本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−創業期編−

アップサイド株式会社

直感的な操作性を実現するヒューマン・インターフェース・デバイスの開発

代表取締役社長 谷口 伸光
代表者:代表取締役社長 谷口 伸光
事業内容:ヒューマン・インターフェース・デバイスの開発・販売
本社所在地:東京都中央区日本橋本町4-10-7 トミヤマビル4F
URL:http://www.appside.com/
設立年:2004年
資本金(2011年2月現在):273.35百万円
売上高:
従業員数(2011年2月現在):15人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):イノーヴァ1号投資事業有限責任組合(アント・キャピタル・パートナーズ株式会社)

事業概要

直感的な操作を実現するヒューマン・インターフェース・デバイスの開発

当社は、独自のセンサー、IC、ソフトウェアを組み合わせた「VectorPad」というヒューマン・インターフェース・デバイス(HID)の開発を主な事業としている。「VectorPad」は圧力を検知するセンサーが使われ、ゲームのコントローラーとして用いられるジョイスティック機能、携帯音楽プレイヤー等に利用されることの多いジョグホイール機能、PCで使用されるマウス機能といった直感的な操作を一つデバイスで実現することが可能である。「VectorPad」は、すでにシャープ(株)やLGエレクトロニクス・ジャパン(株)製の携帯電話端末の入力装置として採用されている。また、「OZUPAD」という空中でも使える3Dマウスに採用され、ユニークな商品としてメディアにも取り上げられるなど注目されている。

「VectorPAD」の特徴は、非常に小型・薄型であり、消費電力が極めて小さく、デザインの自由度が高いため、様々な製品のニーズに対応することができる点があげられる。

当社が主な市場と考えている小型電子機器の市場は国内では飽和しているが、世界的にみれば拡大しており、成長が期待できる分野である。今後、世界での小型電子機器の普及に伴って直感的な入力デバイスへのニーズは高まるだろう。例えば、すでに当社が参入している携帯電話やPCだけではなくデジタルカメラ、メディアプレイヤー、カーナビゲーションシステムなど用途は幅広く、「VectorPad」の市場は大きく成長できる可能性を秘めている。

当社が独自開発したIC、センサーモジュール

当社が独自開発したIC、センサーモジュール

センサー、IC、ソフトウェアを統合させた独自技術を強みに事業を展開

当社の「VectorPad」が世界的な大企業との取引に至ったのは、高い独自技術を持っているためである。HIDを開発するうえで欠かせない要素がセンサー、IC、ソフトウェアの3つであり、質の高いHIDを開発するにはこれら3つの要素全てにおいて高い技術レベルを有することが不可欠である。大手センサーメーカーであってもセンサー技術は有していても、ICやソフトウェアには弱いなど、3つの要素技術を同時に高いレベルで実現できる企業は世界でも数社しかない。当社は、これら3つの要素技術全てを独自に開発し特許も取得している。このことが当社の高い競争力の源泉となっている。

当社では独自性の高い技術を用いてICを製造し、センサーの製造をライセンシーである大手センサーメーカーなどへ移管し、モジュール化して販売するビジネスモデルで事業を展開している。そのためベンチャー企業でありながら大手メーカーの製品部品としての採用が実現している。

創業からVCに出会うまでの経緯

公的インキュベーション施設へ入居、VCからの資金調達

当社は2003年に谷口社長の個人事業として、東京都の公的インキュベーション施設「ベンチャーSUMIDA」において創業した。創業当時は携帯電話でインターネットに接続することは考えられない時代であったが、必ず携帯電話でインターネットに接続するような時代になり、高機能のHIDが求められるようになると考えた。東京都のインキュベーション施設は都が持つ遊休施設をベンチャー企業に格安でオフィスとして貸し出す事業であり、入居にあたっては高い倍率の審査を勝ち抜く必要があったが、当社の技術が評価され入居審査に合格することができた。

入居審査は東京都から、あるVCに委託されており、入居審査が当社とVCの初めての接点となった。入居審査で当該VCが当社に興味を持ってくれ、その後継続的にVCと接触するようになった。そして2005年にICの開発、製造を行うための資金調達の必要性が高まり、当該VCから出資を受けることとなった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

VCからのアドバイスを受けてビジネスモデルを転換し、事業が拡大

VCからの出資や東京都からのベンチャー企業向け研究開発の助成金制度を活用し、研究開発を行なっていたが、さらなる資金調達の必要性に迫られ、2006年には様々なVCに声をかけ2回目の資金調達を行った。この資金調達によって製品開発が大きく進展し、見本市への出展が実現するなど大きな成果があった。この見本市では大手携帯電話メーカーからの引き合いがあるなど高い評価を得ることに成功したが、この大企業とは実際に取引するに至らなかった。その原因は当社のビジネスモデルにあった。当時の当社は製品の開発、製造、販売など全てを行なうビジネスモデルで事業を展開していたが、大企業の視点でみると製品のコアとなるモジュールをベンチャー企業からの供給に頼ることは、信用や製品の供給力などあらゆる面でリスクが高すぎたためである。

そこで当社は、VCやVCから紹介を受けたコンサルティング会社などの支援を得て、ビジネスモデルの転換を図ることにした。それまでは、全てのビジネスプロセスを自社で行なっていたが、技術の一部を大手センサーメーカーなどにライセンシングし、製品の供給力を高める事で信用力を高める現在のビジネスモデルへの転換を図ったのである。

VCによる経営支援、人材紹介等を受けて事業を拡大

ビジネスモデルを転換してから、中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運営するアント・キャピタル・パートナーズ(株)(以下、アント・キャピタル)から出資を受けた。現在、アント・キャピタルを含めて7社のVCから出資を受けているが、現在の当社のリードインベスターはアント・キャピタルだと言える。

アント・キャピタルをはじめ、VCからの出資を受けた最も大きなメリットはVC資金を活用して研究開発が進んだことだが、それ以外にも様々な支援を受けている。例えば、現在はアント・キャピタルを含めて2社のVCから取締役の派遣を受けている。取締役に就任しているVCには毎月開催している取締役会だけではなく、経営戦略会議にも参加してもらっている。取締役会では主に財務や会社のガバナンスについて議論しているが、経営戦略会議では技術、研究開発戦略、営業、マーケティング戦略などを立案している。当社は創業者をはじめエンジニアが中心となって設立した会社であり、VCから投資を受けた当初は、財務関連や事業計画などについて、社長自らが行っており、手薄になりがちであったため、技術以外の支援も非常に助かった経緯がある。

その他、技術系、管理系問わず、VCから人材紹介支援も受けている。また、有望顧客やライセンス先などの紹介を受けるなど、VCからの支援によって事業領域がスピーディに拡大している。

今後の展望

「VectorPad」の世界展開、事業領域の拡大でIPOを目指す

当社の今後の事業戦略は「VectorPad」の世界展開と事業領域の拡大を行うことである。現在、日本の携帯電話端末に採用実績がある「VectorPad」を世界の成長市場、特に中国、東南アジア、インドなどのアジア市場へ展開させていきたいと考えている。そのため、当社は2011年に台湾オフィスを開設し、本格的に中国市場での展開を開始している。現在はアジアでの展開に注力しているがアジアに限らず世界中の携帯電話に当社のHIDを搭載させることを当社の目標に掲げている。

世界的に急速な需要拡大がみられるスマートフォンやタブレットPCは、先進的なユーザーインターフェース、ゲーム、3Dといったキーワードのもと日々進化を続けている。「VectorPAD」を搭載することで、それらのキーワードを充足させることができるため、各メーカーからの注目度は高い。

他にも携帯電話で培った技術を他の事業領域に展開していきたいと考えている。他事業への展開としては、TVのリモコンなどが考えられる。最近ではGoogleのAndroidが搭載されたTVが話題になっているが、TVの高機能化やネットワーク化によって直感的な高機能HIDのニーズは高まっている。また、自動車のナビゲーションシステムやデジタルカメラへの展開も実現性の高い分野である。これらの事業を世界的に展開していき、3年後を目標にIPOを行いたいと考えている。

VCとの距離感を見極めてパートナーを選ぶ

VCからの出資を受ける際に注意することはそれぞれのVCの距離感やスタンスの違いを明確に見極めることである。VCには投資や支援のあり方について温度差があると実感しており、自社がどの様なスタンスのVCを求めているのか、またパートナーとなるVCがどのようなスタンスで投資を行おうとしているのか、投資を受ける前から立場を明確にした上で、相互理解がなければVCと良好な関係を築くことはできない。

また、投資を受けたVCとはしっかりとしたコミュニケーションをとり、信頼関係を作っていくことが重要である。当社では出資を受けたVCは単なる投資家を超えて会社経営の一員だと考えているため、例え経営上の問題が起こった時もいち早く報告し、解決策を共に考えられる信頼関係を構築している。

ベンチャーキャピタルの声

アップサイド株式会社の事業の魅力

同社は、独自開発したセンサー構造で特許を取得しており、センサー・IC・ソフトウェアを一貫して顧客に提供できる点を強みとしています。今後は、スマートフォンやインターネットテレビ等の普及により、当分野でグローバルに活躍できるポテンシャルを有している日本発のベンチャー企業として期待をしています。

(アント・キャピタル・パートナーズ株式会社)

2010年度取材事例
掲載日:2011年5月20日

前の記事次の記事



このページの先頭へ