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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社モルフォ

新たなイメージング・テクノロジーを創造する集団として、革新的な技術を最適な「かたち」で実用化

事業内容:画像処理技術の研究開発及び製品開発ならびにライセンシング
本社所在地:東京都文京区後楽2-6-1 飯田橋ファーストタワー31階
URL:http://www.morphoinc.com/ 設立年:2004年
株式公開年:2011年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):125万円 資本金(2011年10月期):791百万円
売上高(設立年):5百万円 売上高(2011年10月期):1,565百万円
従業員数(設立年):2名 従業員数(2011年10月期):80名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ユーテック一号投資事業有限責任組合(株式会社東京大学エッジキャピタル)

事業概要

東京大学出身の技術者による研究開発先行型ベンチャー

当社は、デジタル画像処理技術の研究を行ってきた東京大学出身の技術者を中心に、2004年5月に設立された研究開発先行型ベンチャー企業である。設立以来、デジタル画像に関する高度なアルゴリズムを創出すべく研究開発を行い、最先端の画像処理技術を駆使した各種ソフトウェアを製品化してきた。当社の技術・製品の優位性は、機能をすべてソフトウェアで実現しているため余計な容積を必要とせず壊れにくく、消費電力が少ない点にある。
 当社は、「コンピューターサイエンスは実学である」という信念のもと、最先端の研究を理論で終わらせるのではなく、社会のニーズに適応させて世の中に生かしてくことが使命であると考えている。

携帯電話・デジタルカメラの組み込み技術の開発
<手ブレ補正技術>

<手ブレ補正技術>

当社の技術は、携帯電話やデジタルカメラ等の組み込み機器をはじめとして、様々な環境において、画像を認知、処理、表現し、これら一連のプロセスを通して効率的・高品質な次世代のデジタル画像処理の枠組みを提供している。当社がこれまで製品化したソフトウェアは20製品であり、代表的な製品として、PhotoSolid(静止画手ブレ補正)がある。PhotoSolidとは、動き検出エンジンを利用したソフトウェアによる静止画手ブレ補正技術である。デジタルカメラやカメラ付携帯電話において、撮影する際の横ブレ、縦ブレ、前後のブレ、上下方向の回転ブレ、横の回転ブレ(6自由度)に対応した手ブレ補正を行うものである。
 従来は横と縦の回転ブレ(2自由度)であったが、当社は6自由度の実現を可能にした。室内や夜間の撮影時に超高速シャッタースピードで連続撮影した写真を、手ブレ量を検出して合成することでシャープかつ鮮明な画像として最終出力する。

搭載された携帯電話の出荷台数とともに増加するライセンス収入

当社は、国内外の携帯電話端末市場を中心にソフトウェア・ライセンス事業を営んでいる。事業の売上げの構成は、(1)ロイヤリティ収入(約7割)、(2)サポート収入(1割強)、(3)開発収入(1割強)である。ロイヤリティ収入とは、主に国内外の通信事業者及び携帯電話端末機器メーカー等に対して、当社が独自に開発した複数のソフトウェア製品を商用目的で頒布・利用することを許諾して、主に当社の製品が搭載された携帯端末機器等の出荷台数に応じたライセンス料を収受する収入である。
 サポート収入とは、当社ソフトウェア製品の利用を許諾することを前提とした当社製品の携帯端末等への実装(ポーティング)支援等を行う開発サポート収入と、ソフトウェア製品を利用許諾した後に一定期間の技術的なサポートを提供する保守サポート収入のことである。
 開発収入とは、主に国内外の通信事業者及び携帯電話端末機器メーカー等が試作機等へ実装し技術的な評価等を行う場合に、当社技術や製品の利用範囲を限定して当社の標準的な画像処理エンジンを提供する収入や、新たな技術や製品・サービスを創出する際に、通信事業者等の仕様により研究又は開発を請け負う収入のことである。

<事業の系統図>

<事業の系統図>

昨今は、海外メーカーによるスマートフォンの浸透によって、日本メーカーの携帯電話の出荷台数はピークの5,000万台から3,000万台に減少しており、海外の携帯電話端末機器メーカーへの販路開拓、事業連携は急務となっている。

創業からVCに出会うまでの経緯

実業界と接点を築きながら社会に貢献する海外の研究者が創業のモデルに

代表取締役の平賀氏は、東京大学大学院において、アルゴリズム研究で博士号を取得した後に1年半受託開発のベンチャー企業に身を置いた。
 東京大学に在籍時より、海外での学会発表等で海外の研究者/技術者が研究に留まることなく実業界と接点を持ちながらそれらを生かしたこれまでに無いビジネスを立ち上げていることを目の当たりにし、自身の研究成果をいかにしたら社会に還元できるのかという想いを強くしてきた。
 学生時代からもともと起業すること自体は目的ではなかったが、自身の信念でもある「コンピューターサイエンスは実学である」という信念を実現するにあたって、創業という形が最も相応しいと考え、当社の設立を決意した。

ビジネスプランコンテストでの受賞がVCと出会うきっかけに

ベンチャーキャピタル(VC)との出会いは、あるビジネスプランコンテストで優秀賞を受賞したことがきっかけであった。コンテストの審査員の一人が、後に投資を受けることになる東京大学エッジキャピタルのアドバイザーを務めており、同VCの紹介を受けた。
 オフィスも東京大学産学連携プラザに構え、2004年9月には、「ユーテック一号投資事業有限責任組合」を運営する東京大学エッジキャピタルより、約50百万円のシードマネーの投資を受けた。同組合に中小機構が出資していることは認識していて、安心感は持っていた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

事業拡大の鍵はシード期の資金調達と適切な市場選択

前述したように、東京大学エッジキャピタルからは創業当初より投資を受け、これまでに約2億円の出資を受けた。
 設立当初は、研究成果をもとに映像製作技術の事業化を計画していたものの、東京大学エッジキャピタルと一緒に事業計画を練っていくなかで、市場調査等も本格的に実施した。その結果、当時、相応に高度な映像製作技術は存在していたがマーケットは小さく、むしろ成長可能性の高いカメラ付携帯電話やデジタルカメラにおける組み込み技術の開発を選択する方が有望と判断し軌道修正を行った。
 その後複数のVCから声がかかり投資を受けたが、創業から様々なアドバイスを親身になって行ってくれたのは、東京大学エッジキャピタルであった。設立当初は、週に1回は投資担当者と顔を合わせ、市場の選択、事業計画及び資本政策のアドバイスを受けた。特に、市場の選択という段階での同社の指摘は、当社の将来を大きく左右する重要な決断を促してくれたものと認識している。

大企業とのライセンス契約や共同研究を後押し

東京大学エッジキャピタルからは他のVCの紹介もアレンジしてもらい、事業拡大時の資金調達の実現に大いに役立った。また、同社からは社外取締役を受け入れ、当社の重要な事業提携などの時点で、アドバイスを受けた。
 2005年には、手ブレ補正技術がNTTドコモ社のNEC製携帯電話端末に採用されることが決まり、2006年には「PhotoSolid」の搭載が開始された。また、2008年にはNTTドコモ社とシーン検出技術に関する共同研究を実施するなど、順調に事業も拡大していった。事業の拡大とともに、開発人員や知的財産保護の人員が必要となったが、タイミングを得た資本政策によって補強が可能となった。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場を機に社内体制を整備

当社は、2011年7月、東証マザーズに上場した。上場までの準備には、ディスクロージャーを始め大変コストを要したが、内部統制や組織構築方針など、より踏み込んだ形で社内体制を整備するきっかけとなった。

顧客からの信頼向上、学生からの認知度がアップ

上場後は、国内外の顧客からの信頼が高まったと認識している。特に、当社がこれから目指す海外携帯端末メーカーとの事業連携等においては、上場という事実は良い影響をもたらしてくれるものと考えている。
 また、当社は新卒採用を実施しているが、若きエンジニアへ当社を知ってもらう機会が今後増えていくものと期待している。エンジニアは、自身の開発したモノ・サービスが実際に社会においてどのように貢献しているのかに、強い関心を持つ傾向にあるので、当社のテクノロジーが携帯端末を始めとした新たなライフスタイルの実現の一助となっていることを知ってもらうことは、優秀なエンジニアの確保という側面からも、メリットのあることであると認識している。

海外展開を加速させ、画像処理のデファクトスタンダードを目指す

スマートフォンの浸透など、事業環境が大きく変化するなかで、海外の携帯端末メーカーとのライセンス契約等に、今後さらに注力していく。そのために、海外拠点の設置や現地要員の確保等についても加速させていく方針である。
 中長期的には、携帯端末分野、デジタルカメラ分野、情報家電分野に経営資源を集中させていく。通信速度の高速化やクラウドの進展を好機と捉え、カメラ機能と通信機能を有した各種商品やシステムの開発にも取り組んでいく計画である。
 今後も、「コンピューターサイエンスは実学である」という信念に基づき、次世代のデジタル画像処理の枠組みを提供し、業界のデファクトスタンダードとなることを目指していく所存である。

代表者プロフィール

代表取締役 平賀 督基
代表取締役
平賀 督基

1974年11月15日生まれ。東京出身。
1997年東京大学 理学部情報科学科 卒業。
2002年東京大学大学院 理学系研究科情報科学専攻(博士課程)修了。
博士(理学)。在学時より画像処理や映像制作用の技術開発に携わる。
2004年株式会社モルフォ設立。代表取締役。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

写真や映像をデジタルの力でより綺麗にし、どこからでも見られるようにし、世界中の人から「何て綺麗で便利なんだろう」と感動してもらえるものを作り続けていきたいです。

起業するにあたって重要なことは、自分が何を最もやりたいのかを明確にすることです。私にとってそれは「イメージング・テクノロジー」でした。

単に言われたことをこなすだけでなく、自分がやりたいことを責任と情熱を持って推進し続けてください。

ベンチャーキャピタルの声

株式会社 東京大学エッジキャピタル 代表取締役社長 郷治 友孝
株式会社 東京大学エッジキャピタル
代表取締役社長

郷治 友孝
同社に投資をするに至った判断のポイント

複数画像から中間画像を生成する当社独自技術を応用する分野として事業計画において、2000年代半ばから急速に解像度が上がっていた携帯電話の画像処理をターゲットにした事。

また、平賀社長はじめ技術者中心で構成されていた創業メンバーが、市場性を重視した開発に取り組む柔軟性と能力を有していたこと等を評価し、投資に至った。

VCの視点からみた同社の成功要因

中間画像を生成する当社独自技術を活かしてIPOまで辿り着くことができた要因としては、技術力の高さに加えて、(1)応用分野として選定した携帯電話の画像処理分野の市場規模が2000年代半ばから急拡大した事。(2)商品開発及び事業開発を担う経営幹部に有能な業界経験者を迎えることができたこと等が挙げられるだろう。

2011年度取材事例
掲載日:2012年1月23日

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