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HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

アニコム ホールディングス株式会社

ペット保険シェアNo.1、ペット保険事業を柱に無限の新しい価値を創造

事業内容:ペット保険の募集・引受、動物病院支援事業等
本社所在地:東京都新宿区下落合1-5-22
URL:http://www.anicom.co.jp/ 設立年:2000年
株式公開年:2010年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):41百万円 資本金(2010年3月期、連結):4,157百万円
売上高(設立年)*1.5百万円 経常収益(2010年3月期、連結)*9,215百万円
従業員数(設立年):3人 従業員数(2010年3月期、連結):214人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ウィル投資事業有限責任組合(ウィル キャピタル マネジメント株式会社、エルエス・デザイン・インベストメンツ株式会社)

* 2007年12月に保険持株会社となったことにより、以降は「売上高」を「経常収益」として記載することとなった。

事業概要

任意共済としてスタート

2000年4月、動物福祉の向上を目指し、動物愛護に努めると共に、人間とのより良い共生関係の構築に努めることを理念として、動物の病気・ケガに要した治療費の一部を補償する任意共済「anicomどうぶつ健康保障共済制度(以下、どうぶつ健保)」を営む「anicom(動物健康推進クラブ)」を、小森現当社社長を中心に3名で創業した。同年7月、当社は「anicom(動物健康推進クラブ)」から、どうぶつ健保の保険事務を受託することを目的として、(株)ビーエスピーとして設立され、社名変更や組織再編を経て現在に至っている。

保険会社へ移行

2006年6月の改正保険業法施行をにらみ、同年1月には、保険会社設立準備100%子会社であるアニコム インシュアランス プランニング(株)を設立して、ペット保険事業に係る営業基盤を当社より移譲した。そして、2007年12月、金融庁よりペット保険専業としては初めて損保免許を同社が取得したのにあわせ、同社をアニコム損害保険(株)に商号変更、当社は現社名に社名変更し、保険持株会社となった。
 なお、2008年3月末のanicom(動物健康推進クラブ)における新規募集の停止に合わせ、2008年1月よりアニコム損害保険(株)が同クラブからの切替契約を引き受けると共に、新規契約を獲得して事業を展開している。このほか、事務業務の受託や生命保険募集・損害保険代理業を行うアニコム フロンティア(株)、動物病院支援事業を行うアニコム パフェ(株)が当社子会社として活動している。

充実した補償・サービスを提供

当社の主たるペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は、犬・猫・うさぎ・フェレット・鳥の5種を対象に、病気やケガによる入・通院を1日あたりの支払い限度額を上限に、日数の制限なく補償するものであり、診療費の支払割合別に90%、70%、50%の3通りのプランがある。
 また、噛みついたり引っかいたりすることで他人に身体障害や財物損壊の被害を与えた場合の損害賠償を補償する「ペット賠償責任特約」や2頭目以降に摘要される「多頭割引」、2年度目以降に摘要される「継続割引」などの特約・割引制度も充実している。さらには、契約者であれば無料で獣医やアニコムカウンセラーにしつけや健康に関する相談ができるサービスや迷子捜索サポートサービスなど、附帯サービスも充実している。

<「どうぶつ健保ふぁみりぃ」の補償内容>

<「どうぶつ健保ふぁみりぃ」の補償内容>

画期的な保険金支払の仕組みを導入、ペット保険市場で大きなシェアを獲得

当社のペット保険は、全国すべての動物病院での診療費が対象であり、特に当社のペット保険対応病院(2010年9月末現在4,720病院)での診療費については、窓口で「どうぶつ健康保険証」を提示し、当日、契約者負担分(10%・30%・50%)のみを窓口で精算するだけで保険金の請求が完了する。このような支払の仕組みは当社が始めて導入した支払システムであり、極めて有力な競争優位性となっている。なお、一般家庭が飼うペットを対象にするような動物病院は全国約7,000~8,000病院と推定されることから、7割近い病院が当社の保険に対応しているといえる。
 当然ながら、本支払システムの普及には動物病院の協力が必要である。その点、当社の保険では、対応病院から月に一度レセプトベースでの請求を受け、病院に一括で支払うことになっており、病院の業務効率化にも配慮している。グループ会社のアニコム パフェ(株)が開発・販売する動物病院用顧客管理ソフト「アニコムレセプター」を利用すると簡単に保険金支払を請求できるようになっており、保険を広める前にまずはソフトの利用を広めることに注力した。患者側の利便性だけでなく、動物病院側の負担の軽減、利便性にも配慮したことが、2010年9月末現在の保険契約件数314,198件、マーケットシェア7割弱と、当社が業界No.1のシェアを握った大きな要因であるといえる。

創業からVCに出会うまでの経緯

創業7ヵ月でVC投資受入

2000年7月に創業した際には、創業メンバー3名の自己資金を中心に4,100万円の資本金でスタートした。しかし、同年11月頃には資金繰りに窮するようになった。
 知り合いの保険代理店の方に会社の相談をしたところ、ウィル キャピタル マネジメント(株)(以下、WCM)の古我社長を紹介された。
 WCMは、当社の根底にある「ペットは家族の一員です」という考え方を理解し、会社としての実績がない段階にも関わらず、2001年2月、創業7ヵ月の当社に5,000万円の投資をしてもらい、当社は事業を継続することができた。

ウィルからの複数回にわたる投資

WCMからは、初回の投資だけでなく、2003年及び2005年にも投資を受け、創業時からの投資・支援という意味においてWCMが当社にとってのまさに"リードインベスター"であったといえる。投資を受けたファンドも、中小企業基盤整備機構が出資する「ウィル投資事業有限責任組合」だけでなく、他のファンドやWCM本体からも投資を受けた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

20社を超えるVCからの投資受入

保険会社として、金融庁の認可を得るためには資本金を厚くする必要があり、当社から、WCMだけでなく、様々なVCにアプローチをして、資本増強に努めてきた。
 会社設立当初は、WCM以外のVC等からの投資を受けることはできなかったが、保険業免許取得及びIPOに向けて資金調達の努力を継続し、2005年以降は多くのVCから投資を受けられるようになり、上場までに20社を超えるVCからの投資を受け入れた。その結果が、ペット保険専業として初の損保免許取得に結びついており、投資してくれたすべてのVCに感謝している。

社外取締役として経営をサポート

WCMの古我社長には、初回の投資後から2008年までの間は社外取締役に就任してもらい、経営に関するあらゆる面でのアドバイスや営業支援をしていただいた。
 創業間もないころは深夜から朝まで及ぶような会議もあったが、そのような会議にも参加してもらい、時に社内のメンバーだけであれば見落としがちな点を、中立的な立場から助言してもらったことは非常に役立った。
 古我社長自身も事業経験があるため、「ペットは家族の一員です」という理念を踏み外すことなく、軸がぶれないようにアドバイスを受けたことは特に重要なポイントだったと感謝している。

後任の社外取締役の推薦

2008年に古我社長が当社の社外取締役を退任する際には、非常に信頼できる後任の社外取締役を紹介してもらい、安心できる環境を整えていただいた。

IPOによる経営効果と今後の展望

理念を忘れずにIPOを実現

当社は、2010年3月、東証マザーズに上場した。どのようなときもお客様の心を大切に、動物を大切に、という理念を忘れずにやってきたことが、当社が上場までこぎ着けた要因ではないかと考えている。

ペット保険の認知度を高めるために

当社は、上場前に資本金が67億円程度あったため、喫緊に資金が必要であったわけではないが、まだまだ社会での認知度が低い「ペット保険」という産業・市場を広め、社会の役に立ちたいということが上場した一番の狙いである。また、当社にとってIPOは「成人式」であり、「創業者の会社」から「社会の会社」になるきっかけとして捉えている。
 イギリスのペット保険の市場規模は約750億円とも言われているなか、日本の市場規模は約120億円とまだまだ小さいことから、今後ペット保険の認知度を高め、産業としての規模を拡大させていくのに寄与していきたい。

一般代理店の増加に寄与

当社は、上場する前に、保険対応動物病院やペット保険販売の中核となるペットショップ代理店とのネットワーク構築はほぼ整えていたため、上場による効果というのは限定的であるが、新規開業の動物病院やペットショップの多くが現在も新規に加盟して頂いている。
 一方、上場による効果として大きかったのは、それまでネットワークが薄かった、車のディーラー等の一般代理店との契約である。これらの一般代理店から、上場後には保険の取扱の依頼があるケースもでてきており、IPOの効果を実感している。

"予防"する保険を目指して

保険会社は、保険金支払いデータの分析を通じて、どのような年齢になるとどのような病気にかかりやすいかなど分析することができる。当社では、過去の保険金支払いデータを元に、2009年11月には、日本の家庭動物に関するデータ集として「家庭どうぶつ白書」を発行するなど、すでに統計等の公表を開始しているところであるが、「ケガをしない、病気にならない」ための情報提供を行うことで、ケガや病気を減らし、ペットやその飼い主はもちろん、すべての命の幸せを追求、笑顔を生み出す保険会社を目指して、グループを挙げてケガや病気の予防に取り組んでいきたい。

いずれは様々な保険分野へ

当社は現在のところ、ペット保険の商品開発、販売に注力し、通常の保険は一部の保険会社の代理店業務を行っているのみである。
 しかし、分野は未定であるが、将来的には火災や自動車などペット以外の保険分野に事業を拡大していき、あらゆる病気や事故の予防に役立つ企業を目指している。

代表者プロフィール

代表取締役社長 小森 伸昭
代表取締役社長
小森 伸昭

1992年4月、東京海上火災保険(株)(現東京海上日動火災保険(株))入社。2000年4月、anicom(動物健康推進クラブ)を設立し、理事長に就任。同年7月、(株)ビーエスピー(現アニコム ホールディングス(株))を設立、代表取締役社長に就任。平成16年12月にアニコム パフェ(株)、平成17年2月にアニコム フロンティア(株)を設立し、それぞれ代表取締役社長に就任。平成18年1月、アニコム インシュアランス プランニング(株)(現アニコム損害保険(株))代表取締役社長に就任(現任)。平成18年7月、アニコム パフェ(株)およびアニコム フロンティア(株)取締役に就任(現任)。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

今はペット保険に注力して、市場規模300~500億円程度の産業にしたいです。その後は、ペット以外の保険にも事業を拡大していくことだけでなく、ケガや病気を防ぐための情報提供も行うことで、社会貢献をしていきたいと考えています。これから創業する方は、自社の考え方を理解して投資してくれるVCや機関投資家など、良い株主を見つけることも大切です。

ベンチャーキャピタルの声

ウィル キャピタル マネジメント(株) 代表取締役 古我 知史
ウィル キャピタル マネジメント(株)
代表取締役

古我 知史
同社に投資をするに至った判断のポイント

なんといっても、小森社長と創業チームの志と想いと熱意を、敬愛し共感できたことです。合理的判断の視点としては、(1)成長市場のペットコミュニティ産業の資金還流の初の仕組みとなること(つまりコミュニティの全てのステークホルダーが受益者となるウィンウィンモデルである)、また、(2)日本初のビジネスモデルで、同社がフロントランナーのポジションを取り得ること(もちろん当該ビジネスモデルが既に海外では検証済みであることは必要要件)など、となります。
 弊社が日本社会のライフスタイルの変革に寄与する事業を、ビジネスインキュベーションの最優先対象としていたことから、投資の判断は極めて迅速であり、迷いはありませんでした。

VCの視点からみた同社の成功要因

損害保険業界の一員ではあるが、ペットコミュニティを帰属基盤としているニッチ・プレーヤーであること、日本の動物保険のパイオニアとして圧倒的に高い普及シェアを継続保持していること、などが挙げられます。前記の投資判断のポイントで既に述べた点が当然、成功要因となります。
 そもそも家族の一員であるペットは物的損害補填の対象ではなく、本来的に元気に一緒に長生きするための健康保険の対象である、との顧客視点の根源的認識を忘れず、こだわって、起業、事業発展に取り組んできたことが大切であったかと思います。雨後の竹の子の如く出現し撤退した他の動物保険(共済)の競合者たちが堅持できなかった哲学です。

2010年度取材事例
掲載日:2010年12月13日

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