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こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所

プロテインキナーゼ阻害剤開発技術を活かした新薬開発

事業内容:医薬品の創薬研究開発
本社所在地:愛知県名古屋市中区錦1-18-11 第18KTビル7階
URL:http://www.dwti.co.jp/ 設立年:1999年
株式公開年:2009年 市場名:JASDAQ NEO
資本金(設立年):5百万円 資本金(2009年12月期):1,279百万円
売上高(設立年):4百万円 売上高(2009年12月期):
従業員数(設立年):1人 従業員数(2009年12月期):19人
ファンド事業:がんばれ!中小企業ファンド
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):がんばれ東海1号投資事業有限責任組合(シンク・パートナーズ株式会社)

事業概要

研究開発所長日高弘義氏の研究成果をもとに起業

当社の日高弘義開発研究所長(デューク大学医学部客員教授・医学博士)は、名古屋大学等、大学において細胞内情報伝達に関する研究活動に従事するかたわらで、製薬会社との共同研究により、医薬品2種類の開発に携わった。その経験から、「診療よりも薬を創ることの方が、より多くの患者さんへお役に立てるのではないか」、「自分の会社でよい薬を創りたい」という想いを抱くようになり、1999年2月に有限会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所を設立した(2004年11月 株式会社に転換)。当社は、日高開発研究所長の30年以上に渡るプロテインキナーゼ阻害剤開発の研究活動及び創薬活動で獲得したノウハウと経験を基盤として、プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした低分子の合成系医薬品を開発している。

プロテインキナーゼは、細胞内において様々な情報伝達機能を担うことによって生体機能を司っている。これが働きすぎることによって癌をはじめ様々な疾患が引き起こされることが知られており、この働きを阻害する薬の開発は病気の治療において有益であるとされる。

技術と研究開発の特徴を活かした創薬活動

技術及び研究開発の特徴は4点挙げられる。
 1つ目は、プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした独自開発の化合物ライブラリーを有し、新薬候補化合物の開発を行っていること、2つ目は、当社が独自開発した特許技術「ドラッグ・ウエスタン法」を用いて、新薬候補化合物の標的タンパク質を同定していることである。同法は、一度に大量のタンパク質をスクリーニングすることで効率的に標的タンパク質を決定できる点に特徴があり、標的タンパク質を決定し、作用メカニズムを明らかにすることで、有効性と安全性を持つ新薬候補化合物の開発可能性を高めている。

3つ目は、日高開発研究所長の細胞内情報伝達の研究活動や創薬活動の経験やノウハウを駆使した研究・創薬活動を行っていること、4つ目は、当社科学顧問メンバーや国立大学法人三重大学との産学官連携講座による連携体制を構築するなど、社外の機能を効果的に利用し、経営資源を研究開発に集中している点である。

基礎研究に注力したビジネスモデル

当社は、医薬品の研究開発に経営資源を集中させ、非臨床試験に到達する前段階でライセンスアウトすることを原則としており、(1)ライセンスアウト時に受領する「フロントマネー収入」、(2)臨床開発進行にともない受領する「マイルストーン収入」、(3)製品上市後販売額の一定比率を受領する「ロイヤリティ収入」及び、(4)研究指導や臨床開発協力に対して受領する「研究指導収入」により収益を確保している。

基礎研究に特化し、非臨床試験前にライセンスアウトすることにより事業・開発リスクの低減を図りつつ、市場規模の大きい領域で継続的な新薬の開発を手がけるなど、低コストで効率的な事業運営を手がけている。

これまでにライセンスアウトしたパイプラインには、抗血小板剤・緑内障治療剤・抗癌剤の3つがあり、現在はプロテインキナーゼ阻害剤開発プロジェクト、その他阻害剤開発プロジェクトの2本のプロジェクトが進行している。

<開発パイプライン>

創業からVCに出会うまでの経緯

バイオVBの上場を目の当たりにしてIPOを意識

創業当時はIPOを意識していたわけではなかったが、2002年秋にアンジェスMG(株)が大学発バイオ・ベンチャービジネス(以下、VB)として初めてIPOしたのを皮切りに、複数のバイオVBが上場するのを目の当たりにして、IPOを目指すことを意識し始めた。

そこでまず、2004年11月に株式会社に転換し、2005年頃から徐々に人材を採用し、事業を拡大していった。また、経営面は信頼できる人に権限を委譲していくことで、日高氏自身は研究開発に集中できる環境を整えていった。

VC投資による資本の増強

IPOを目指すために資本の増強をすべく、2005年12月に初めてVCからの投資を受け入れた。その時は、知人等から複数のベンチャーキャピタル(以下、VC)の紹介を受け、結果的にVC5社から合計2億1,500万円の資金調達を行った。

その後も、2009年まで毎年増資を行い、最終的に20社程度のVCから投資を受け入れた。2回目以降の増資時には、既存のVCを中心に追加投資を依頼したが、年を追う毎に市況が悪化していったこともあり、追加投資に応じてもらえないVCも出てきた。このため、特に2007年以降は新たなVCとの関係を持つべく、当社からアプローチをかけたVCもあった。

(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資する「がんばれ東海1号投資事業有限責任組合」を運営するシンク・パートナーズ(株)から投資を受けたのも2007年12月の増資時である。同社の高村社長は、当社役員と旧知の仲であり、同ファンドも愛知県を中心とした東海地方の活性化を主眼に置き、公的機関である中小機構が出資しているファンドであるという安心感もあり、当社から依頼して投資の実現に至ったものである。本ファンドから投資を受けたことで、当社としても、公的な資金が入っていることもあり、責任と使命をもって事業運営をしようという意識が強まった。

VC等を活用した事業の拡大と成長

質の高い人材の紹介

バイオVBにとって、より高いレベルの研究・開発を進めるためには、質の高い人材の確保が非常に重要である。その点、シンク・パートナーズ(株)から名古屋大学等のネットワークを活用した人材の紹介をしてもらうなど、複数のVCから支援を受け、優秀な人材の確保を進めることができた。

このおかげで、役員を除けば現在でも19人という少ない人員、かつ短期間で、他社にはまねのできない成果を出すことが可能になったといえる。

増資時のVCの紹介

バイオVBは、売上より先に多額の投資が必要であり、特に時期を追う毎に事業規模や人件費も増えるために必要資金もより大きくなっていく傾向にある。

市況の悪化の影響もあり、年を追う毎に資金調達の苦労は増したが、増資時には当社がアプローチした新規のVCだけでなく、VC各社から他のVCへ声かけをしてくれるなどして、資金調達を円滑に進められるよう、VC各社には尽力していただいた。

"パートナー"の目線からのアドバイス

VCとVBの関係は、ともすると「投資する側」「投資される側」となり、目線が違ってしまうことも多いが、投資を受けたVCの中でも特にシンク・パートナーズ(株)は、VBと同じ視点に立って、様々なアドバイスや支援をしてくれた。

他のVCでも、当社の事業に想い入れをもって、熱心に支援してくれる担当者が複数いたことも、当社の成長に役立ったと考えている。

IPOによる経営効果と今後の展望

創薬を進めるためにIPOを決断

当社は、2009年10月にジャスダックNEOに上場した。バイオVBは、売上が立つ前に常に先行的に膨大な研究開発費を投じる必要がある事業を営んでいる。このため、株式市況が良い時期ではなかったが、研究開発活動を円滑に進めることを優先し、早期に資金調達を行うことが最良との判断から、上場できる最速の時期としてこの時期に上場した。近年は急激にIPO企業数が減少しているが、その中でもバイオVBに関して言えば毎年数社ずつIPOしており、当社に限らずバイオVBの資金需要の大きさや事業の特殊性を示しているものと考えている。

結果的に、資金調達額は当初目標金額には届かなかったものの、IPOにより会社の知名度が上がり、製薬会社等、外部の方々から問い合わせを受ける件数が増えたことや、人材採用にあたり、応募者の当社を見る目が変わり、今まで以上に優秀な人材を確保できるようになってきていることは、IPOによる成果と捉えている。

IPOまでの道筋で人材育成

IPOをするまでの過程は非常に大変なものである。当初従業員1名ではじめたが、現在は役員を除いて19名にまで拡大している。

そんな中、従業員がIPOまでの道のりを経験する過程で、様々な困難を克服し、結果的に、従業員の経営幹部候補生の育成に繋がり、次を担うことができる人材が育成できたことも、IPOをしたことの付随的な効果であった。

IPOまでの成功の秘訣

当社がIPOを達成するまでに成長できたのには、ハード面とソフト面の2つの要因がある。
 まず、ハード面としては、パイプラインの開発が順調に進み、IPOまでに3つのパイプラインをライセンスアウトできたことである。

そして、ソフト面としては、研究開発ラインと内部管理体制ラインの2つの中心となる部門で核となる人材がおり、その他の従業員も優秀な人材を適材適所に配置できたことが挙げられる。

当社の現在までの成長は、当社の人材でなければ為し得なかったものと自負している。

黒字達成と次なるライセンスアウトを目指す

当社は、IPOを達成したとはいえ、まだ黒字を達成するに至っていない。まずは既に製薬会社にライセンスアウトしたプロジェクトについて早く上市を達成できるよう臨床試験に協力することでキャッシュフローを確保し、早期黒字化を目指したい。

そして、今後の事業基盤の安定を目指して、今進めている2つのプロジェクトの研究開発をスピーディに進め、早くライセンスアウトできるところまでもっていきたいと考えている。

代表者プロフィール

代表取締役社長 日高 有一
代表取締役社長
日高 有一

1996年4月、(株)三和銀行(現(株)三菱東京UFJ銀行)入行。2006年7月、当社取締役総務管理部長に就任、2007年4月常務取締役総務管理部長を経て、2008年12月に当社代表取締役社長に就任(以来、現職)。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

今の日本のバイオVBで最大規模のところで、300億円程度の企業価値がある。当社もそれに"追いつけ、追い越せ"で、大きく成長していきたい。そのためにも、まずはパイプラインを増やして、数多くライセンスアウトしていけるようになることが第一の目標です。そして、いずれ体制・資金などあらゆる環境が整った段階では、より後のフェーズまで当社が担えるようにしていき、最終的には販売までを手がける製薬企業に成長していくのが夢です。これから起業・IPOを目指す方には、クリアするぎりぎりの低い目標ではなく、高い理想を掲げて、その理想を目指してがんばっていただきたいと思います。現状とのギャップが大きい方が、より大きな力が発揮できるものです。そして、IPOというのは一人でできるものではないので、厳しい状況の中で一緒にがんばっていける仲間を見つけ、協力しあうことで目標を達成していってください。

ベンチャーキャピタルの声

シンク・パートナーズ(株) 代表取締役 高村 徳康
シンク・パートナーズ(株)
代表取締役

高村 徳康
同社に投資をするに至った判断のポイント

(1)パイプラインの早期収益化を実現する技術力とビジネスモデルを有していたこと、(2)バランスの取れた経営陣により、事業計画が確実に進められていたこと、(3)証券会社の審査や監査法人の監査の進捗度から株式公開の可能性が高かったこと等を踏まえ、投資決定を行った。

VCの視点からみた同社の成功要因

(1)パイプラインの早期収益化を実現するビジネスモデルが構築されたこと、(2)内部管理体制の構築に必要な人材を早い段階で招き入れるなど、上場企業に求められる社内体制がしっかりと構築されたこと等が、株式公開の実現に繋がったと考えられる。

2009年度取材事例
掲載日:2010年3月15日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

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