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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−創業期編−

株式会社スリー・ディー・マトリックス

自己組織化ペプチド技術をコアとした医療機器の開発

代表取締役会長 永野 惠嗣
代表者:代表取締役会長 永野 惠嗣
事業内容:医療製品事業
本社所在地:東京都千代田区麹町3-2-4 麹町HFビル6F
URL:http://www.3d-matrix.co.jp/
設立年:2004年
資本金(2011年4月末現在):13億59百万円
売上高(2011年4月末現在):158百万円
従業員数(2011年4月末現在):25人(役員・監査役含む)
ファンド事業:がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):JAIC-中小企業グローバル支援投資事業有限責任組合(日本アジア投資株式会社)

事業概要

MITより取得した自己組織化ペプチド技術を基盤技術とした医療機器の開発

当社の基盤技術である自己組織化ペプチドは、1992年に米国マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)のShuguang Zhang博士によって発見された技術である。

当社の自己組織化ペプチド技術には、大きく2つのプラットフォームがある。1つは、ある規則性を持つ繰り返し配列のペプチドを自己組織化させることで、細胞同士をつなぎ合わせる役割を果たすECM(細胞外基質)を形成できることである。2つめは、細胞膜を形成する脂質を模倣して設計したペプチドを自己組織化させることで、物質表面の物理的性質を変える界面活性作用をもたらすことである。

また、自己組織化ペプチド技術を用いた当社の製品は、完全に化学合成されたアミノ酸により製造しており、動物由来の物質を完全に排除できることから、C型肝炎ウイルス等の感染症リスクがなく、安全性の高い製品を作ることができる。

現在は、日米で100以上の医療機関、大学、研究機関等と自己組織化ペプチド技術を応用する共同研究を行っており、止血材をはじめとした外科領域以外にも、細胞培養の素材開発やドラッグデリバリー(標的とする患部等に薬物を効果的かつ集中的に送り込む技術)システム開発等、再生医療、細胞医療、創薬技術の分野で実用化を目指す技術の開発に取り組んでいる。

当社はこの技術の全世界での独占実施権を有しており、医療製品事業(医療製品開発・研究試薬販売・ライセンス)を柱としてグローバルな事業を展開している。

自己組織化ペプチド技術を基盤とした同社における事業領域

自己組織化ペプチド技術を基盤とした同社における事業領域

止血材製品の販売を開始予定

当社は、2009年7月、自己組織化ペプチド技術により開発した止血材製品TDM-621の国内独占販売権を扶桑薬品工業(株)に許諾する契約を締結した。また、同年4月、伊藤忠ケミカルフロンティア(株)(以下、ICF)と業務提携し、原料の調達及び製品の物流をICFに委託することとした。TDM-621は、2011年5月、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に製造販売承認申請を行い、2012年中には特定保険医療材料としての適用を受けて販売を開始することを目標に準備を進めている。

このTDM-621は、3種のアミノ酸からなるペプチドを原料とした透明な液体で、血液に触れると瞬時にハイドロゲルを形成する特性(自己組織化)によりゲル状化し、血管を物理的に塞いで止血を行うもので、外科手術全般への使用が対象となる。このペプチドは化学合成により製造することから、前段で述べたように感染症リスクがない。また、TDM-621はプレフィルドシリンジ製品(注射器に水溶液が充填されている)であることから使用が容易であり、使用後は体内で洗い流しが可能なこと、体内に残ったものもアミノ酸に分解されて速やかに体外に排出されること、透明で手術中の患部がよく見えること等、これまで止血材の使用が困難であった施術においても適用が広がり、医療従事者および患者のリスク・負担軽減が期待されているものである。

現在の外科用止血材の国内市場規模は約200億円程度と推計されている。TDM-621発売後は、本製品の安全性および特性を活かし、既存製品の置き換えに加え、内視鏡・腹腔鏡との併用など新規用途の開拓などにより、外科用止血材として確固たる製品ポジションを獲得することを目指している。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業半年でVC投資を実現

バイオベンチャー企業は、売上が立つようになるまでの期間が非常に長く、それまでにかかる研究開発費や運転資金が多額に上ることから、VCや事業会社など、あらゆる外部資本の取込が必要である。

このため、当社は、創業当時から様々なVCや事業会社、病院グループ等に積極的にアプローチし、創業から約半年で初めてのVC投資を受け入れることができた。この時に投資を決断してくれたのは、中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運営する日本アジア投資(株)(以下、JAIC)の100%子会社で、バイオベンチャー企業を中心に投資を行うVCであった。

創業から間もない頃に出資してくれたVCや企業、病院グループ、個人は、バイオ関連事業に関する知見が深く、事業のリスクを正当に評価し、当社事業の可能性を高く評価してくれた企業や個人ばかりである。

継続的にVC等から資金調達

初回の投資受入後も複数回に渡り、VCや事業会社、病院等から資金を調達してきた。現在、投資を受けているVCは9社にまで増加している。

創業間もない頃には、リスクを敬遠してVCから投資資金を得ることは難しかったが、最近は、既存VCからの紹介だけでなく、当社事業の評判を聞いたVCなどから問い合わせを受けることもあり、資金調達環境は良好である。

VC等を活用した事業の拡大と成長

増資ラウンドにおける追加投資実行や他VCの紹介

当社は複数回にわたり増資を行っており、投資を受けているVCに対して、増資の際には追加投資の検討や他のVCの紹介をお願いしている。実際に追加投資や他のVCの紹介を受けるなど投資実現に至ったケースもあった。

JAICからの投資による呼び水効果

JAICは日本のVCの中でも歴史が長く、投資実績が豊富で、なおかつ社会的な認知度や評価が高いことから、JAICからの投資を受けられたことは、当社の信用力の向上に寄与している。JAICが注力して投資しているベンチャー企業(以下、VB)であることで、他のVCからの投資を受けられている側面も大きく、JAICからの投資受入による“呼び水効果”は大きい。

提携先紹介やIPO支援への期待

投資を受けているVCからは、製薬企業等、事業・研究の提携先の紹介を受けている。まだ提携の実現に至ったことはないが、様々な研究を行い、事業の範囲を拡げていくためにも、今後も継続的に様々な企業の紹介を受けられることを期待している。

また、IPOに向けてVCに依存するつもりはないが、主幹事証券会社との調整や資本政策、ロックアップ等、VCの協力がなければできないことが多数ある。IPOのための準備においても、VCからの前向きな協力を期待している。

今後の展望

止血材の承認を得ることが第一目標。その後、幅広い事業のグローバル展開を目指す

目下、止血材製品TDM-621の厚生労働省からの承認に向けた準備に注力しており、既に販売等の事業提携も決定していることから、確実に来年中にTDM-621を上市させることが第一の目標となる。

その後は、TDM-621に関連する適用拡大の一環として、外科領域での粘膜隆起材・血管塞栓材や再生医療領域での歯槽骨再建材の開発、ドラッグデリバリーシステムの開発など血管・骨を中心とした再生医療等、様々な分野へ拡大し、それらをグローバル展開していきたい。

VCからの協力を得て、IPOを目指す

ベンチャー企業がIPOを目指すうえでは、VCからの支援は不可欠であり、当社もIPOに向けての準備はVCの協力を得て進めることが必要になる。

その観点からも、VCを選択するということはVBの立場として困難ではあるが、投資を受ける際には、(1)長くつきあって行きたいと感じられること、(2)社会的な信用が高いこと、(3)当該VCから投資を受けることで事業にプラスになると考えられることを念頭においておくことが重要である。

ベンチャーキャピタルの声

株式会社スリー・ディー・マトリックスの事業の魅力

同社の事業や保有技術もさることながら、本ビジネスを行うに相応しい経験を有する経営陣であることを何より評価して、投資しました。投資後も、国内のみならずグローバル展開を加速しており、ファンドのコンセプトに合致した期待を持っている企業です。

(日本アジア投資株式会社)

2010年度取材事例
掲載日:2011年6月 8日

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