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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社エスクリ

流行に左右されずに継続的に好業績を上げ続けるブライダルビジネスを実現

事業内容:挙式・披露宴の企画・運営を行うブライダル事業
本社所在地:東京都港区南青山3-2-5 南青山シティビル2F
URL:http://www.escrit.jp/ 設立年:2003年
株式公開年:2010年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):3百万円 資本金(2010年3月期):478百万円
売上高(設立年): 売上高(2010年3月期):5,243百万円
従業員数(設立年): 従業員数(2010年3月期):194人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):SBI・リアル・インキュベーション1号有限責任組合(SBIインベストメント株式会社)

事業概要

施設スタイルにこだわらない都市型ブライダルオペレーター

当社は、デザイン性を重視した直営施設において挙式・披露宴等の企画・運営を行うブライダル事業を主な事業としている。特に流行りのある施設(専門式場・ゲストハウス・ホテル・レストラン)による集客優位性には限界があると認識しており、施設スタイルで勝負するのではなく、後述する「独自の出店戦略」と「施設運営の仕組み化・見える化」による都市型ブライダルオペレーターとして、新しいブライダルビジネスを構築している。

独自の出店戦略に基づくスピーディな出店

当社は、(1)東京23区及び政令指定都市への出店(新幹線停車駅がある人口30万人以上の都市を優先出店)、(2)認知度が高くアクセスが良い立地、(3)多様な出店施設スタイル戦略、(4)賃貸借による出店の4つの原則をもとに出店を行っている。邸宅風結婚式場(ゲストハウス)は、10数年前から人気を高めているが、こうしたハード(施設)に頼った出店では、初期投資もかさみ、また消費者のニーズの変化に素早く対応することは出来ない。そこで当社では、ゲストハウス、レストラン、専門式場、ホテル等の多様な施設にて事業を展開させている。

<多様な施設スタイルでの出店>

<多様な施設スタイルでの出店>

結婚情報誌「ゼクシィ((株)リクルート発行)」によると、挙式・披露宴を行うカップルの会場を訪問する際に重視する点は、「交通の便」、「場所・地域」が上位を占め、立地・アクセスの重要度が高まっている。当社では、このようなニーズを更に深堀した結果、JR東京駅から数分のオフィスビルの中に、2フロアーのパーティ会場(「ラグナヴェールTOKYO」)を出店させた。駅近のビルインタイプの出店は業界でも珍しく、今後、名古屋・大阪等の大都市でも出店する予定である。

こうした出店のポートフォリオ戦略は、ブームやトレンド等に左右されないリスク分散化を実現させたものであるが、サービスの質で勝負する当社の業務レベル(接客レベル)の高さを担保する仕組みに裏打ちされたものでもある。

施設運営の仕組み化・見える化

施設運営の仕組み化・見える化の取組の1つして、業務の内製化がある。一般的なブライダル事業においては、衣装、装花、美容、写真・映像等については外部の事業者が入ることが多く、担当者も変わることから、サービスにばらつきが出やすい。せっかく優秀なプランナーによって全体像を描けたとしても、結果として顧客満足度が低下することもある。こうした事態を避けるため、当社は衣装、装花、美容の内製化を進めている。内製化は、在庫など固定費増のリスクもあるが、挙式・披露宴までのプロセスにおいて直接当社の従業員が接することにより、顧客の細かなこだわりにも対応することが出来、顧客満足度を向上させ、客単価を上げている。

施設運営の仕組み化・見える化の取組のもう1つは、SPMシステム(営業支援システム)とそれに基づく教育研修による接客力及び人材力の向上である。

営業支援システムには、各店舗の顧客データ・売上データをタイムリーに把握し、即座の経営判断を行う機能とハイパフォーマンスを実現させているウェディングプランナーの接客プロセスが入力・分析され、他のプランナーがそのノウハウを共有できる機能がある。

当社のウェディングプランナーは、どのような時間配分でどのような仕事をしたか(お客様へ接したか)を、入力することにより、自身の課題を明確化させ、研修等の目的意識を高めている。その結果、45%を超える高い成約率の実現と若手プランナーの早期戦力化に成功している。なお、こうしたノウハウの共有や若手社員の育成を通じてチームプレーに貢献する従業員には、より高い評価と処遇を与えるような環境作りを行っている。

<内製化事業の展開>

<内製化事業の展開>

創業からVCに出会うまでの経緯

全国500ヶ所以上の式場訪問により、明確なビジネスモデルを構築

代表取締役の岩本氏は、飲料メーカーの営業マンを経て、(株)リクルートに入社し、結婚情報誌「ゼクシー」の創刊から営業責任者として関わった。「ゼクシー」は、その後発行エリアを拡大し、岩本氏は全国各地での創刊のプロジェクトリーダーとして、10年間、500ヶ所以上の式場・披露宴会場を訪問した。

このような経験の中で、業績が好調・不調のブライダルビジネスの違いなど肌で感じ、施設・スタイルなどの流行に左右されずに長期的に成功するブライダルビジネスを立ち上げようと、2003年当社を設立した。当初は、開業コスト、広告費用の確保等に奔走する一方で、結婚式場のコンサルティングや研修事業などで当座を凌いだ。

ブライダル産業は、会場の新規開設費用など一般に装置産業に近く、当社の初期投資を抑えたビジネスモデルであっても、多額の資金を必要とする。銀行からの融資以外に、VCからの資金調達は必然のことであった。幸い、多くのVCに当社のビジネスモデルに関心を持って頂き、知人や銀行等からの紹介を通じて、10数社のVCからの投資を受けるに至った。

VC等を活用した事業の拡大と成長

新規店の開業コストの確保が実現

VCからの投資は、創業当初の2003年6月に、あるVCから5百万円投資を受けたのを皮切りに、IPOまで総額で約582百万円の投資を受けた。

当社のビジネスモデルでは、本店が所在する東京以外でも大都市圏への利便性のよい立地に新規店を出店するため、現地の準備コスト(事務所経費、広告・宣伝費、人件費等)を要することになる。このようなコストは、通常開店の半年前から必要となり、また新規店の売上が立つ前の資金需要であることから、銀行からの融資では困難であることが多い。

こうした課題に対して、10数社のVCには当社のビジネスモデルの成長性、将来性について評価を頂き、場合によっては、新規出店にあたり1億円程度のコストがかかる場合でも、投資を受けることが出来た。その結果、当社では前述した出店戦略に基づき、年間2~3店舗のペースで順調に出店を実現できた。

上場に至るまでのきめ細かい支援

(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資する「SBI・リアル・インキュベーション1号有限責任組合」を運営するSBIインベストメント(株)から投資を受けたのは、2009年3月であった。株式公開を具体的に視野に入れていた準備期間であり、幹事証券会社からの紹介がきっかけであった。

同社からは、事業展開に関する定期的な助言に留まらず、株式公開に向けた内部管理部門の整備、具体的な関連資料に至るまできめ細かいアドバイスを頂いた。ベンチャー企業にとって、株式公開までの道程は孤独で、「先の見えないトンネル」のようなものであるが、同社はそのような時期に最も緊密に支援してくれたVCであった。企業経営者のなかには、VCとの付き合いに対して懸念を頂く経営者も少なくないが、当社の事業成長にとって、VCと一体となることは必然のことであったと考えている。

IPOによる経営効果と今後の展望

上場の3つの目的を実現

当社は、2010年3月、東証マザーズに上場した。当初より上場の目的として、(1)当社の高質なサービスを担保する優秀な人材の確保、(2)事業拡大による資金調達の多様化、(3)経営理念の実現を掲げていたが、概ね3つの目的を達成することが出来た。

応募者の質が向上

特に、上場後の人材確保については、顕著な効果を実感している。新卒者を始めとした応募者の母集団の質が格段に向上した。例えば、ブライダル業界に興味がある者のほか、当社で「これまでの業界には無い新しいことにチャレンジしたい」というマインドに富む応募者も増えた。直近では、当社の採用窓口へのエントリー者が6,000人を超えるなど、想像以上の反響を呼んでいる。

経営理念については、その1つに「従業員の社会的成功、経済的成功」を掲げており、上場は社内の士気向上に大きく寄与している。

成長著しいアジア進出を狙う

今後の展望として、国内ではさらに内製化を進め、顧客の単価水準を維持しながら、平成24年3月までに、東京・名古屋・大阪で9バンケットの出店を実現させていく予定である。

さらに、やがては縮小基調を迎える国内のブライダルマーケットに対応するため、成長著しい中国・ベトナム・韓国・タイなどでの事業展開を視野に入れ、緻密なマーケティングを実施していく。特に、中国沿岸部の富裕層向けのマーケットは有望であると認識しており、既に調査を進めている挙式・披露宴の地域特性を踏まえて、現地の文化に対応したビジネスモデルを慎重に模索していきたいと考えている。

代表者プロフィール

代表取締役 岩本 博
代表取締役
岩本 博

1989年4月、サントリー株式会社入社。1991年5月、株式会社リクルート入社。1994年1月、同社ブライダル情報誌「ゼクシィ」創刊プロジェクト参画し、「ゼクシィ」の立ち上げに携わる。その後10年間、営業責任者として全国ゼクシィ地方版の立ち上げ、ホテルや式場のコンサルティングを行う。2003年6月、リクルート退社。株式会社エスクリ設立、代表取締役社長に就任。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

晩婚化や未婚化の影響もあり、ブライダル市場は今後急成長を見込める市場ではありませんが、市場に変革を起こし、成長機会を見出すことによりシェアNo.1を獲得することを目指しています。

人口減少など悲観論が目立つ日本経済であっても、まだまだ成長機会はあるはずです。起業を目指す方々もマクロ的視点にとらわれすぎず、目標に向かい邁進してください。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

着実に業績拡大を果たしてきた実績に加え、利益率改善に向けてドレス内製化等の施策を推進する等、岩本社長を中心とする経営陣の手腕を高く評価しました。計画を上回る収益達成の可能性も高く、将来性についても新規施設の開設により確実な収益成長が期待できると判断し、投資に至りました。

VCの視点からみた同社の成功要因

(1)ホテル、(2)レストラン、(3)専門式場、(4)ゲストハウスの4業態全ての運営を行うなどハード面で流行に左右されない事業展開を行うと同時に、ウェディングプランナー育成に注力する等ソフト面の強化を継続的に行い、また、施設を基本的に賃借とすることで投資回収を早めて次の出店につなげてきたことが、不況の中でも着実な収益成長を実現できた成功要因と考えます。
(SBIインベストメント(株)営業企画第二部長 竹崎 泰史)

2010年度取材事例
掲載日:2011年1月31日

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