本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > こうして活用しよう 中小企業向けファンド > 企業事例

こうして活用しよう 中小企業向けファンド


企業事例−IPO編−

株式会社キャンバス

細胞周期に着目し、からだにやさしい抗癌剤の開発を目指す

事業内容:正常細胞に影響が少ない抗癌剤の研究開発
本社所在地:静岡県沼津市通横町9番地
URL:http://www.canbas.co.jp/ 設立年:2000年
株式公開年:2009年 市場名:東証マザーズ
資本金(設立年):10百万円 資本金(2009年6月期):2,394百万円
売上高(設立年):0百万円 売上高(2009年6期):161百万円
従業員数(設立年):0人 従業員数(2009年6期):19人
ファンド事業:ベンチャーファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名(無限責任組合名):ライフサイエンス2号投資事業有限責任組合(MBLベンチャーキャピタル株式会社/株式会社レクメド・ベンチャーキャピタル)

事業概要

河邊社長の研究成果をもとに起業

1998年12月、河邊拓己現社長が名古屋市立大学医学部分子医学研究所にて、世界ではじめて、G2チェックポイントを特異的に阻害すると考えられるオリジナルペプチド「TAT-S216」の設計に成功した。G2チェックポイントは、細胞周期の進行を一時的に停止し、DNA損傷を修復するチェックポイントの1つであり、このポイントを阻害することは正常細胞への影響を最小限にとどめ、効果的に癌細胞を攻撃できる、副作用の少ない抗癌剤を開発するための有効なアプローチのひとつと考えられている。

当社は、この研究成果をもとに、河邊社長の他2名で2000年1月に設立した。以来、「より良い抗癌剤を1日も早く患者さんにお届けすること」を事業目標とし、「フェアであること」、「科学的・倫理的・経済的に正しい道を最短の距離・時間で進むこと」を企業理念に掲げて、抗癌剤の開発を進めている。

臨床開発段階にあるパイプライン

当社設立の契機となったG2チェックポイント阻害オリジナルペプチド「TAT-S216」を改良して創出されたペプチド型の抗癌剤候補化合物CBP501が、当社において最も進んでいる研究開発のパイプラインである。

CBP501は、2005年2月に米国において臨床試験実施の承認を得て以降、単剤による臨床第1相試験をはじめとして順次臨床試験を実施し、現在は、悪性胸膜中皮腫及び非小細胞肺癌を対象に、シスプラチン・ペメトレキセドとの3剤併用による臨床第2相試験を実施している。

なお、CBP501及びそのバックアップ化合物に関しては、2007年3月、武田薬品工業株式会社と共同事業化契約を締結し、米国においては当社と武田薬品工業(株)で共同開発・共同販促を行い、その他全世界における独占的開発・製造・販売権は武田薬品工業(株)が担うこととなった。

CBP501開発状況

CBP501開発状況

新たなパイプラインの創出・獲得

臨床開発段階より前の探索・早期発見段階にあるパイプラインとして、現在前臨床試験を実施しているCBS9106を初めとするCBS9100シリーズと、最適化の段階にあるCBS2400シリーズがある。CBP501を含めた3つの主要パイプラインはそれぞれ独立している。

創薬企業にとって新規開発パイプラインを継続的に創出・獲得する仕組みは、極めて重要であることから、当社ではG2チェックポイント阻害の結果に着目した当社独自の薬剤スクリーニング法に基づき、将来の開発候補品となり得る新規化合物の探索研究を継続的に実施している。

CBP501以外のパイプライン

CBP501以外のパイプライン

創業からVCに出会うまでの経緯

大学との共同研究のために会社設立

河邊社長は研究成果をもとに、新薬を開発したいと考えていたが、大学の研究費には限りがあり、なかなか思うように研究を進められないという現実があった。そこで、共に大学で研究をしていた菅沼氏(現副社長)が、大学との共同研究という形式をとって研究を進めようと、会社を設立することを決意した。

しかし、河邊社長も、菅沼副社長も、会社の設立や経営に関する知識がなかったため、研究グループの大学院生であった小林氏の義父である矢部隆氏(当時(株)マキヤ社長)に取締役に就任してもらい、登記手続から手伝ってもらった。また、矢部氏からはエンジェル投資家として当社へ出資してもらい、会社を設立することができた。

研究資金の調達のためにVC投資受入

当初の予定では、補助金等を資金にして大学との共同研究を進め、早期のライセンスアウトを図る予定であったが、さまざまな事情があり、研究体制も資金手当も当初の予定通りにはいかなくなってしまった。

結果的に、創業間もない段階で、独力で研究資金を調達する必要性に迫られ、矢部取締役に相談したところ、矢部取締役の知人からMBLベンチャーキャピタル(株)を紹介され、2000年9月に投資を受け入れた。当時は、VCの存在もよく知らず、投資を受け入れることに対して不安もあったが、知人がMBLベンチャーキャピタル(株)の担当者と直接の知り合いであり、信頼できる方だということだったため、決断した。また、MBLベンチャーキャピタル(株)が、研究用試薬等を製造する(株)医学生物学研究所という、大学の試薬購入の取引先企業の100%子会社であったことも、安心感があった。

なお、MBLベンチャーキャピタル(株)は、後に(独)中小企業基盤整備機構が出資する「ライフサイエンス2号投資事業有限責任組合」を運営するベンチャーキャピタルである。

VC投資受入によりIPOを目指す

会社設立時の構想では、既述のとおり大学との共同研究を主体としたラボレス型VBを目指しており、IPOを意識していたわけではないが、様々な状況の変化により、VCからの投資を受け入れることになったため、投資を受け入れた企業の責任として、IPOを目指すようになった。

なお、当社は、2000年9月に実施した初回のVC投資を含め、IPOまでに4回にわたり合計33社ものVCから投資を受けた。このいずれの

段階においても、会社設立当初から支援していただいているMBLベンチャーキャピタル(株)が中心となって、他のVCの取りまとめ等を行っていただいた。

VC等を活用した事業の拡大と成長

会社設立からエンジェル投資家の支援受入

河邊社長も菅沼副社長も、大学の研究者であり、起業の手続や経営に関することに対する知識は乏しかった。このため、会社設立前の段階から、従来より会社経営に携わっている矢部取締役の支援を受けられなければ、会社設立も難しかったであろう。

矢部取締役には、会社設立時に出資いただき、登記の手続から、会社組織の作り方、経理のやり方など、会社経営のイロハからすべて教えていただいて、会社の基礎を築くことができた。

取締役派遣など経営への積極的な参画

MBLベンチャーキャピタル(株)からは、初回投資時の2000年9月から、投資担当者を社外取締役として派遣いただき、積極的に経営に関与していただいた。

特に、資金調達に関してはすべて任せており、増資にあたっては、VC間の調整や契約だけでなく、企業の成長プロセスを念頭に置いた株価形成のあり方まで念頭において、資本政策を練っていただいた。

会社の組織体制の整備においても、MBLベンチャーキャピタル(株)の支援がなければ、IPOができるほどの体制を組むのは非常に困難であっただろう。

特許戦略のアドバイス

MBLベンチャーキャピタル(株)とともに「ライフサイエンス2号投資事業有限責任組合」を運営している(株)レクメド・ベンチャーキャピタルからは、設立当初に米国の弁理士事務所を紹介いただいたおかげで、日米両国において、最初の研究段階からの特許をきちんと守ることができた。

そのおかげで、大手製薬会社からみても問題のない特許を有しており、その成果もあって2007年に武田薬品工業(株)との業務提携が成就できたと考えている。

科学顧問会議の専門家によるアドバイス

当社は、癌臨床研究の第一人者であるアリゾナ癌センター教授D. Von Hoff氏を議長として、ハーバード大学医学部教授 W. Kufe氏、カリフォルニア工科大学教授G. Dunphy氏等で構成された科学顧問会議を年2回開催し、専門家の経験や専門的・実践的知識、最新情報を得て、研究開発に生かしてきた。

この会議において、各メンバーは惜しみなく個別具体的なアドバイスをしてくださり、現在も当社の研究開発推進にあたっての柱としての役割を担っている。彼らのアドバイスなくして、今の研究成果は得られなかっただろう。

IPOによる経営効果と今後の展望

創薬を進めるためにIPOを決断

当社は、2009年9月17日、東証マザーズに上場した。2008年後半からは特に株式市況も悪く、上場時期を延期するという選択肢もあろうが、「IPOができるときにするのがベストタイミング」と考えた。

それは、投資してくれたVCに対して出口を用意することが投資を受けた企業の責任であるというだけでなく、創薬ビジネスを続けるうえで、新たな資金調達手段の確保が必要であるためである。

創薬はリスクの高いビジネスであり、臨床試験の最終段階までいっても承認が得られないケースもありうる。しかし、開発を進めるためには今後も多額の資金が必要であり、リスクが高いとはいえ、開発がもっとも進んでいるCBP501の臨床試験が第1相を終了しヒトでの安全性を担保できたと同時に、薬効のヒントが得られたことで、薬として承認されるまでのリスクを相応に説明できると考えた。東証マザーズ市場のガイドラインにあるとおり、この段階が、個人にリスクを負ってもらえるぎりぎりのタイミングと考え、IPOを決断した。

CBP501の上市を目指す

今後は、まず第一にCBP501シリーズの新薬を上市できるよう努力していく。 そして、CBP501シリーズの上市により得た利益を元手に、その後の研究開発を力強く進めていきたいと考えている。

万が一、CBP501シリーズの上市が遅れる場合には、次のパイプラインが育つまで「細く長く」研究を地道に続けていくことになるが、どのような場合でも、当社創業のきっかけとなり当社の最大の強みであるG2チェックポイントをターゲットにした領域への選択と集中を続け、創薬のビジネスモデルを確立していきたい。

代表者プロフィール

代表取締役社長 河邊 拓己
代表取締役社長
河邊 拓己

1990年3月、京都大学大学院分子医学系専攻修了、医学博士取得。同年4月、京都大学ウイルス研究所助手、91年10月よりワシントン大学留学。96年7月、名古屋市立大学医学部分子医学研究所助手。同研究所にて、世界ではじめてG2チェックポイントを特異的に阻害すると考えられるオリジナルペプチド「TAT-S216」の設計に成功。2000年4月同研究所助教授にするが01年2月に退任し、3月当社取締役に就任。2003年5月、当社代表取締役社長就任(現任)。2004年4月京都大学大学院医学研究科非常勤講師。

将来の夢と起業家を志す方へのアドバイス

「癌を治したい」という強い思いだけで会社を設立しましたが、その後、困ったことがあると、タイミングよく、その問題を解決できるような「人」との出会いに恵まれ、ここまで来ることができました。事業を進めていくということは一人でできることではなく、必ず能力と志を持った人の力が必要になります。つまり、「目標」と「人を引きつける何か」が必要だと思います。私の場合は「運」と「志」によるところが大きいと思いますが、「運」を引き寄せるためにも、是非、「清く・正しく・美しく」がんばってください。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

先行するファンドで設立直後に主要ハンズオン先として投資した案件であり、その時点では、国内出願済特許以外に資源はなく、経営陣の経験も浅かったが、投資魅力に満ちた技術であり、その領域に挑戦するに相応しい起業熱意があった。その後着実に事業計画を達成し、経営力も飛躍的に向上し当ファンドでも投資を行うに至った。

VCの視点からみた同社の成功要因

研究の着眼点・開発力は勿論だがそれ以上に、癌を治したいという明確な企業理念のもとで目先の状況にブレない実直な経営判断を続けたことが成功の要因である。また、資金の苦しい時期にリードVCである弊社らファンドが支え続け、それが誠実な情報開示・適切な資本政策に表れ、VC資金を呼び込み続ける原動力となったことも成功を導いた。 (MBLベンチャーキャピタル(株) 代表取締役社長 桂山靖代)

2009年度取材事例
掲載日:2009年12月 8日
この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。 従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。

前の記事次の記事



このページの先頭へ