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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社パピレス

日本初・日本最大級のオンライン電子書籍配信サービス事業を展開

事業内容:電子書籍販売(PC・携帯電話)、電子書籍取次販売
本社所在地:東京都豊島区東池袋3-23-14 ダイハツ・ニッセイ池袋ビル7階
URL:http://www.papy.co.jp/ 設立年:1995年
株式公開年:2010年 市場名:大証JASDAQ
資本金(設立年):20百万円 資本金(2010年3月期):311百万円
売上高(設立年):2百万円 売上高(2010年3月期):3,753百万円
従業員数(設立年):6名 従業員数(2010年3月期):33名
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ヴィシー・クラブ・エス・エス・エム投資事業有限責任組合(齋藤篤、宮鍋健樹)

事業概要

富士通の社外ベンチャー制度を利用して創業

1995年3月、PC通信を有効活用したコミュニケーションシステムの開発を目的に、富士通(株)の社外ベンチャー制度(社員の起業を支援する制度)を利用して、ネットワークによる電子書籍販売を事業とする(株)フジオンラインシステムを、天谷代表取締役社長が設立した。同年11月には、PC通信で配信する「電子書店パピレス」を開設し、電子書籍販売を開始した。創業当時はPC通信の時代であり、配信できる情報が文字情報に限定されていたことから、小説や実用書の電子書籍事業を行っていた。
 2000年10月、社名を(株)パピレスに変更し、現在に至っている。

直営での電子書籍販売を軸とした事業展開

1995年に当社が開始した日本最古のオンライン電子書籍販売は、現在、国内主要出版社約500社から電子書籍を収集し、主に携帯電話、PCの情報端末利用者(ユーザ)に対し販売を行っている。
 販売方法も、購入した電子書籍を携帯電話やPCで何度も閲覧できる「ダウンロード方式」と、限られた期間において特別な閲覧ソフトをインストールすることなく手軽に読むことができる「レンタル方式」の2種類を採用しており、ダウンロード方式は「電子書店パピレス」、レンタル方式は「電子貸本Renta!」を中心に展開している。
 また、現在の販売の中心は携帯電話等を通じた直営での販売であり、NTT Docomo、au、Softbank、Willcom(PHS)に開設した公式サイトでの売上が、当社全体の売上高の8割以上を占める。

<パソコン向け配信サイトイメージ>

<パソコン向け配信サイトイメージ>

2010年12月1日現在の掲載冊数は201,565冊である。取扱ジャンルはコミック、小説・ノンフィクション、写真集、趣味・実用書、ビジネス等非常に幅広いが、販売の主体が携帯電話を通じた販売であるため、閲覧が容易である少女・恋愛コミック、恋愛小説等が主な販売コンテンツとなっている。

<携帯電話向けサイトと画面イメージ>

<携帯電話向けサイトと画面イメージ>

提携店における電子書籍販売

当社が開発した電子書籍販売支援システム「eBookBank」を、ポータルサイトや書店、出版社等のECサイト(以下、提携店)に提供し、委託販売を行っている。
 「eBookBank」は、コンテンツ収集・管理、売上管理、著作権料の支払代行、著作権保護機能、ダウンロード配信システム、店舗WEB表示システム、オンライン決済システムを、提携店のニーズに応じてカスタマイズして提供しており、2010年9月末現在で31社が導入している。

創業からVCに出会うまでの経緯

富士通からの出資を受け創業

95年3月、富士通(株)と天谷社長の折半出資により、当社を創業した。
 創業から97年頃までは、同業他社もない全くの新しい事業であったため、赤字が続き厳しい状況が続いたが、徐々に電子書籍が流通出版業界に浸透し、99年には黒字に転換し、事業が安定してきた。

事業の成長を目指してVC投資受入

99年頃からは、当社の事業状況を踏まえ、大手出版社や後発企業等が電子書籍事業に取り組み始めたこともあり、徐々に市場が拡大し、電子書籍が注目されるようになってきた。
 当社として、新規参入してくる企業との競争優位を維持し、更に事業を成長させるためには、借入ではなく、新たな資金調達を行うことの必要性を検討し始めた。
 富士通(株)と相談しながら、新たな資金調達手段としてVCからの投資受入を目指し、ある大手VC1社を紹介してもらった。その結果、当該大手VCから2000年1月に投資を受け、これが当社にとっての初めてのVCからの投資受入となった。
 創業間もない頃はIPOを目指していたわけではなかったが、事業拡大のための手段としてVCから資金調達を行ったことをきっかけに、IPOを意識するようになった。

追加でのVCからの資金調達

2001年3月に、2回目のVCからの投資を受け入れた。この時期は、ITバブル崩壊後であったため、大手VCをはじめとしてVC業界は投資に極めて慎重な姿勢であった。そこで、VC向けの会社説明会を開くことにし、資料などから様々なVCをリストアップし、会社説明会の案内をして、投資を検討してもらえるよう努力した。
 結果的に、会社説明会に参加してくれたVCのうち、5~6社から投資を受けることができた。投資の受入にあたっては、当社の事業を理解し、当社の成長を積極的に支援してくれるVCから資金調達を行うことを意識した。
 この2回目の投資のなかで、最大の投資をし、IPOに至るまで中心的な役割を果たしてくれたのが、中小企業基盤整備機構が出資するファンドを運用する齋藤氏、宮鍋氏であった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

投資後にVCからの支援を意識

当社には、もともとVCが資金調達以外に事業成長のための支援をしてくれるという意識がなかったため、投資受入時点では、事業の成長のために付随的な支援が受けられるとは考えていなかった。
 しかし、投資受入後にVCと接するなかで、事業成長のための様々な支援やアドバイスをしてくれる存在であると意識するに至った。

出資直後の経営指導

2001年に齋藤氏等から投資を受けた後から事業が安定するまでは、月1回程度の頻度で同社の投資担当者であった齋藤氏から、企業経営における全般的な支援・指導を受けた。特に、経営者として利益確保を第一優先に考えることが、市場における存在意義、当社事業の社会的な必要性につながると強く認識するようになった。

提携先や取引先の紹介

投資を受けたVCからは、取引先や提携先の候補となる企業の紹介を多数受けた。そのうちのいくつかの企業とは実際に取引に結びつき、現在も当社の事業推進に協力してもらっている。

事業計画のブラッシュアップ

投資後も事業が安定するまでは継続的に事業進捗を報告する機会を設け、VCに事業報告、事業計画の説明を行った。このような機会を通じて、事業計画の策定方法、計画の見直しのノウハウを身に付けることができた。これが、IPO時には取引所との審査に役立ったと考えている。
 具体的には、2001年頃から、VCを中心とした出資者向けの経営会議を月1回のペースで3~4年程度継続して行い、事業成果のレビューと戦略の設定の見直しというサイクルができていった。

IPOによる経営効果と今後の展望

首尾一貫した経営方針を貫き、IPOを達成

当社は、2010年6月、大証JASDAQにIPOした。当社がIPOに至った最大の成功要因は、創業目的であった「電子書籍」の開発、そして市場の拡大、及び市場でのシェアの獲得という方針が創業から一貫してブレなかったことと考えている。

資金調達手段の多様化のためにIPO

IPOで調達した資金は2億円弱、IPO後の資本金も4億円強と金額としては大きくないが、IPOの目的であった、市場からの資金調達ができたため満足している。

知名度や信用力の向上にも一定の成果

IPOによって、目に見えるものではないが、取引の引き合いが増えるなど、会社の知名度や社会的信用力が向上していると感じることが増えてきている。

電子書籍市場で、リーディングカンパニーであり続ける

当社は、創業時にはそれまで存在していなかった全く新しい「電子書籍」という市場を創るところからスタートした。今までも、常に新しいことに挑戦し、他社に先駆けて様々な商品・サービスを提供してきた。
 今後も、新しいことに挑戦し続け、ニーズのある商品をどんどん提供していき、拡大する電子書籍市場においてリーディングカンパニーであり続けられるよう、努力していきたい。
 そのためにも、今後とも、電子書籍を提供するための技術的なバックグラウンドの拡充、魅力的な商材の提供、効果的なプロモーション、リピート顧客の獲得のための工夫を惜しみなくしていく予定である。

代表者プロフィール

代表取締役社長 天谷 幹夫
代表取締役社長
天谷 幹夫

1974年3月、富士通(株)入社。89年4月、富士通研究所(株)主任研究員、92年4月、富士通(株)小型プリンタ開発課長を経て、95年3月、(株)フジオンラインシステム(現(株)パピレス)を設立、代表取締役社長就任。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

最近の出版関連の市場規模は縮小したといっても2兆円ほどあります。最近ようやく注目されるようになった電子書籍市場は、そのうちの650億円と4%程度です。当社としても、電子書籍市場をもっと拡大していけるように、今後とも様々な商品を作っていき、新しい電子書籍市場を創造・拡大し、その中でリーディングカンパニーであり続けたいと考えています。

これから起業を目指す方は、目指す事業の方向性を見失うことなく、がんばっていただきたい。資金調達にあたっては、経営者として想定外の出来事に備えて、様々な調達手段を確保しておくことは重要ですが、必要以上に資金を調達し、本来目指す事業を見失うということがないように注意を払うことも大切だと思います。

ベンチャーキャピタルの声

エス・アイ・ピー(株) ファウンダー 取締役会長 齋藤 篤
エス・アイ・ピー(株)
ファウンダー
取締役会長

齋藤 篤
同社に投資をするに至った判断のポイント

「本」とは「紙に印刷したもの」という概念であった。それを「パソコンに文字及び映像で映るもの」という新発想で捉え直したことは、「新技術による新商品」で将来世界中に大きな市場を開拓する可能性のあるものというベンチャービジネスの定義にそのまま当てはまるものであった。利潤はイノベーションによって生まれるという経済学の理論に沿って考えると、このビジネスは「紙が要らない、印刷しなくてよい、言わば製造原価が安価、儲かるビジネス」ということになる。もし、利益が出ないならば、経営がうまくいっていないことになる。当社においては、スタートアップ企業であるが、新たな市場を開拓する可能性をもつ技術を保有していたことから、VCのハンズオンによる育成・指導を受け入れるならば、成功するはずと考え、投資を決断した。

VCの視点からみた同社の成功要因

まず財務会計による月次決算と会計の専門家に作成したもらった決算書から、著作権等、作品の権利を全て出版社が握っていることが判明した。同社の従来のビジネスモデルから、著作権料の安い映像・マンガ、著作権のない作品の制作等を主力商品に置き、外国語商品の導入や携帯電話等新しい端末の開発を行うという、利益の得やすい新しいビジネスモデルに転換することにより、株式公開が出来た。少ない粗利で経営が成り立つシステムを確立させ、「eBook」の世界を作り出した同社のビジネスモデルは、今後50年のうちに、「電子書籍」が「紙の本」の肩代りすることにより急成長を遂げるであろう。

2010年度取材事例
掲載日:2010年12月20日

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