術を実用化

当社は、DDS(Drug Delivery System:医薬品を必要な場所に、必要なタイミングで必要な量だけ届けるシステム)を応用して創薬の研究開発を行っている。当社のDDS技術はリポソームというカプセルを用いて薬品を内包させ標的となる部位に薬剤を届けることが出来るものである。現在は、抗癌剤を中心に5つの研究開発プロジェクトが進んでいる。

DDS技術は薬効を高める効果や副作用を抑える効果が期待でき、患者や医療従事者の負担を軽減することに繋がるため、次世代の医療にとって重要な技術として注目されている。当社のDDS技術はリポソームの表面にトランスフェリンという蛋白質を結合させるものである。癌細胞の表面にはトランスフェリン受容体が多く存在しており、癌細胞と結合しやすいトランスフェリンをリポソーム表面に結合させることで薬物の運送を可能にしている。

この技術は東京大学や帝京大学で研究されてきたものである。これまで、この技術を用いた医薬品の製造は研究室レベルでの少量生産が限界であったが、当社が始めて大量生産できる技術として確立した。

<リポソーム化によるDDS技術>

<リポソーム化によるDDS技術>

リポソームによるDDS技術を基盤として事業を展開

当社は現在、抗癌剤をパイプライン化し、研究開発を推進しているが、当社のDDS技術は癌に留まらない汎用性の高さを持っている。当社は全く新しい薬剤を作ることではなく、薬剤をリポソーム化しDDSとして機能させることに強みを持っているため、使用する薬剤は抗癌剤に留まらない。したがって、当社の技術は他の疾病に効果を持つ薬剤にも適用できる基盤となる技術で、いわば医薬品をDDSとして機能させる事ができるプラットフォームと言える。

このような特徴をもつ当社の技術はプラットフォーム技術として幅広い市場が期待できることに加えて、既存の薬剤を用いることで研究開発のリスクを低減することが可能となっている。

創業からVCに出会うまでの経緯

必要な薬剤を世界に届けたいとの想いから創業を決意

代表取締役の藤澤氏は英国の大手製薬企業グラクソ・スミスクラインのマーケティングを担当していた。マーケティング業務を行う中で、東京大学や帝京大学で研究されているリポソームによるDDS技術と出会い、この技術を用いて必要な薬を世界に届けたいと思うようになり、そのDDS技術を研究していた大学の研究者3名と創業した。

徹底したマーケティングを行い、ビジネスモデルを構築

創薬に関する技術を評価する際に重要なのは製品の開発に成功した場合の市場規模と研究開発のリスクである。当社のDDS技術は、様々な薬品に応用できるプラットフォーム技術であるため、世界で最も多く用いられている抗癌剤のひとつを創薬ターゲットとすることで高い市場性を実現できると考えた。また、何も無い状態から創薬をするのではなく、当社の技術を用いて既存の薬をリポソーム化しDDSとして機能させることで、研究開発リスクを低減させるビジネスモデルで事業を立ち上げた。

製薬企業とライセンス交渉を進める中でVCから出資の打診を受ける

当社は創業当初にはVC等から資金を調達する予定は無かった。当初の事業計画では、研究開発を推進するとともに、知的財産の獲得および保護に努めその成果を製薬会社等へライセンシングすることを想定し、いわば特許マネジメント企業として創業した。そのため、創業者4名の自己資金だけで事業を運営していく予定であった。

そのビジネスモデルの転換を図るきっかけとなったのが、VCとの出会いである。当社がVCと出合ったのは、2003年に経済産業省関東経済産業局主催のバイオベンチャーが集まるイベントの懇親会であった。

当社は、それまで、自己資金で事業を運営することを想定しており、フランスの製薬会社に当社の技術をライセンスする交渉をはじめており、VCと接触はしていなかった。ところが、その懇親会で、中小企業基盤整備機構も出資するエヌアイエフ産学連携ファンド1号投資事業有限責任組合を運営する大和企業投資(当時:エヌ・アイ・エフベンチャーズ)の担当者から当社に出資したい旨を伝えられた。VCからの出資の打診は想定をしていなかったため、ビジネスモデルを再検討することとした。

VC等を活用した事業の拡大と成長

創業の理念に立ち返り、ビジネスモデルを再構築

VCから出資の打診を受けて、自社で開発を行わず、知的財産権のライセンシングで事業運営を行うのか、自社で臨床研究等まで行うのかを詳細に検討した。その際には、「患者へ最速で最大の価値で薬を届けたい」という当社創業の理念に立ち返り、そのためにどのようなパートナーと事業を行うのが最も適切なのかを考えた。その結果、知的財産のライセンシングを中心としたビジネスモデルではなく、VCからの出資を受け、自らが臨床試験等を行う創薬事業をおこなうビジネスモデルへ転換することとした。そして、大和企業投資の他、国内大手VCから出資を受けることになった。実際の出資を受けたのは大和企業投資との出会いからわずか5ヵ月後のことであった。

自由度の高い日本のVCの資金

当社が海外企業へのライセンシグではなく、日本のVCから資金を調達した理由には、経営の裁量権の大きさが挙げられる。当社は明確なビジョンと技術を有しており、高い裁量権で事業を推進していくことを望んでいた。当社の経営に理解してくれるVCから出資を受けることで、裁量権を確保するとともに、間接的な業務に忙殺されることなく本業に集中することで研究開発を進めることのできる環境を整えることが出来た。

VCはExitに向けた事業のパートナー

当社は数名で創業をしており人材やネットワークが不足していた。そこで、VCからの支援として、監査法人や弁護士、人材紹介会社などの紹介を受けた。また、直接VCから人材を紹介されることもあり、当社の成長段階に応じて必要なネットワークや人材の提供があったことで、当社の成長に大きく役立ったと感じている。

また、資金調達についても組織的な対応をしてくれた。当社のような研究開発集約型の企業の場合、多額の資金を調達する必要性がある。2003年に初めて3億円ほどの資金をVCから調達したが、2004年には10億円の資金をVCから調達している。これは、大和企業投資をはじめとして、VCが自らのネットワークを駆使し組成したシンジケート投資で実現したものである。1社のVCでは賄いきれない多額の資金を、VCのネットワーク無しに当社のみで調達することは到底出来なかったものと考えている。

バイオベンチャーは一般に専門性が高くVCが支援しにくい業態だといわれているが、技術そのものの内容は分からなくとも、資金面だけではなく、組織をつくり技術を市場化していくために様々なネットワークや事業計画、マーケティングや規制への対応など研究者が対応できない部分に対する支援は重要だと考えている。

このほかにも、IPOの準備に入る際には、VCから証券会社の紹介を受けるなど、Exitを見据えたパートナーとしての支援があったからこそ事業を成長させることが出来たと考えている。

IPOによる経営効果と今後の展望

TOKYO AIMという新しい市場へ上場

当社は2011年に東京証券取引所AIM市場へ初めての銘柄として上場を果たした。世界で最も成功している新興市場といわれるロンドン証券取引所AIMと東証が設立したプロ向け市場であり、第一号として上場できたことはベンチャー冥利に尽きると感じている。

当社が、AIM市場を選択した最大の理由は煩雑な情報開示の負担が少なく、本業に集中することが出来ると考えたからである。また、既存の市場に上場することで、他の大多数の企業の中に埋もれてしまい、成長が鈍化するのではないかと懸念したことも理由として挙げられる。

他にも、AIM市場が非常に柔軟な対応をしてくれることも当社がAIM市場を選択した理由に挙げられる。当社は上場時には新しく資金調達をしておらず、今後、事業戦略や当社の成長に応じて適切なタイミングで資金調達を行う予定である。このように、資金調達を行わず上場できることもAIMの特徴となっている。

アジアを中心にグローバル展開を目指す

当社はこれまで世界最大の製薬市場である米国を中心に事業を展開し、研究開発拠点の設立、薬品の規制対応などを行ってきた。今年度は、イギリス、フランス、ベルギーといった欧州でも事業展開を本格化させる予定である。欧州は米国に次ぐ市場でありこれらの市場に進出することは非常に重要である。

さらに、今後はアジアでの事業展開にも注力していく予定である。当社は日本に本拠地を持ち、アジアのネットワークを有している。2010年には中国の製薬企業から出資を受けており、今後は欧米亜の3拠点のネットワークを駆使し、最適なパートナーと協力し、当社の薬品を世界市場に最速に、最も価値の高い形で届けたいと考えている。

代表者プロフィール

代表取締役社長 藤澤 忠司
代表取締役社長
藤澤 忠司

1987年グラクソ・スミスクライン入社。マーケティング本部にて抗うつ剤のプロダクトマネージャを務める。その後、新製品企画マネージャに就任、市場化前の製品の分析、判断、導入の検討等に従事する。
2002年メビオファーム株式会社設立、代表取締役就任

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

志を持ち、それを企業として行動を起こすこと自体が素晴らしいことだと考える。是非、起業で終わることなく一刻も早く事業として、これを成功させるべく努めていただきたい。その際には大局的な視点を持ち、世界というマーケットを意識して挑戦して欲しいと思う。事業開始後も起業当初の志を大切にし、何か失敗や問題が起こった際は常にこれに立ち返り、柔軟かつ速やかに軌道修正する。また自らの弱みを客観的に把握した上で、足りない部分は周囲の協力を得るなど、それを補完する方法を見つけることが大切と思う。

私もこれから大きな志を実現しようとする皆さんから大いに刺激を受けたいし、互いに協力し合いながら何かできるとすれば、喜びこの上ない。

ベンチャーキャピタルの声

大和企業投資株式会社 投資本部 投資第一部 VC投資第四課長 成田 宏紀
大和企業投資株式会社
投資本部 投資第一部 VC投資第四課長

成田 宏紀
同社に投資をするに至った判断のポイント

投資判断のポイントは、(1)経営陣(藤澤社長、江里口様、柳衛准教授、丸山教授)、(2)リポソーム技術(オキザリプラチン封入トランスフェリン修飾NGPEリポソーム製剤)、(3)オキザリプラチンのマーケット規模である。この3点のバランス、経営陣、技術力、マーケット規模を満たすバイオベンチャーは皆無であった。

VCの視点からみた同社の成功要因

株式公開が達成できたのは、経営者の必ず成功させるという“強い信念”であると考えている。藤澤社長の性格である、最後の最後まで絶対に諦めない成功への執着心が最大のポイントであったと感じる。また、設立当初からのビジネスモデルに変化が無かったことも成功要因であると思う。ベンチャーの中でも特に大学発ベンチャーは"一点突破主義"が最大の魅力であると感じる。

2011年度取材事例
掲載日:2012年5月23日

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